go!go!vanillas 新作『PANDORA』で
新たなバンドの音を鳴らす4人がこの
1年間に抱いた思い、考えたこと

2020年11月23日に行われたgo!go!vanillas初の日本武道館公演は非常に素晴らしかった。武道館はバニラズが当初から目指していた場所。感慨を噛み締めつつも、メンバーも観客もとにかく楽しそうで、あの時間にはバンドという青春の輝かしさが詰まっていた。牧 達弥(Vo/Gt)はライブ終盤、「日本武道館が通過点とか、クソみたいなこと言わないで、ちゃんとここで自分の想いを曝け出して、またここから進むための今日です」と語る。それは、ここからまた新しい音楽を鳴らしていくための宣言ともとれる言葉だった。

その時点でアルバムの制作がどの程度進んでいたのかは分からないが、メジャー5thアルバム『PANDORA』では新しいバニラズの音が鳴っている。大事なものを握りしめながら、青春の先へと進んでいく4人の姿が見える。この1年間彼らは何を思いながら音楽に向かっていたのか。ライブ活動、そしてアルバム制作中に考えたことを中心に話を訊いた。
――少し前になってしまいますが、武道館公演の感想を伺えますか。
牧:去年の唯一の救いだったと思います。去年は配信ライブもやったし、大阪や名古屋ではフェスに出させてもらいましたけど、変わってしまった部分がどうしても見えてしまって。その状況をマイナスと捉えず、どうやったらライブで新たな部分を見せられるかというチャレンジをバンドマンはやってきました。その一方で、やっぱりライブハウスは人と人がぶつかり合う場所で、バンドはそれを生業としていたんだと、まざまざと実感させられた1年だったんですよね。きっとお客さんにもいろいろな感情があって。嬉しさ、もどかしさ、日本武道館という場所に対する想い……お互いにいろいろ感じながら1年間生きてきたなかで、あの日があったのは本当に救いだったなあと思った。あの日はずっと夢を見させてもらってたし、希望が詰まっていた1日でしたね。
柳沢 進太郎(Gt):緊張でガチガチになるかと思ってたけど、“めっちゃ楽しめちゃったなあ!”というのが率直なところで。(観客が)声を出せなかったり、席を1個ずつ空けていたり、制約もあったのでどうなるかなと思ってたんですけど、SEが鳴ったときに既にお客さんが“ふぅぅううううっ!”となっちゃってたので。その様子を見たときに“今日のライブスゲー上手くいきそう”と思ったし、そこからはもう楽しくできました。そういう感覚を思い返せた日だったし、コロナが終わったらもっと楽しいだろうな、さらに弾けられるだろうなという光明を見た感じがしましたね。
牧:ああいう日が徐々に増えていけばいいよね。やっぱり夢を見なきゃダメだなあと思ったし、“そのために自分がどうあるべきなのか”とか“どういう目標を立てようか”とか、そういうものも同時に押し寄せてきた日でした。
長谷川プリティ敬祐(Ba):俺はライブ中、生まれて初めての気持ちになったんですよね。例えば“嬉しい”、“楽しい”、“悲しい”という感情があったとして、それぞれの方向や強弱、混ざり具合によって、そのときの自分の気持ちって出てくるものだと思うんですよ。そのブレンド具合が初めての感じで、“俺、この感情知らない!”みたいな気持ちになって。自分がこれからも音楽を続けていく目的の中に“あの感情をもう1回味わいたい”というのが一つ加わった。それがすごくよかったですね。あと、“武道館を史上最高のライブに”ってよく言うけど、本当に今までで一番いいライブだったなと思う。だから幸せだったなあって。
柳沢:(1曲目の)「オリエント」ってそんなに楽しく演奏する曲じゃないと思うんですけど、ライブでやるのが久しぶりだったのもあって、すごく楽しかったんですよ。
プリティ:「オリエント」は特別な曲だからおいそれとできなくて、取っておく感覚があったんですけど。それが何年もかけた伏線になったなあって(笑)。
牧 達弥(Vo/Gt) 撮影=高田梓
去年はライブがほとんどできなかったけど、だからこそ“自分の中から出てくるものを改めて作ろう”というバンドは増えてきていると思うんです。
――武道館は「オリエント」から始まるんだろうなあと想像していた人も少なくなかったと思いますよ。私は完全にそのつもりだったし。
プリティ:マジですか(笑)。
柳沢:「オリエント」を1曲目にやる緊張感をちゃんと乗りこなせたのがあの日の勝因だったと思うし、マスク越しでもお客さんがいい顔をして見ててくれていることは分かったので。それを感じながら、トラブルはあったものの(笑)、最後まで集中切れずに演奏できました。
――セイヤさんはいかがでしたか?
