GRANRODEO:インタビュー 今まで歌
ってこなかった“青春”を追求、コン
セプトミニアルバム『僕たちの群像』
で映像×音楽の融合に初挑戦

GRANRODEOが、2枚目となるコンセプト・ミニアルバム『僕たちの群像』を2021年3月10日にリリースした。
同作は、“映像と音楽の融合”がコンセプト。初回限定盤のBlu-rayに収録されるオリジナル・ショートムービー『ロストマインズ』の脚本を読み、KISHOWとe-ZUKAが楽曲を書き下ろすという、初の試みが行われた作品となっている。
SPICEでは、KISHOWとe-ZUKAに、本作に込めた想いをインタビュー。また、2月・3月に開催された久しぶりの有観客ライブの感想も訊いた。
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【インタビュー】「お客さんがいるのといないのとでは、もちろんだけど全然違くて」(KISHOW)
――ますは最近のGRANRODEOから伺いたいのですが、いつレコーディングしていたんだろう? と思うくらいコンスタントにライブに出られていますね。
KISHOW 忙しくてもやればできちゃうっていう前例ができちゃいました(笑)。しかも『飯塚昌明ANNIVERSARY LIVE “e-XPO 2020”』(2月1日開催)と『オダイバ!!超次元音楽祭 -ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2021-』(2月13日開催)は、コロナ禍以降久々にお客さんを入れてのライブができまして、感激しました。
やっぱりぐっとくるものがあります。少しずつ日常が戻りつつあるのかな……? って。ちょっとだけいままでのライブの香りをかげたことが、うれしかったです。お客さんがいるのといないのとでは、もちろんだけど全然違くて。お客さんは、声も出せないしいつもみたいに騒げないんですけど、それでも“そこにいる”だけで、違うんです。2月27日・28日と3月にもお客さんを入れた状態でのライブが決まっているので、とてもありがたいなと思ってます。(※取材は2月中旬)
『e-XPO 2020』より(カメラマン:キセキミチコ)
e-ZUKA 『e-XPO 2020』はライブハウスだったので、お客さんの顔もしっかりと見えました。みなさんマスクをしてますから、「いつも来てくれてるあの人かな?」ってところまでは今回はわからなかったけど、それでも見えてました。
『超次元音楽祭』はアリーナ会場でしたが、ステージからは満員に見えるんです。あの景色を見たときは感動しましたね……。ああ、いままでこういう景色を見ながらライブをやれてたんだなって。これからも、いろんな対策をしたうえで、少しずつ進んでいかなくては、と思いました。
「改めて、“コンビっていいな”と思いました」(e-ZUKA)
――『e-XPO 2020』では、GRANRODEOとしてではなく、ボーカリストの谷山紀章さんを迎えてのステージでしたね。
e-ZUKA 改めて、「コンビっていいな」と思いました。
KISHOW それ思ったの、トークパートでしょ(笑)?
e-ZUKA そうそう。ひとりでMCしてると、誰も突っ込んでくれないからどんどん長くなるんです。でも、結局は僕ときーやんふたりの時が、一番トークが長かったらしいです。いずれにせよ、相方がいるって大きいなと思いました。
『e-XPO 2020』より(カメラマン:キセキミチコ)
――『君が望む永遠』のキャラソンなど、懐かしい楽曲も演奏されてましたね。
e-ZUKA GRANRODEOを結成するきっかけになった「未完成のGUILTY」や「LAST SMILE」は、最近あまりライブでやってこなかったので楽しかったです。このご時世なかなか難しいのですが、本当はもっとデュエットとか、ボーカリスト同士のコラボがやれたらよかったな。
僕、エゴサが好きだから皆さんのツイートを見たんですけど、「他のアーティストのときは楽しそうに飛んだり跳ねたりしてたe-ZUKAさんが、きーやんが出てきたらいきなりGRANRODEOの雰囲気になった」なんて感想がありました(笑)。
――さすがの信頼関係!
