Kroi、chilldspot、Doulの気鋭3組が
出演 配信とラジオの前代未聞なクロ
スオーバーを目撃

SONAR✕SPICE – J-WAVE SONAR TRAX SHOWCASE LIVE with SPICE - 2021.3.15
J-WAVE『SONAR MUSIC』とSPICEがタッグを組み、期待のニューカマー・アーティストたちを迎えて繰り広げるショウケースライブの記念すべき第1回目が、3月15日に開催された。Streaming+を通じた生配信と、『SONAR MUSIC』の放送がリアルタイムで一部連動するという、新たな試みも興味深い。『SONAR MUSIC』ナビゲーターのあっこゴリラがライブ現場でインタビューを行い、またStreaming+では出演アーティストとSPICE総合編集長・秤谷建一郎による楽屋トークも繰り広げられる、実にボリューミーな内容であった。
Doul
3組のアーティストのうち、トップ出演を果たしたのは福岡県出身の17歳、Doul。2020年9月に配信シングル「16yrs」でデビューを果たしたが、それから約半年の間に次々と楽曲を発表する一方、音楽のみならずファッション方面でも国内外から熱い注目を集めているアーティストだ。妖艶なエレクトロスウィングの「Dearest Friends」で、独学の英語詞によるパフォーマンスを切り出すや否や、その挑戦的な視線と支配力のある歌声に惹きつけられてしまう。低い音域を中心に構成されたメロディとナチュラルな節回しに、生々しい感情表現のパンチを宿らせている。
Doul
無観客ライブではあるけれど、周囲のスタッフによるレスポンスの中で嬉しそうにライブの手応えを語るDoul。ニルヴァーナのTシャツにデニムonデニムの自前コーディネイト(ジャケットには大量のスタッズが打たれている)を紹介しつつ、今度はアコースティックギター1本の弾き語りで「INFINITY」を披露する。素朴なリズムトラックと共に弾き語りされる「BYE HOUSE」では、まるでニルヴァーナのアンプラグドライブを観ているかのようなポスト・グランジの曲調に、彼女のハスキーボイスが映えるのだった。
Doul
このライブ配信の2日後にリリースされることになった新曲「The Time Has Come」では、不穏なロックグルーヴに絡みつく節回しが、海を越えて影響力を発揮し始めている新世代ロックスターの姿を映し出していた。「Are You DOOBRO?」(DOOBROはDoulファンの呼称)と呼びかけて、最後に披露されるのはデビュー曲「16yrs」だ。年齢による偏見や格差を突破してしまうこの曲は、世界90カ国で3000ものプレイリストに入るほどの大きな共感を集めてきた。トップバッターとして、まさに新世代の力強い息吹を感じさせるパフォーマンスであった。
chilldspot
続いては、メンバー4人がこの春に高校卒業を迎えたばかりという東京出身のバンド・chilldspot。昨年11月にリリースされたファーストEP『the youth night』に触れれば、その大人びた官能や情念が横たわる雄弁な音楽性に驚かされるはずだが、バンド結成から1年余の間にはコロナ禍の影響もあり、なんと今回の出演が初ライブになるという。左利き用のギターを携えた女性ボーカリストの比喩根を中心にしたバンドサウンドで、まずは洒脱なシティポップ風の「夜の探検」を切り出す。音数は絞り込まれているものの、抑揚を描き出す巧みなアレンジが練り上げられている。
chilldspot
ファンキーで挑発的なラップソング「人間って。」は、触れる者の鳩尾に重く残るネオソウル風グルーヴがロックな爆発力へと移行し、ギターとベースのフリーキーなフレーズが呼応する。比喩根は、初ライブの緊張感を正直に告白しながらも、「観ている人、聴いている人にエネルギーが届けばいいな、と思います」と語り、チル&スロウなソウルチューン「ネオンを消して」へと向かう。甘い響きの中からも、切々としたエモーションが滲み出るパフォーマンスだ。
chilldspot
浮遊間に満ちたサウンドの中で、一日の記憶を振り返るように届けられる「flight」を経て、「短い時間でしたが、楽しかったです」と挨拶を挟みながらシームレスに連なるのは、3月19日リリースの最新シングル曲「Monster」だ。凝り固まった価値観を押し付けてくる人々へ「その考えは本当に正しいのか?」と対峙しつつも、「そう言う自分はどうなのか?」と自分自身にも問うメッセージソングになっている。歪みの効いたギターリフが燃え盛り、鋭い感受性と鍛え上げられた表現力が、確かな爪痕を残したステージであった。
そして今回のトリを務めるのは、冒険心溢れるミクスチャーサウンドで飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せている5人組バンド・Kroi。景気の良い音出し一発、内田怜央(G/Vo)は「どうも皆さん、Kroiちゃんですー」と茶目っ気たっぷりにピースサインを繰り出すのだが、マイクの傍らで自らボンゴを叩きまくる「Flight」からして、強力なグルーヴが立ち上ってくる。長谷部悠生(Gt)、関将典(Ba)、益田英知(Dr)はすこぶるタイトなサウンドを放ち、そこに千葉大樹(Key)がコズミックで激しいソロを挿し込んでいった。
Kroi
一転して、ジャジー&スウィートな「侵攻」がプログレッシブな展開を繰り広げた後には、「やったー! 拍手貰えるー!」とライブの喜びを露わにする内田。SONAR TRAXにも選出されたアップリフティングなナンバー「HORN」では、メンバーの豊かなハーモニーワークが並走し、2本のギターが踊るようにフレーズを奏でる。スティーヴィー・ワンダー風のキーボードサウンドに導かれる「risk」は、ポップなソングライティングの向こうに痛ましい切望感が見え隠れする、リリカルな名曲だ。
Kroi
Kroi
そしてPファンク風の「Mr. Foundation」以降は、いよいよKroiの暴れ出したら手のつけられない熱狂的パフォーマンスが牙を剥く。たとえそれが無邪気に戯れ合うようなムードだとしても、猛獣は猛獣なのである。興奮を駆り立てる関のベースイントロに導かれた最終ナンバーは「Fire Brain」だ。内田はハスキーボイスのソウルシャウターとして本領を見せつけるけれど、Kroiはメンバーの誰もが発火点に成り得る全員攻撃参加型のバンドである。どこから決定的なプレイが飛び出すか分からない、そんなスリリングなパフォーマンスをこれからも見せてくれるだろう。
Kroi
Kroi
それぞれに限られた持ち時間のパフォーマンスは、まだまだ観ていたい、触れていたい、という名残惜しさを伴うものではあったけれど、間違いなく今後の音楽シーンを担うフレッシュな表現技術とアイデアを、3組のアーティストたちがしっかりと伝えてくれた一夜であった。

取材・文=小池宏和 撮影=高田梓

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