ジェットセイヤ(Dr):武道館は最高なライブハウスだけど、コロッセオみたいだし、戦う場所だなという感じがしました。俺の場合、ライブを四方から見られることってないので、後ろが気になるんですよ。だから狩りをするときの本能が出てきたというか。“おらぁ、どこだ!”って刺す感じでやってました。まあお客さんは敵じゃないんですけどね(笑)。仲間なんですけど。
――“武道館には魔物がいる”とよく言いますが。
セイヤ:あ~、魔物と戦ってたんですかね? でも普通のライブとはマジで違いますよ。フェスとかで武道館よりデカいところでやったことはあるんですけど、でもそのときとは全然違いました。

ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020 -FINAL-』2020.11.23 日本武道館 撮影=西槇太一
――ステージセットもよかったですよね。曲芸みたいなことやってるなあと思いながら観ていたんですけど(笑)。

セイヤ:ははは。サーカス団でしたね。多分他のバンドはあんなライブできませんよ。
――立ち位置は事前に決めていたんですか?
牧:いや、ほとんど決めてないですね。
セイヤ:ようやったなあと思いますよ。
プリティ:ライブ中、この2人(牧と柳沢)がどこにいるのかが結構分からなくて。
セイヤ:気配と音で感じるしかなかったよね。
――4人の信頼関係がなければ成立しないステージングで、バンドがここまで培ってきたものが如実に出ましたよね。
牧:そうですね。例えば僕らが歌だけを歌うグループで、伴奏が全部同期だったら、ズレることはあっても曲自体が止まることはないじゃないですか。だけど演奏が止まっちゃうともう終わりなわけだから、今考えると相当シビアなことをやってたんだなあと。
――改めてすごいライブだったなあと思います。武道館以外で言うと、昨年9月にはBlue Note Tokyoでのライブ(『go!go!vanillas special live “MAKE UP CITY” at Blue Note Tokyo』)が、今年2月には東名阪でのアコースティックツアー(『yacoustic night star tours』)がありました。演る側の感覚としてはどうでしたか。無観客配信ライブよりも、できることなら有観客ライブがいいですか?
牧:うーん、そこは難しくて……。今って、ガイドラインを守れば有観客ライブはできるけど、お客さんは今まで通りの楽しみ方をできないじゃないですか。来てくれるお客さんは絶対にもどかしいだろうし、すぐに“イェーイ!”と言えない状況のなかで“あ、今こうしなきゃいけないんじゃない?”と気を遣わせてしまうのは俺らにとってももどかしい。だから“ライブハウスで、エレキのバンドセットでやろう”とはまだ思えなかったんですよね。じゃあこの状況を逆手にとって、音楽に没頭できるライブ、俺らが生で演奏する曲をじっくり感じてもらえる空間を作るというのが今一番しっくりきていて。
(注:取材日から1カ月後、全国ライブハウスツアーの開催が発表された)
――なるほど。
牧:Blue Note Tokyoをやったことで見えてきたことがたくさんあったんですよね。ずっと不思議に思ってたんですけど、ライブハウスに行っても、ドリンクチケットって開演前にはあまり使わないじゃないですか。
――まあ、人口密度の高い空間でカップに入った飲み物を持っていると不便なので、終演後に受け取る判断をする人が多いと思います。
牧:それは理にかなっているし、しょうがない部分もあるんだけど、ライブハウスのカルチャーとしては寂しいなあと思っていて。Blue Note Tokyoだったらお客さんは着席していて、ごはんも食べられるしお酒も飲めるし、コロナ以前であれば友達とも会話できるじゃないですか。もちろん音楽が一番の目玉ではあるけど、音楽に携わる全てのことを楽しめる空間としてライブがある。コロナが終わってからも、そういう余裕のあるライブができたら面白いんじゃないかと思ったんですよね。だから……“気ぃ遣わないでいいんだよ”って感じ? 9月のBlue Note Tokyoはお客さんも“演奏聴かなきゃ!”という感じだったけど、俺らがちゃんと経験を積んでいけば、お客さんが自然と音楽に触れられるような空間を作れるんじゃないかと思うので。『yacoustic~』も含め、今は実験的にいろいろなことをやってますけど、コロナがなくなってからも続けていきたいと思いますね。
――普段とは違う表現形態・アレンジでの演奏を深めていくこともいい経験になったのでは?