e-ZUKA ほかのゲストのときは僕がホスト側なので、少しでも楽しんで歌ってもらえるように盛り上げなければという意識が勝手に働くんですが、きーやんとのステージは、お互いに自分のことだけに専念できるんです。その感じも、おもしろかったですね。
KISHOW 僕もトークがおもしろかったです。GRANRODEOだったらつい自分主導でトークを回すんですけど、今回は谷山紀章として出させてもらったので、e-ZUKAさんに任せられたし(笑)。GRANRODEOではなく谷山紀章として出てたり、栗林みな実ちゃんと歌ったりできるあのステージは、お客さんの雰囲気も手伝って、ホーム感を感じました。ただただリラックスしてステージに立てたのがよかったですね。
でも何よりも、1年前にやるはずだったこのイベントが、無事開催できたことが一番大きいかな。本当は満員の豊洲PITで皆さんときゃっきゃっ盛り上がる予定だったわけで。それでも1年待って開催できたこと、無観客ではなく、半分でもお客さんを入れて開催できたことは感慨深いです。
「お客さんが入ると、その分パワーが吸い取られるもんですね」(KISHOW)
――『超次元音楽祭』はいかがでしたか?
KISHOW 超次元音楽祭は会場の規模が大きかったんで、懐かしかったです。アニソンくくりのフェスだったので、藍井エイルOxTといった顔なじみの面々がいたりして。歓声こそないけれど、客席のサイリウムの感じも「キラキラしとるなあ~」って。
――お客さんがそこにいることが、サイリウムの光で伝わってきますもんね。
KISHOW あと、ものすごく疲れたんです。
e-ZUKA 疲れたね~!
KISHOW あの規模でお客さんが入ると、その分パワーが吸い取られるもんですね。決して観客のいないカラオケで気持ちよく歌えるような感じにはいかないもんだなと、今さら思いました(笑)。何年やってんだって話ですけど。
――散々満員の観客の前で出し切って歌ってきたKISHOWさんですら、お客さんがいることの意味を実感したという。
KISHOW きっと、パフォーマンスもなにもせずに、ただただ直立不動で歌ったとしても疲れると思う。しかもイベント初日のトリを務めさせてもらったんで、より頑張らなきゃと気合も入りましたね。MCのバナナマン・設楽さんが僕のエピソードに食いついてくれて、「次回もぜひ」と言ってくれたのがおもしろかったです。頑張ってトークでも盛り上げたかいがありましたよ。
『僕たちの群像』のキーワードは、“世界線”、“青春”、“未来”、“群像劇”
――そんなライブ漬けのGRANRODEOがリリースする新作は、2作目のコンセプトミニアルバム『僕たちの群像』。映像と音楽を融合させた作品という、いままでにないコンセプトが印象的です。

オリジナルショートムービー「ロストマインズ」

KISHOW 最初にショートムービーの脚本をいただいたので、そこから“世界線”、“青春”、“未来”、“群像劇”というワードを拾っていった感じです。なので、「未来線を上って」自体は完全にショートムービーのための曲として作りました。
この世界観がなかったら生まれなかった歌詞ですし、おそらく楽曲もそうなんじゃないかな。しかも今回、曲も映像も同時進行で作っていったんです。
――それはかなりハードルが高そうですが……。
KISHOW 直監督も、普段はMVを数多く手掛けられてる方だそうで。監督も普段は曲ありきで映像を作ってるし、僕らもタイアップの場合は作品に合わせて曲を作りますけど、今回はまだ形になっていない状態でお互いに同時進行で作るしかなかったので、お互いにイメージを膨らませて作り上げた感じでした。
監督も僕らも、制作期間がそんなにないなりに一気に作ったので、勢いで作る感じや完成しすぎてない感じが、それこそ青春ぽくっていいんじゃないでしょうか。
e-ZUKA 確か1月8日くらいが僕の締め切りだったんですけど、撮影もそのあたりだったよね。「未来線を上って」と「その愛と死を」のデモが出来上がってたくらいかな。
ただ、今回の曲自体は、脚本があった分イメージが浮かびやすかったです。脚本を読む中で、ショートムービーのサウンドトラック的な、すべて映像のための1枚というのもいいなと思って、コンセプトアルバムに落ち着きました。
「そういえばGRANRODEOではやってこなかった」(e-ZUKA)
――制作の始まりがいつもと違うからこそ生まれた楽曲たちなんですね。
