「愛する彼女をダンスパーティに誘い
たい!」から起こる大騒動ミュージカ
ル『The PROM』 Produced by 地球ゴ
ージャス

3月10日(木)、東京・TBS赤坂ACTシアターで開幕したブロードウェイミュージカル『The PROM』。連日、演者、スタッフ、そして会場を訪れる観客にもコロナ感染予防対策を徹底的に行いつつ、初の日本版ならではの初々しさ、ゴージャスさ、濃厚さを散りばめた公演を繰り広げている。この日本版の脚本と演出、そして出演も担っているのが、これまでにも数々の刺激的な作品を発表してきた演劇ユニット「地球ゴージャス」の岸谷五朗だ。そんな彼と共にユニットを牽引してきた寺脇康文に加えて、葵わかな、ミュージカル初挑戦の三吉彩花というフレッシュな二人に、岸谷の熱烈なオファーでミュージカル初出演となった大黒摩季、草刈民代、保坂知寿のトリプルキャスト、佐賀龍彦、TAKE、芋洗坂係長など、実力派、個性派が、見事なアンサンブルで歌い踊り、まさに「魅せて」「映えて」くれている作品が、いよいよ5月9日(日)から大阪でも開幕する。
そもそも「プロム」とは、高校卒業を控えた学生たちにとって、重要過ぎるダンスパーティー。日本にはない学校行事にも関わらず、その存在を知っている人は多い。それは昔から映画で頻繁に取り上げられてきた影響もあるだろう。「プロム」がテーマなら、絶対に何か騒動が起きるというのが、アメリカなどプロム文化が根付いている国ではある話だ。
例えば、スティーヴン・キング原作小説をブライアン・デ・パルマが監督したホラー映画『キャリー』。主人公のキャリーが、いじめっ子の同級生、先生たちに対して遂に堪忍袋の緒が切れて、プロムで復讐しまくるのがクライマックス。ケニー・ロギンスの曲も大ヒットしたケヴィン・べーコン主演の映画『フットルース』は、ダンス禁止令が出されている保守的な田舎町を舞台に、都会から転校してきた主人公がプロムを企画するが……という話。
そして、そもそも「プロム」に両親が参加しなければ未来の主人公自身が存在しないということで、過去に戻りなんとかしようと奔走する『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。「プロム」で、はしゃいだり、イチャつく男女はとりあえず成敗しとこ!とばかり、殺人鬼が狙いまくるスラッシャー映画『プロム・ナイト』。
さらにオタクに有色人種に、身体障害者、ゲイなどマイノリティたちが集まる合唱団を描いたテレビドラマ「glee」でも、プロムナイトは重要なエピソードとして描かれていた(ちなみにプロデューサーはNetflix版「The PROM」の監督でもあるライアン・マーフィー)。
『The PROM』 Produced by 地球ゴージャス
そんな新旧、映画を中心にさまざまな分野で取り上げられてきたアオハルビッグイベント「プロム」だけど、今作でも当然、騒動が巻き起こる。
インディアナ州の高校に通うエマは、カムアウト済みのレズビアン。卒業を控え、彼女がプロムに誘おうとしたのは同性の恋人アリッサ。しかし、保守的なPTAが、そんなことは許されません!と、なんとプロム自体を中止にしてしまう。しかもそれが原因で同級生たちからいじめを受けてるように……。
舞台となっているインディアナは、トランプ大統領時代の副大統領を務めたペンスが、州知事時代、LGBTQを弾圧し、差別ができる「信教の自由回復法」という州法を成立させた所(後に無事、法律は修正された)。これを知っておくと、エマがいかに大胆なアプローチを起こしたかわかる。
その結果、田舎町のプロム騒動はニュースとなり、それを見たブロードウェイの“落ち目”のスター俳優たちが、騒動を手助けしたら、きっと話題になるかもと、エマを助けに町へ“頼まれもしない”のにやって来て、急にシャシャリだし、結局ややこしく、さらに騒動は大きなって、ますます彼女は追い詰められてしまうように……はたして彼女たちは?そして彼女たちを利用して起死回生を目指すブロードウェイ俳優たちはどうなるのか?という話。
やはりプロムというのは、ひと筋縄ではいかない行事なようで、上へ下への大騒ぎ、その中でマイノリティの存在、そして未来が描かれる。
公演前に行われた記者会見で、SPICEから「もしプロムが日本でもあったら行ってますか?」という質問に対し、出演陣が答えてくれた。
岸谷五朗
岸谷五朗(落ちぶれたブロードウェイ俳優・バリー役):自分は絶対参加したいですね。日本にプロムがあったらなって心から思います!
