本場フランスの「シラノ」を映画館で
~『コメディ・フランセーズ in シネ
マ/シラノ・ド・ベルジュラック』限
定上映決定

1897年パリのポルト・サン=マルタン座で発表され大ヒットとなった『シラノ・ド・ベルジュラック』は、、フランスの劇作家エドモン・ロスタンによって書かれた五幕の韻文劇だ。17世紀フランスに実在した剣豪作家、シラノ・ド・ベルジュラックを主人公にしている本作は、初演以来今日に至るまで、世界中で愛され、スティーヴ・マーティン主演の『愛しのロクサーヌ』(1987)やドゥパルデュー主演の『シラノ・ド・ベルジュラック』(1990)など映画化も多数なされてきた、まさしく古典中の古典たる戯曲といえよう。
(c) Christophe Raynaud de Lage (c) Pathé Live
そんな、フランス演劇を代表する傑作を、フランス演劇の本場「コメディ・フランセーズ」(1680年、太陽王ルイ14世の命により王立劇団としてスタート、現在は国立劇団)が上演した舞台の映像(演出:ドゥニ・ポダリデス、主演:ミシェル・ヴュイエルモーズ)を、このほど映画館で鑑賞できることとなった。題して『コメディ・フランセーズ in シネマ/シラノ・ド・ベルジュラック』。東京は渋谷のBunkamura ル・シネマにて、2021年4月2日(金)より限定上映される。
コメディ・フランセーズ館内画像 (c) Christophe Raynaud de Lage (c) Pathé Live
折しも、このところ日本ではちょっとした『シラノ・ド・ベルジュラック』ブームが巻き起こっていた。昨年2020年はジェームズ・マカヴォイ主演の現代的な演出が冴え渡る英国ナショナル・シアター版や、ケヴィン・クライン主演のエンターテインメント性あふれる米ブロードウェイ版が相次いで映画館上映され、本戯曲の誕生秘話を描いた映画『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』も日本公開、いずれも好評を博した。さらに、昨春から配信開始し話題をさらったNetflix映画『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』も、まさに現代版“シラノ”といわれている。そんな中、今回のコメディー・フランセーズ版上映は、満を持しての「真打ち登場」といえるものだ。
(c) Raphael Gaillarde (c) Pathé Live
今回ル・シネマにて上映される『シラノ・ド・ベルジュラック』は、2007年に権威あるモリエール賞で演出・美術・衣装など主要6部門受賞に輝き、パリで大人気を博した、名優ドゥニ・ポダリデス演出版の舞台の2017年再演を収録したもの。クリスチャン・ラクロワの衣装や、エリック・ルフの斬新な舞台装置で彩られたフランス最高峰の舞台を映画館のスクリーンで観劇する贅沢な体験を味わえる。冒頭や幕間には演出家・主演男女優・舞台美術担当・小道具責任者のインタビューも充実している。又、客席や楽屋、倉庫の様子も垣間見え、340年の歴史を誇るフランス演劇の殿堂に足を踏み入れたような気分を存分に堪能できるだろう。
(c) Christophe Raynaud de Lage (c) Pathé Live
今回の日本公開に寄せて、エッセイスト・映画評論家・翻訳家として活躍する秦早穂子氏(あのジャック・タチ『ぼくの伯父さん』やゴダール『勝手にしやがれ』を買い付けた人!)が執筆した文章が、A4宣伝チラシおよびBunkamuraル・シネマのサイトで読むことができる。そこでは、本戯曲の沿革やストーリー、本映像版の解説はもちろんのこと、『シラノ・ド・ベルジュラック』の名訳で知られる辰野隆(ゆたか)/鈴木信太郎両氏の解説つきの文学座による朗読劇に触れた終戦直後の十代の頃の記憶も綴られている。エッセイは「フランス語は分からずとも、言葉の美しさ、大切さは感じられる。魂が籠った言葉は生きている」と締めくくられる。
あまりにも有名な作品である割に、フランス演劇の本場コメディ・フランセーズ版の“シラノ”に接した日本人は意外と多くはないのではないだろうか。シラノが自身の大鼻を様々な言葉で表現する長台詞が圧巻の第1幕に始まり、『ロミオとジュリエット』に比肩するバルコニー越しの愛の告白が有名な第3幕、普遍的で深遠な名台詞が詰まった第5幕(最終幕)と、見どころ満載の本作。初演から120年以上を経て今なお愛される不朽の名作を、この機会にスクリーンで味わいたい。
(c) Christophe Raynaud de Lage (c) Pathé Live
(c) Christophe Raynaud de Lage (c) Pathé Live

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