奥井雅美

奥井雅美

【奥井雅美 インタビュー】
アルバムは絶対に希望を残して
終わりたいと考えていた

氣(米)が気(〆)になることで
文字の力が抑え込まれているのが嫌

お話を聞いていると、奥井さんって自然からの恩恵をとても大事にされていますよね。歌詞でも“勇氣”や“元氣”のように、普通は“気”と表記されるところで必ず“氣”を使われているのも、そういったスタンスからなんでしょうか?

そうです。要は言霊というか、文字の力ですよね。昔ながらの“氣”の字で使われている“米”は日本人のエネルギー源であり、そのかたちも八方に広がっていて、つまりはエネルギーを八方に流して増幅させるっていう意味合いがあるんです。それが戦後に“〆”に変えられたと言われていて、文字の力が抑え込まれているのが嫌だから、私は必ず“氣”の字を使うようにしてるんですね。それがリスナーのエネルギーにも影響すると思ってますし、そういった目に見えないものに対するこだわりはあるタイプです。

なるほど! そうやって随所に意味深いメッセージが仕込まれていることを聞けば聞くほど、なぜ幕開けが“OTAKATSUDAYS”だったのか不思議に感じてしまうのですが。

普通だったら2曲目の「Civil war-1vs1-」ですよね(笑)。でも、“プライベートヒロイン”っていうタイトルも含め、この曲って“奥井雅美劇場”が始まるようなイメージがあるじゃないですか。そこから光と闇が戦う「Civil war-1vs1-」に進んで、スリリングなシーンにパッと切り替わるのが良かったんです。本当にいろんなパターンの曲ができたので、自分で並び替えていろんなパターンで聴いてみても、これで始まるのが一番しっくりきたんですよね。

いや、本当に曲世界の幅広さには驚かされました。でも、しっかり芯は通っているんですよね。言いたいことは一貫している。

ありがとうございます。アニソンシンガーってバラードでもいいし、ロックでも許されるし、どのジャンルやっても大丈夫なのが強みだと思うんですよね。それこそ昔はアニソンシンガーという存在が今ほど確立されていなかったので、音楽雑誌のインタビューで“あなたはいったい何をやりたいんですか?”って訊かれたこともあるんですよ。“やりたいのはロックですか? ポップスですか?”って。でも、私はロックもポップスも好きだし、いろんなアーテイストを聴いては“こんな曲を私も歌いたい!”って曲を作っていたので、こんな感じになっちゃうのは必然なんです。それでもヴォーカルが同じで歌詞の世界観が統一されていれば、アルバムとしては成立するんじゃないかと、今回も自分で制作していて感じましたね。同じメッセージだとしても、恋愛テーマで聴きたい人もいればそうでない人もいて、それぞれに共感できる部分が違うだろうから、人生のいろんな場面で使える曲が揃うのはいいのかなって。

5月22日にduo MUSIC EXCHANGEで行なわれる発売記念ライヴにも“1vs1~be the light~”というタイトルがつけられていて、ここでもアルバムのテーマである二極化だったり、“光と成れ”という意志が貫かれていますよね。

有観客ライヴは一昨年の12月振りで、その間はファンの方と一切お会いできていないから、顔を見るのも久しぶりですね。決められたガイドラインに沿いつつ、騒いだり声を出したりもできないから、黙っていても一緒に楽しめるグッズを…私のライヴでは初めてのものを作りたいと考えてます。ライヴが終わった時に“よし! 頑張って生きよう!”ってみんなに感じてもらいたいので、説得力のある歌に乗せて、きちんとメッセージを伝えられる曲をチョイスしたいですし、音楽的にも満足してもらえるようなものにできたらなと。2020年はJAMの20周年ツアーが全部飛んじゃったり、ドキュメンタリー映画の公開とかいろいろありましたけど、今となっては全てが必然だったんじゃないかと思えるんですね。今回のアルバムもその時々の気持ちを一生懸命詰めた結果、出来上がってみたら自分で腑に落ちる部分がたくさんあったので、みんなの生きていくお供にしていただけたら幸せですし、私もそのつもりで歌っていきたいです。すごく大変な世の中で絶望的になることもあるでしょうけど、このアルバムでもドキュメンタリーでも一番言いたかったのは、どんなことがあっても自分の人生を諦めずに生きていってほしいということで。そのメッセージが伝われば一番嬉しいです。

影山さんが書いた曲のタイトル通り、まさに21世紀をサバイブして生き抜こうと。

そうそう。その先をみんなで見れたら楽しいなと思います!

取材:清水素子

アルバム『11-elevens-』2021年3月13日発売 Lantis
    • LACA-15868
    • ¥3,300(税込)

ライヴ情報

『NEW ALBUM 『11-elevens-』発売記念ライブ 「1 vs 1~be the light~」』
5/22(土) 東京・duo MUSIC EXCHANGE

奥井雅美 プロフィール

オクイマサミ:松任谷由実はじめ、数々のアーティストのバックコーラスを経て、1993年8月に「誰よりもずっと」でデビュー。『スレイヤーズ』『少女革命ウテナ』など超ヒットアニメ主題歌を数多く手がけ、アニメ作品等への楽曲提供も数多い。また、03年よりJAM Projectに加入、国内外で精力的に活動を展開し、楽曲制作にも関わる。奥井雅美 オフィシャルHP

「天使と悪魔」MV

「11-elevens-」全曲試聴動画

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着