e-ZUKA そうそう。GRANRODEOの最新曲である「welcome to THE WORLD」(『GRANRODEO Singles Collection “RODEO BEAT SHAKE”』収録、2020年11月発売)に続く曲を作るぞ、っていうやり方ではないんです。脚本を読んだその場で曲が浮かんだんですが、いかにも青春っていう曲はそういえばGRANRODEOではやってこなかったなと気づきました。だから作りがいもあったし、すごく楽しかったです。
――2月にラジオで「未来線を上って」初オンエアされた際も、リスナーから「今までにない曲調」といったような感想がありましたね。
e-ZUKA なんで今までやってこなかったんだろうね。
――テーマが決まっているからこそ、あえて振り切って出せるものもあるのでしょうか。
e-ZUKA 脚本のように、インプットされるものがあると大きいですよね。
KISHOW 歌詞もそう。特に脚本のなかに言葉が並んでいるので、キーワードがいくらでも拾えますから。
――コンセプトが出来上がっているなかで、GRANRODEOらしさを成立させるという難しさはありましたか?
KISHOW それに関してはなかったです。もともとGRANRODEOの歌詞でも、そんなに整合性がとれてるわけじゃないですからね。むしろそういうところがKISHOWの作詞の味になるだろうと思ってやってます。だからGRANRODEOっぽさを作為的に考えなくても、僕が書けば勝手にGRANRODEOの曲になる(笑)。
――なるほど。それにしても爽やかで、驚きました。
KISHOW ね、やれちゃうもんだね♪
「あえて歌い直さないのが“青春やぞ!!”と思って」(KISHOW)
――KISHOWさんが、年々ハイトーンが歌いやすくなってると以前おっしゃっていましたが、「未来線を上って」はアップテンポなうえにキーも高め。
KISHOW 疾走感とか、青春の切なさとかが出せたんじゃないかなと。今回、サビの「拓くんだろう」、「見えるかなあ」、「会えるんだろう」の3か所は、あえて修正しないままにしたんです。もっときれいに歌い直そうと思えばできたんですけど、それをあえて歌い直さないのが「青春やぞ!!」と思って。
――ああ、それは確かに青春です(笑)。
KISHOW 普段の僕だったら、生理的に嫌だし絶対歌い直してるんです。ちょっと荒いというか……必死感が出ちゃうから、もっときれいに狙った音で歌いたいところなんです。でもあえてそのままにしました。なので完成した音源を聴くと、個人的にはものすごくソワソワするんです(笑)。もうちょっときれいに声出せよって。
GRANRODEO / 僕たちの群像 - CM
――思い出してムズムズする感じも、まさに青春!
KISHOW でも、レコーディングの時点で、あえてそのままにすることを意図的に選んでるんで、この曲に関してはこれが正解。e-ZUKAさんも、「普段のきーやんだったら歌い直すのに、今回は歌い直さねえな」って気づいてたんじゃない。
e-ZUKA うん。アオハルな感じが出せたと思います。この歌い方だからこそ、訴えかけてくるものがある。歌として正解を目指すのか、セリフとして正解を目指すのかの違いみたいなもんだよね。
KISHOW この曲の中でも一番高い音だし、ここが聞かせどころ。個人的なむず痒さも含めて、歌唱の面では一番のポイントです。
――よくアニメのアフレコでも、必死に叫ぶセリフで声が裏返ってしまったとき、あえて直さずにそのままOKテイクとする場合がありますが、それと近い感じですね。
KISHOW そういう時、たまに「もう一回やり直させてください」って自己申請して録り直す声優がいますけど、結局音響監督はあえてきれいな方は使わずに、裏返ってる方を使ったりするんですよね(笑)。歌に関しては、そのジャッジを自分たちでやってるので、なんぼでも修正できちゃうし最終的な決定権は自分たちにあるんです。
――でも修正しなかった、と。
KISHOW 踏みとどまりました(笑)。
――きれいな音、完成された音だけがすべてではない。それをGRANRODEOがやるのもいいですよね。
KISHOW 歌い手の気持ちよさと、リスナーの受け取り方は違いますからね。コンセプトが聴いてくれた人に届くのが一番なので。きっと、僕自身が学生たちの粗削りな姿が詰まった映像から、感じるところがあったのかもしれないですね。歌入れ自体も、撮影後でしたし。
ショートムービーには先生役として出演、撮影の感想は?
