澁谷梓希、卒業 6人でのラストも明
るく元気にパワフルに!『i☆Ris LI
VE 2021 ~storiez~』レポート

2021.3.28『i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~』@パシフィコ横浜
2012年に『アニソン・ヴォーカルオーディション』合格者6名で結成され、歌だけでなく声優としても活躍の場を広げながら、8年に渡る活動でその人気を不動の物としてきたアイドルユニット「i☆Ris」。
そのメンバーの1人である澁谷梓希が9年目となる今年3月いっぱいでのi☆Risを卒業を発表。それを受けて有観客では1年4カ月ぶりの開催となった『i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~』は、“6人でのi☆Ris”としてラストライブとなった。
6人で歩んできた8年間の集大成となるライブで、彼女達はどんな物語をファンに届けるのか? 彼女達ならではの笑いと感動満載で、それぞれの新たな旅立ちを飾ったライブの様子をレポートしよう。

たとえ6人最後のライブでもi☆Risは常にパワー全開!
『i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~』ロゴ
i☆Risのファンにとっては2019年の7th LIVEの思い出の地である「パシフィコ横浜」。そこで1年4カ月ぶりにi☆Risと再会できるとあって、新型コロナ対策でマスク着用&収容人数制限という状況ながらも場内は熱気に包まれていた。各メンバーのイメージカラーのコンサートライトが数多く煌めく中、スクリーンに映し出されたのはライブタイトルが書かれた一冊の本。ページがめくられるごとにメンバーの姿が映し出され、6ページがめくられるとともに大きな拍手の中で「6人でのi☆Ris」最後のライブの幕は上がった。
「楽しんでいきましょー!」
山北早紀
茜屋日海夏
そんなかけ声と共にオープニングを飾ったのはデビュー曲の「Color」。イメージカラーとライブタイトルの意匠をあしらったそれぞれ異なるコスチュームに身を包んだ6人は、ステージのステップの上で輪になっての軽やかなステップとともに歌を紡ぎだす。そしてステージ前面へと進み出ると「始まりました『~storiez~』! 最後まで楽しんでいきましょう!」「6人でのライブ、楽しんでいこう!」とゲキを飛ばして、夢を信じて羽ばたき進むメッセージがこもった曲を力強く歌い上げた。
芹澤優
久保田未夢
澁谷梓希
「みんな会いたかったよー!」の歓喜の叫びとともに間髪入れず二曲目「§Rainbow」では、間奏で「We are i☆Ris!」とファンコンサートライトに合わせてコールを送り、「いっしょにー」のかけ声と共にファンと共に大きく手を振って今の状況下でめいっぱいなファンとの一体感を作りだしていく。続く三曲目「ドリームパレード」では茜屋日海夏と澁谷梓希が互いに肩を抱きながら熱唱。いずれも夢や未来への希望を込めたナンバーが連続し、さながら新型コロナ禍でもがんばって応援してくれるファンと、新たな旅立ちを選択した澁谷へのエールとのようなオープニングとなった。
最初のMCタイムでは、このライブでi☆Ris卒業となる澁谷がマイクをスピーカーに近づけてハウリングを起こしたり、一曲目で初めて歌詞や振り付けを間違えてしまったなど、緊張してないつもりでも緊張してるのかもと告白。そして30歳を迎えての初ライブとなる山北早紀の年齢アピールを皮切りに、各々が自己紹介とファンの代わりに他のメンバーがファン役を務めるコール&レスポンスでファンのテンションを上げていく。最後となった澁谷はうっかり自己紹介を忘れながらも「ラストステージだけどみんなと笑顔で過ごしたい」と語り、「これで6人も最後かー」「最初は楽しくやっていこう!」と明るく言葉を交わしながらライブがリスタート。
「準備はいいかー!? いくぞー!!」
澁谷のゲキとともに始まった「ありえんほどフィーバー」を皮切りに、山北とのデュエット曲「Believe in」や、謎のユニット「澁若山(澁谷・若井友希・山北)」の「扇子・オブ・ワンダー」と、澁谷の卒業後はライブで歌えなくなるナンバーを連続で披露。「Believe in」でのスクリーン横の星型ネオンライトの所に登っで迫力のシャウトや、「扇子・オブ・ワンダー」では羽扇子を使った派手なパフォーマンスを見せるなど澁谷は八面六臂の大活躍を見せた。
■『プリパラ』の名曲達が澁谷の旅立ちを全力応援!
二度目のMCでは今回の衣装の話となり、いくつか用意されたトップスやスカートのデザインを自由に組み合わせる形でできあがったことが語られた。ファッションモデル風にまとめた茜屋がステージ上でランウェイウォークを決めたり、澁谷が衣装に合わせたヘアスタイルの編み込みにi☆Ris6人のカラーを取り入れたことなどで会場は大いに盛り上がった。
そんな流れを受けてリスタートしたライブは、何と彼女達の出世作でもある「プリパラ」シリーズの楽曲メドレー。夢を諦めずに突き進むパワーにあふれた全5曲を、6人はアップテンポなダンスとコールを織り交ぜながら熱唱。メドレー後のMCでは声を出せないながらも全力で応援してくれているファンの熱気に感動したり、ミュージカル版『プリパラ』などでの澁谷絡みの裏話を披露。そしてメドレーでは物足りない人のためにということで、『プリパラ』シリーズの代表曲とも言える「Realize!」「Goin' on」を情感たっぷりに唄い上げた。