セイヤ:1回できた曲をまたアレンジし直すことには、やっぱり別の面白さがありますよね。ライブでも遊べるから、牧がフェイクを入れたりして。そういうときは(コーラスの)進太郎が大変なんですけど(笑)。
柳沢:あはははは。
セイヤ:『yacoustic~』は全公演セトリがほぼ一緒だったけど、そういう足し引きが毎回違って。1部と2部両方来てくれたお客さんもいたんですけど、多分違うものを見せられたんじゃないかなと思います。
――“ライブ感”の種類が変わったんでしょうね。いつもだったら、バンドとお客さんの間にその日特有の空気が生まれて、それこそがライブの素晴らしさだという話になりますけど、今はそれが生まれづらい状況だから、バンド内での相互作用がより際立つというか。
牧:ジャズやオーケストラもそうだと思うんですけど、本来プロの演奏者・音楽家は、外的影響を受けずに成立しなければいけないんですよ。だけどバンドはいい意味でその辺がジャンクで、演奏力がなくても、魅力や才能、“人”で見られる部分もあったりしますよね。だからバンドは時に音楽を超えるというか……。僕らとしてはもちろん音楽を聴いてほしい気持ちもあるけど、感情に呑み込まれることだってあるし、それを良しとして自ら飛び込んでいる状況がある。
――はい。
牧:だけど今はそれができないから、Blue Note Tokyoも『yacoustic~』も、プロとして音楽を自分たちで完結させて、“スキルの対価をお客さんに支払ってもらう”という見せ方だったんですよね。今言っていただいたように、フェイクを入れたり普段と違うメロディで歌ったりすることもその場で生まれる“ライブ”だと思います。技術云々は置いといて、そういうものを楽しめる、挑戦できる気概を持った4人だったんだなあって気づけたことは大きかったですね。
――いいですね。可能性が広がった感じで。
牧:そうなんですよ。これからが楽しみだなあ。
長谷川プリティ敬祐(Ba) 撮影=高田梓
人にも世の中にも表裏があるけど、いろいろな角度から見ると表と裏だけじゃないものが見える。そういう部分がこのアルバムに集約されていると思う。
――ここからはニューアルバム『PANDORA』について訊かせてください。まず今回のアルバムを漢字1文字で表すとしたら、何だと思いますか?
柳沢:え~、いきなりめちゃめちゃ難しい質問来るじゃないですか!
――ははは。思いついた人から手を挙げていただければと。
セイヤ:じゃあ私から行きます。
プリティ:早っ!
セイヤ:このアルバムは“赤”です。その心は……俺とお前に流れる赤い血だ! ブラッド!
――さすが熱い(笑)。
ジェットセイヤ(Dr) 撮影=高田梓
日本のロックをひっぺがすアルバムになったかなと思ってます。
牧:僕は“密”ですね。今回は恋愛の曲もありますけど、“人とぶつかり合ってないと成立しない言葉たち”というテーマで曲を書いたんですよ。なので、“密”。人と人ってこうやって顔を合わせて話さないと相手も気持ちを理解できないし、相手の痛みも分からないと思うんですよ。というか、直接話してもお互いの本当の気持ちなんて100%は分からないから、“ましてやネットの上だけでは……”っていう話で。相手の顔が見えないと、人はどんどん冷酷になってしまう。だからTwitterのリプライで平然と“死ね”って書けちゃうんだと思うんですよね。人と人がぶつかり合う場所がなくなっちゃっているから、そういうふうに、心がどんどん機械になっていっちゃっているんだと思います。
プリティ:(おそるおそる手を挙げながら)今の牧の話に乗っかってると思われちゃうのがアレなんですけど……。
牧:いや、そう言うってことはもう乗っかってるだろ(笑)。
プリティ:「もうこれ以上“人”って言葉使わないで!」って思いながら聞いてたんですけど……でもやっぱり“人”……。
牧:もうちょい捻ろや!(笑)
プリティ:じゃあ1回なしで。……あっ!(挙手)
――どうぞ。
プリティ:俺、何だかんだ“鏡”な気がします。人にも出来事にも世の中にも、表裏があるけど、いろいろな角度から見ると、表と裏だけじゃないものが見えることもあって。そういう部分がこのアルバムに集約されてるなと思いました。
――そう考えると「鏡」という曲の存在は大きかったのかもしれないですね。
牧:そうですね。「鏡」はこのアルバムでもセンターにいる感じがします。
――柳沢さんは?