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――撮影はいかがでしたか? おふたりの先生姿のビジュアルが公開された際は、「この学校に通いたい」という反響が多く寄せられました。
KISHOW ホントですか、でも僕ら非常勤なんで(笑)。撮影は、奥多摩にある廃校で撮ったんですが、昨年作った「Y・W・F」のMVの撮影場所と同じだったので、短いスパンで奥多摩に足を運ぶことになりました。
――「Y・W・F」ではおふたりは学ラン姿でしたが、今回は先生役でした。
KISHOW 学生役の若い役者さんたちが教室にわーっといるのを見たら、ついつい自然に先生視点になっちゃいました。僕もこっちの視点になる日が来るなんて……いつの間にか立派な大人だなと(笑)。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」
――ショートムービーのなかには、おふたりのセリフもあるのでしょうか。
KISHOW いままでもMVでドラマ仕立ての撮影はしてきましたけど、カメラの前でお芝居する分には全く問題なかったのに、実際にセリフを言いながらいろんな段取りを意識しつつ演技するとなると、全然ダメ(笑)。
例えば、「このセリフのあとにこう動いて、○○役の子に手渡して、そのまま去っていく」っていうだけのシーンでも、やらなきゃいけないことに意識がとらわれちゃって、芝居どころじゃなくて。僕、芝居向いてないんじゃないかと思いました。
e-ZUKA (笑)。
KISHOW 声優はがんばってきたけど、映像の演技は間違いなく向いてないことがわかりましたね。
e-ZUKA 声優はセリフだけで芝居するのに、映像になったとたんセリフがあるのが嫌っていうのがおもしろいよね(笑)。
e-ZUKA e-ZUKAさんの先生姿は、僕よりも全然堂に入ってて、「ちゃんと先生やっとる!」と思いましたよ。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――先生姿のおふたりが廊下を歩いているカットも、いつもと違う雰囲気で印象的です。
e-ZUKA あのシーンはショートムービー本編にはなくて、CMのためだけに撮影したカットなんです。
――映像と音楽の融合をテーマに、正面から青春を描いているコンセプトアルバムだからこそ、聴いていて・観ていて、全力で青春に浸れるのがリスナーとしても楽しかったです。
KISHOW お~それはうれしいですね。今回いい体験ができたなと思います。“世界線”とか“タイムリープ”とかって、みんな好きな世界観だと思いますし、ここ数年よく見かけるワードですよね。御多分に漏れず僕も好きなので、そういう楽曲を作れたことが楽しかったです。
「全5曲でこの映像の世界観を表現したい」(e-ZUKA)
――主題歌以外にもいろいろなタイプの曲が収録されていますが、どのように作っていったのでしょうか。
e-ZUKA 全5曲でこの映像の世界観を表現したいなと思って、それぞれ登場人物をイメージした楽曲になっています。「オレンジピール」と「その愛と死を」は、2020年の外出自粛期間中に作っていた曲がベースですね。
大体こんな感じで行こうと思っていますという5曲のテーマを、監督さんに送ったところ、「OKです」と言っていただけて大枠が固まりました。映像は監督の作品ですが、音楽はGRANRODEOの作品なので、お互いに確認しつつ進めるというやり方も新鮮でしたね。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――映像を見ると、曲の印象もさらに膨らみそうですね。
e-ZUKA 高校生になったつもりで曲を作っているので、楽しんでもらえるんじゃないかな。って、「今どきの高校生をバカにするな」って怒られたらどうしよう。
KISHOW あはは!