寺脇康文(起死回生を狙うブロードウェイ俳優・トレント役):僕は、多分行ってないですね。当時は本当に奥手だったんで、女の子と付き合ったのも高校出てからですから。ダンスも劇団に入ってから勉強しましたし、そういや高校の時、お昼にお弁当を全部ひっくり返しちゃって、あたふたしてる時に、ささっと片付けてくれたキュンとなったのを思い出しました。その人をプロムがあったら誘ってると思います。
寺脇康文
葵わかな(主人公・エマ役):私はきっとプロムには行ってないと思います。元々、華やかな場所が得意じゃないし、イベント事も得意じゃないので、自分からは無理かも。でも誘われたら行ってたかも・・・でもそもそも地味なタイプの学生だったので、誘ってくれるかしら?と思います。
三吉彩花(エマの恋人・アリッサ役):私は・・・男女関係なく、仲のいい友だち同士で集合して、参加してもいいかなと思います。
三吉彩花
大黒摩季(落ちぶれたブロードウェイ女優・D.D.アレン役/トリプルキャスト);私、初代肉食系女子の、恋愛体質ですからそら行きますよ(笑)とにかく本命に自らアタックして、ウソでもいいから一緒に来てって言って、プロムへ行きます。でも・・・結局、バンドのところに連れていかれて、周りから歌えって言われて歌わされて、本命男子を放置してる間にほかの女子に取られるってパターンになるんでしょうね・・・結局、歌って終わるタイプなんですよ。自分自身、長年そういう経験の歌でヒットさせてもらって食べていってますから・・・涙がお金に変わってるんです、それでいいんです(涙&笑)。
大黒摩季
草刈民代(落ちぶれたブロードウェイ女優・D.D.アレン役/トリプルキャスト);18歳の頃を思い出すと、とにかくバレエひと筋で、脇目も振らず、周りに男の子もおらず、つまりプロムとも縁のまったくないつまらない人生でした(笑)だから、きっと参加してないんでしょうね。
保坂知寿(落ちぶれたブロードウェイ女優・D.D.アレン役/トリプルキャスト);私は実はぜんぜん自主性がないので、多分、“みんなどうする?・・・しょうがないから相手を調達して行く?”みたいな流される感じでプロムに参加してたかなぁって思います(笑)。
霧矢大夢(起死回生を狙うブロードウェイ女優・アンジー役);私も草刈さんと同じで、タカラヅカの学生時代を思い出すと、学校行事に参加せず、ひたすら歌や踊りに勤しんでましたので、参加してないんじゃ無いかなぁと思いますね。でも、でもですね、誘われたら行ってたかもしれないです(笑)。
LE VELVETS・佐賀龍彦(ホーキンス校長/ダブルキャスト);プロムは、高校時代、フラれたことがあるので、自分からは誘えなさそうな気がしますね・・・。
Skoop On Somebody・TAKE(ホーキンス校長/ダブルキャスト);僕も寺脇さんと同じ、学生時代は奥手やったんで当時やったら無理やったかもです。でももし、今回のカンパニーの中でプロムに誘うとしたら、大黒摩季ですね!彼女とはミュージシャン同志、20年以上の付き合いですけど、今回、稽古してる時に、みんなの見ていないとこで、できなかった部分に対して悔しいって涙を流してたんです。その姿を見た時に、初めて可愛いなと思いまして(笑)。
それぞれの学生時代を思い出しながらのプロムの参加への答えは千差万別。だからこそ今作が、この時代に見られるべき作品だと思う。大阪公演は5月9日(日)~16日(日)フェスティバルホールにて上演される。笑って、怒って、涙して、『The PROM』はきっとあなたの価値観をアップデートするはず。この春、必見の舞台だ。
取材・文=仲谷暢之 撮影=オフィシャル写真提供

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