■涙の代わりに溢れ出したのは、6人で積み重ねた9年間のメモリアル
『プリパラ』ナンバーをがっつり唄った感慨に浸りながら、こうしてライブで唄えてファンにも出会えたことの嬉しさを語るメンバー一同。そして澁谷の卒業と6人での最後のライブなのに、ここまでずっとポジティブでしんみりしたことをしていないとなり、いよいよライブも終盤戦へ。
その先陣を飾ったのは、大事な親友への想いを唄った名曲『キラリ』。歌とともにスクリーンにはこれまでリリースしたCDのジャケット写真が映し出されていき、澁谷も最初は「何だろう、この映像? 泣かせようとしてる?」とツッコミを入れてたが、やがて写真が稽古中などのプライベートショットになり「なにこれ!?」と澁谷もステージ上に笑いながらへたり込む。他のメンバーによる澁谷への粋なサプライズだったのだ。
「写真に残せてる思い出もちゃんとあるよ」と語りながら、やがて全員がステージのステップに座り、肩を寄せ合いながらハーモニーを紡ぎ出す。そして5人は立ち上がってそれぞれの手でアーチを作り、そこを澁谷にくぐらせて新たな旅立ちへと誘った。
そのまま続く曲は、まさに澁谷を送り出すのにぴったりな「卒業式」。思い出を巻き戻したいと願いながらも友達を送り出す想いを込めた歌を肩を並べて唄い、ラストの澁谷のソロパートではメンバーが自分達のイメージカラーに染めたスイートピーの花を渡していく。その花言葉は「門出」と「優しい思い出」だ。
歌い終えた澁谷は「こうしてi☆Risとして9年間みんなと活動できて幸せでした、ありがとう」と感謝の言葉を述べる。そうして始まった最後のMCでは、メンバーそれぞれが澁谷の卒業とこれから始まる「5人でのi☆Ris」について想いを語った。みんなが6人のi☆Risがずっと続くと思っていたと話しながらも、澁谷の「卒業」という人生の選択を応援し、5人のi☆Risでもっともっと上を目指すとファンへと伝えた。
そんな中で芹澤優は結成当初に澁谷と大喧嘩したことを告白して「あの時はゴメンね」「こっちこそゴメンね」とカワイコぶりながら謝りあって笑いを誘った。そして山北は「いつまでも6人でやるっていったべやバカヤロー!」と落ち込み、澁谷をバーに誘ってやめないでほしいと説得したことを明かし、今は「やめなければよかった」と澁谷に思わせるぐらいに5人のi☆Risで上を目指す決意が固まったと笑顔で語り、澁谷を送り出す気持ちを伝えた。
そんな5人の想いを受けて、澁谷は「しゃべれないから紙に書いてきた」と、自らの想いを綴った手紙を朗読する。当たり前のようにがんばることのできず、2014年に一度i☆Risを辞めると口にしたこともあった自分を成長させてくれたのが、自分を見出して一緒にがんばってくれたメンバー・スタッフ・ファンとの9年間だったこと、i☆Risで過ごした9年が人生の中で最も色濃い時間だったから、卒業して別れることがすごく辛くて寂しいこと、そして全てのファンやスタッフに感謝するとともに、みんなの中にi☆Risのイエローの光として残り続けられれば嬉しいとの想いを伝えた。
これで涙のフィナーレとなるかと思えば、澁谷はメンバーに「絶対また会いたくなるので、LINEは雑に既読無視しといて下さい」と笑いを誘ったり、手紙を読み終えるなり「よしっ!」とやり遂げた感を出しながらティッシュを取りにステージ袖に行ったりと、なかなかしんみりとした空気にならない。そして黄色のコンサートライトの光に埋めつくされた客席をバックに記念撮影を終えて、いよいよラストナンバーへ。
「今日は泣かないって決めてた。大事に最後のステージをやりたかった」と澁谷が語れば、久保田未夢も「私を泣かせようなんて百億年早い」と応えて明るい空気に包まれるステージ上。そして「とても大事な曲だし1分1秒大切なメモリアルにしたい」「みんなの心に素敵なMemorialが残りますように」という言葉とともに始まったラストナンバーは「Memorial」。唄う前にライブ前のような円陣を組み、5人がすごい目力を発揮しながら澁谷を見つめる中、情感たっぷりに6人で培った思い出を胸に曲を歌い上げる。曲の終盤では澁谷が5人それぞれと唄いながらハグを交わし、最後は彼女をセンターにして歌を締めくくった。その時に澁谷が何かをしたらしく全員が笑っていたが、それが何かは彼女達の胸の中にだけしまわれることに。
6人体制i☆Risの終わりと新たな旅立ちを飾るライブもいよいよフィナーレに。全員がアカペラでデビュー曲「Color」を唄う中、スクリーンには5人から澁谷へ6人それぞれの名前の一文字が織り込まれたスペシャルメッセージが映し出されるサプライズが。そして最後は澁谷からファンへの感謝のメッセージが。
「長いようであっという間のi☆Ris人生でした。これまで澁谷梓希を応援してくれた皆様、ありがとうございました」
最後まで涙を見せることなく、元気な笑いと力強さに満ちて終わった澁谷の卒業と6人のi☆Risのラストライブ。それぞれの新たな旅立ちに相応しい時間だったといえるだろう。
取材・文:斉藤直樹

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