L→R Ta_2(Vo)、YORKE.(Painter)

L→R Ta_2(Vo)、YORKE.(Painter)

【OLDCODEX インタビュー】
自分たちを根本から見直して
変わりきってしまおうと思った

自分たちの核さえぶれていなければ
どんな料理であっても香るはず

そもそもJeff Miyaharaさんをプロデューサーに迎えたのには、どんな経緯があったんでしょう?

OLDCODEXを変えていきたいという意見自体はプロデューサーとも一致していて、そういった話をしていた時に“それなら会ってほしい人がいる”って引き合わせてくれ、“絶対にTa_2の刺激になるだろうし、このふたりが出会って何かを作る姿を俺は見てみたい”って言われたから、だったら会おうと。ただ、最初に会った時は自分も警戒しているところがあったので、その時点ですでに“こういう曲をやりたい”って持ってきてくれたにもかかわらず、Jeffの話を素直に聞けない部分があったんです。そこで逆に“あっ、俺ってOLDCODEXに対してすごく情愛が深いんだな”って知れたんですよね。深いからこそ、見えなくなっているものもたくさんあると強く感じて、そこからはJeffの曲と今までの俺たちの曲をずっと聴き比べてました。聴きながら“なんで彼はこういう曲を出してきたんだろう?”とか、“どうして俺は不服だったり、受け入れ難くなっているんだろう?”って考えるうちに、自分がOLDCODEXに対して固執していることや、逆に譲れる部分を箇条書きできるくらいに分析して、そこから改めてJeffに会って、自分の想いや捨てたくない価値観を素直に出させてもらったら、“その気持ちが分かる!”って俺たちに寄り添ってくれたんですね。“じゃあ、Ta_2はどういう音楽が好きなのか、まずはそこから話そうよ”って、それぞれの好きな音楽であったり、通ってきたルーツとかの話をしたら、そこから汲み取ったものを反映させて、さらに楽曲に手を入れてくれたんですよ。それがすごく嬉しくて、その時に“この人と一緒にやれる”と確信しました。

自分の執着や受け入れがたい部分に正面から向き合い、分析して、何が譲れないのかを整理して出したら、ちゃんと答えが返ってきたと。

まさにそういうことです。そこまで逃げ場のない向き合い方を丁寧にできることってなかったので、とても楽しい時間でしたし…なんか、セラピーみたいでしたね(笑)。

今までと違う観点やバックグラウンドを持つ方と話すことで、より自分の中がクリアーになったんでしょうね。

それが面白いことにバックグラウンドがほぼ同じだったんですよ! 俺らがラウドな方面やバンドサウンドというところに執着していったのに対し、Jeffはどんどんポップなところに落とし込んでいった。それって要するに表現方法が違うだけで、使ってる素材は実は一緒だったっていう(笑)。ざっくり言うと和風か洋風かだけの差だから、ふたつをかけ合わせて新しい料理を作ったらいいんじゃないかっていう感覚になりました。自分たちの核だったり、譲れないものさえぶれていなければ、どういうものを出してもそこは香るはずだと。

結果1曲目の「garden gate」からラウドな原曲とは明らかに違う透明感のある聴き心地になっていて、ある意味でハッとさせられるものがありました。

この「garden gate」のリミックスを聴いた時に、自分の中でストンと落ちて“あっ、できたわ”と思って、方向性が全部分かったところがあって、このFYKEのリミックスはめっちゃ好きです。1曲目に置いたのは《木漏れ日に手を翳す》という冒頭の歌詞でアルバムを幕開けたかったからで、やはり“Re:OLDCODEX”と掲げて新しく始めるからには、昇っている陽に向かって歩き出したかったんで。おまけに昔のヴォーカルと今の息吹、歌った当時のメッセージと、今打ち出したいメッセージが混在しながらもぶれてない。朝に聴いてもいい曲だったし、他の曲で始める案もありましたが、ここは俺が押し通しました。

ラストが「Aching Horns」というのも決めてたのでは?

そうですね。Jeffのリメイクをもらった時点で、これは最後に入れようと決めてました。原曲の雰囲気以上にドラマチックにもなったし、自分の考えをより多くの人にポジティブなメッセージとして届けるべきだろうと思わせられる出来事もあったので…ひとつの決意表明として、手紙のような気持ちで歌いたかったんです。

楽曲の神聖なムードがより際立つリメイクですよね。Banvoxのリミックスによる「Deal with」もバンドサウンドの攻撃性がプログレッシヴなアレンジに転化していて、“あぁ、なるほどな”と。

ライヴでやったら楽しそうですよね。この曲だったりKSUKEくんにお願いした「Rage on」なんかは、原曲の強さに翻弄された部分も強かったので、そこは打ち壊してほしいとふたりにはアレンジを粘ってもらいました。「Julio」も原曲のファンク感だったりメロコアみたいなところから、Jeffがより違う魅力を引き出してくれて、俺らのことをすごく理解してくれたんだなと嬉しかったです。あと、DJ KEIKOさんが手がけた「カタルリズム」や「美しい背骨」は彼女の女性感が曲の中に宿ったおかげで、また色味が変わったなと。骨太な楽曲に艶感みたいなところが浮き出てきて、それがヴォーカルとも意外に絡みが良く、俺って意外と女性っぽいニュアンスもあるんだなという発見もありました。

一方で、原曲のイメージをブチ壊してカオス極まる「Heading to Over」があったり、「WALK」のようにテクノ色の強い曲もあったり。

大沢伸一さんの「WALK」リミックスはいい意味で期待を裏切ってくれたから、MVの内容も急遽変えたんですよ。フレンチポップのような“お洒落とは?”みたいなところが際立ってる楽曲だったので、これはYORKE.にスーツを着ていただき、DJテーブルに絵の具をぶちまけてもらおうと(笑)。結果、俺らの色が一番出た気がするのは、まさかのケミストリーというか。大沢さんの人の感性を刺激するリミックスの妙技にやられました。

OKMusic編集部

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