柳沢:僕は“目”ですね。どの曲も聴くだけで映像が浮かんできて、“こんなことあったなあ”と思い返すことができるんですよ。目を閉じていても、目で見ているような感覚になるような曲が揃ったなあと。だから、“目”です!(カッと目を見開きながら)
牧:どうした(笑)。
――(笑)。やっぱり4人とも近しいイメージを持っているんだなと思いましたし、私のイメージも結構近かったです。私は漢字1文字で表すなら“生”だと思ったんですよ。なぜかというと、私たちと同じ生活者が鳴らしている音楽だと感じたから。
牧:うんうん。
――2020年を経て、“こういうときだから音楽は楽しくやろう”という方向に行くバンドもいましたけど、バニラズはそうではなかったですよね。鬱々とした気持ちも音楽に落とし込んでいるし、耳の痛くなるようなことも言葉にしているし。
牧:音楽には、つらいことがあっても無条件に楽しくさせてくれる“フックアップの作用”と“同調の作用”があると思うんですよ。俺はフォークソングが好きなんですけど、“この歌詞沁みるなあ”と思うときって同調の場合が多くて。自分が苦しいときに思い出すのは“この人もスッゲーつらいんだな”という歌詞の方だし、その人の中にある自分を奮い立たせてるワードが曲の中で出てきた瞬間、すごくグッとくる。“大丈夫”“頑張れ”“君はよくやってるよ”じゃなくて、“全然ダメだけど、昨日のごはん美味しかったな”みたいなワンフレーズの救いがあるだけで、俺は勇気づけられるんですよね。
――だから自分も、無敵のヒーローではなく、生身の人間としての言葉を発したかったと。
牧:そうですね。ライブをしていると、フックアップする言葉を結構容易に言えちゃうんですよ。だけどライブができていない現状でそれは言えない、絶対に嘘になるな、と思ったのが一番デカくて。それに、そもそもロックスターには自分の身の回りの生活を唄ってる人が多いし、そういう等身大の面もあるけど、ステージに立ったときにはヒーローとしての面が見えるから、誰しも憧れるのかなと思うんですよね。だから今は、自分の本当の素の部分、裸の部分を見てもらって、お客さんにも“あ、牧も人なんだなあ”と思ってほしい。“人である”というお互いの共通項がちゃんとあるなかで、聴いた人と俺たちが作った曲がピタッとシンクロ(同調)する瞬間を今回のアルバムでは目指しました。
――今回はサウンドもかなり新鮮で、特に「アダムとイヴ」、「倫敦」では共編曲としてThe Anticipation Illicit Tsuboiさんが参加しています。
牧:僕らはいつも、次にシフトする手前のプロトタイプみたいな曲をアルバムの中に入れていて。今回で言うと、この2曲がそうなのかなと。
――ストレイテナーホリエアツシさん(「おはようカルチャー」をプロデュース)やLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさん(「触れたら」をプロデュース)のようなバンドマンではなく、界隈の外側にいる、完全に初めてご一緒する人に声を掛けたということは、バニラズ的には変化や刺激を求めている時期だったということでしょうか。
牧:それはありましたね~。若い頃は、ガムシャラに作ったものがそのままアルバムになっている感じだったんですよ。だけど僕らはこれからも音楽を続けていくから、長いスパンで考えるともっと起伏があっていいし、金太郎飴みたいに同じようなものをずっと作り続けるんじゃなくて、“曲を聴けば当時の生活や精神状態が分かる”と言える作品をスタンプラリーみたいに遺していった方がいいんじゃないかと思って。
――いつ頃からそういうことを考えていたんですか?
