70sカントリーロックの
基盤を築いた
ポコの2ndアルバム『ポコ』
本作『ポコ』について
前作でも各曲のアレンジ(おそらくメッシーナによるもの)は複雑であったが、本作ではより多彩となっている。なにより、メッシーナのギターの音色が完成されており、テレキャスターを知り尽くした熟練したプレイはロック史に残るものだ。ヤングのペダルスティールも、ここで彼のトレードマークとなるオルガントーンが完成しており(よくポコのオルガンプレイと言われているのは、実はヤングのペダルスティールである)、グループにとっては大きな武器となる。
収録曲は全部で7曲。アルバム最後の「エル・トント・デ・ナディエ」は18分に及ぶインストで、ゲストにパーカッションのミルト・ホランドを迎え、ラテンファンクとも言うべきサウンドを繰り広げている。
アルバムのハイライトはなんと言ってもメッシーナ作の「考えなおして(原題:You Better Think Twice)」だ。この曲はポコの代表曲として知られており、ロックンロールがベースになっているのだが、シンコペーションを効かせたリズムと斬新なリフは今聴いてもまったく古くなっておらず、メッシーナのギターが冴えわたる名曲である。
フューレイ作のナンバーは「ハリー・アップ」「エニウェイ・バイ・バイ」「愛をつかもう(原題:Don’t Let It Pass By)」の3曲。フューレイが歌うとどんな曲でもポコらしくなるから不思議なものである。「キープ・オン・ビリーヴィン」はフューレイとシュミットの共作で、シュミットらしいキャッチーなナンバー。ここで聴けるヤングのスライド風ドブロのプレイが素晴らしい。
本作でも前作同様、メンバー全員によるハイレベルのコーラスはもちろん、凝ったアレンジが聴けるが、前作よりもロック色が濃くなっているのが特徴だろう。このアルバムをリリースした時点では、ポコはアメリカ西海岸でボーカル・演奏ともに最高のパフォーマンスを聴かせるカントリーロックグループであった。フューレイ在籍時のアルバムはどれも高水準の出来であり、セールスが芳しくなかったのは、彼らが時代を先取りしすぎていたからかもしれないと思う。
TEXT:河崎直人