牧:『THE WORLD』が出来てからかな? あのアルバムで僕らの基礎となる部分が一旦形になって、その年に30歳になって。ライブの仕方も含めて、これからいろいろ変わっていくだろうし、その軌跡を刻んでいくなかでここからが第2部だという感じはあります。
柳沢 進太郎(Gt) 撮影=高田梓
バニラズの特徴的な部分を凝縮させた曲を俺が作って、それを牧さんと一緒にアレンジしたので、今のバニラズらしくアップデートされているのが面白い。
――柳沢さんの書いた曲に関しては、「クライベイビー」と「伺いとキス」が同じ人間から出てくるのが興味深いというのが一番にあって。
柳沢:あはははは。ありがとうございます!
――「クライベイビー」は牧さんが書いたと言われても信じちゃうかもと思ったんですよ。しかも今までの牧さんの手癖をトレースした曲ではなく、ちゃんと今の牧さんが書きそうな曲で。
柳沢:そもそも「クライベイビー」を作るときには他の曲も揃ってきていたんですけど、その曲たちを見て、新しいバニラズらしさ、今の牧さんが作りたいものを色濃く感じたんですよ。なので、この曲では“逆に、バニラズの特徴的な部分を凝縮させた曲を俺が作ったらどうなるんだろう?”ということをやってみました。それを牧さんと一緒にアレンジしたので、今のバニラズらしくアップデートされているのが面白いですよね。
――逆に「伺いとキス」はオルタナ色全開ですが、こちらはどういうふうに形になっていったんですか?
柳沢:「伺いとキス」に関しては“好きなものを作りなよ”と言われて。モノミックスのサイケを作りたかったので、かなり色濃くやらせていただきました。
――濃いけど3分しかないのがいいですよね。
柳沢:Aメロ、Bメロ、サビって普通に進んでいったら平気で6分行くタイプの曲だと思うんですけど、それをどう短くするかというのはすごく考えて作りました。「クライベイビー」も3分台なんですけど、他の曲を作っている段階から牧さんと“長い曲要らんよね”“なるべく短くしたいね”という話はしていて。僕も普段音楽を聴いているなかで、長い曲を聴かなくなってきたなあという実感があるので、今回はどの曲も短めに集約させています。
――今回バニラズがこのアルバムを出すことによって刺激を受けるバンドもいるんじゃないかと思いますが、みなさんの手応えはどうですか?
牧:いやあ、これができるっていうのは面白いと思いますよ。
セイヤ:日本のロックをひっぺがすアルバムになったかなと思ってます。
牧:去年はライブがほとんどできなかったけど、それがいい方向に作用しているんですよ。フェスや対バンだと、他のバンドの曲を聴くじゃないですか。そこで“あ、盛り上がってるな”と思ったら“そういう曲書こっかな”と思っちゃうこともあって。メジャーデビューしてからの5年間、ずっとそういう環境にあったんですけど、そういう考え方ってクリエイティブとしてはよくないじゃないですか。
――独創的ではないということですよね。自分の内側から出てきているわけでもないし。
牧:そう。でも今は、僕らだけではなく他のバンドも含め、みんながそういう場に出られていなくて、だからこそ“自分の中から出てくるものを改めて作ろう”というバンドは増えてきていると思うんです。オーラル(THE ORAL CIGARETTES)の(山中)拓也とはそういう話をよくするんですけど、彼のように真面目で頭がいい人はやっぱりめっちゃ考えてる。このタイミングで“このバンドはこうだよね”というイメージを取っ払うような作品を出すことができたやつがいたとしたら、そいつ、スゲーなって思います。この1年間めっちゃ考えたんだなって。
go!go!vanillas 撮影=高田梓
――新しいアルバムができると、ライブのやり方もきっと変わるじゃないですか。
牧:そうですね。
――変な話、歳を重ねるなかで、会場中を走り回るようなライブもいつかできなくなるわけで。
牧:まあ、ジジイになっていきますからね(笑)。
――ライブで曲をどう表現していくかという面において、今後やってみたいことってありますか?
牧:それで言うと……僕らのライブってめちゃくちゃ動き回るから、余白がないなあとは思っていたんですよ。そこに演出を仕掛けると、トゥーマッチになるじゃないですか。だけど科学技術や文明はどんどん進化していて、できることは増えていて。だからもっと演奏に徹して、例えば映像とか、他の演出を入れられる余白を作りたくなったんですよね。だからそれを意識して曲を作っている部分も今はあるかな。じゃあどんな演出を入れるのかというと、具体的なアイデアはまだありません。でも新しいものをどんどんバンドに取り入れていきたいという気持ちが今は強いですね。
取材・文=蜂須賀ちなみ 撮影=高田梓

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