e-ZUKA 奇をてらいすぎず、青さも大切にしてみました。
「どうしようかなあと考えた結果、“バカじゃないのっ”って言ってみたんです」(KISHOW)
――2曲目の「オレンジピール」は、学生ならではの恋愛が描かれていますが、歌詞の目線は大人なのもいいですよね。
KISHOW 高校生のつもりになって書きたかったんです。でもどう頑張っても、“高校生のつもりになったオジサン”なんだなって実感しました(笑)。どうしても、“あの頃の自分”を見る視点になっちゃう。それこそ、我々は未来線を“下って”るわけです。
――確かに(笑)。高校時代の自分にとっての未来線の先にいるのが、今の自分ですからね。こればっかりはどうしようもない。
KISHOW まさに(ムービーの中で演じた役と同じで)学校の屋上にいて、彼らのことを見守ってる立場だなと気づきました。いろいろ経験して知っちゃったからこそ書ける歌詞になってます。
――そんな歌詞を、このファンキーで可愛げすらあるサウンドに乗せてしまうのがたまらないですよね。
KISHOW そうなんですよね。シリアスなのは苦手なんで。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――曲自体が楽しいのですが、それ以上に曲中のセリフ部分がかわいくて笑ってしまいます。
KISHOW あれは、アドリブでセリフを入れてみようかって言われまして、どうしようかなあと考えた結果「バカじゃないのっ」って言ってみたんです。
e-ZUKA 明石家さんまさんが真似する大竹しのぶさんみたい(笑)。
KISHOW 確かに(笑)。そのあと、男子が「うっせえ!!」って言ってる声も入れて会話にしてみました。ここ、ライブの時どうしようかな。いつかお客さんも声が出せるようになったら、ロデオボーイとロデオガールでやってくれたらいいよね。
e-ZUKA いいね、それ。
――パリスヒルトンとプラトンで韻を踏んでくるのが最高でした。
e-ZUKA (笑)。
KISHOW ラッパーの素質あるでしょ。(ジョイマンの歌ネタの節で)パリス~ヒルト~ン 勝手にプラトン♪ってね(笑)。
一同 爆笑
KISHOW これツボるな(笑)。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――3曲目の「妄想GRAVE」は、GRANRODEOらしい骨太なサウンド。
e-ZUKA 脚本の第1稿に「放送室から音楽が流れている」「朝にしては激しい音楽」みたいなセリフがあったんです。
それを読んだ瞬間、僕の中では爽やかな疾走感のある曲が浮かんだんですが、うちのディレクターからは、むしろ『20世紀少年』みたいな、T.REXの「20センチュリー・ボーイ」のイメージもありじゃないかと言われて。なるほど、確かに骨太でリフ押しの曲もありだなと思って作ったのが「妄想GRAVE」です。以前BUCK-TICKさんのトリビュートアルバムでカバーさせてもらった「天使は誰だ」みたいなテイストもあるな。あの曲もすごくシンプルなので。
オリジナルショートムービー「ロストマインズ」より
――アルバムタイトルにもなっている「僕たちの群像」という言葉が歌詞に入っていますね。
KISHOW 少年たちの群像劇を書くにあたって、これくらいシニカルな視点を持ってる少年が一人くらいいてもいい……というかいるだろうと思って歌詞を書きました。
でもやっぱり、ある程度経験積んでる自分が書いたせいで、18歳にはなりきれなかったという(笑)。これが真理ですね。でもこれはこれでありだよね、と。「キミは晩年ボクは少年だったね」なんて、完全にメタ目線ですし。「愛を忘れるの」「愛を覚えるの」は大人じゃないと書けないなと。
――確かに(笑)。
KISHOW もともとは曲名を「僕たちの群像」にしようと思っていたんですが、ちょっとキレイすぎるので「妄想GRAVE」になりました。
――漢字とアルファベットの感じが、10代っぽいです。
e-ZUKA 「閃光ライオット」とか「完全感覚Dreamer」とかね。我々も「日常ホライズン」って歌ってますし。あの系譜です。
YOASOBIみたいなテンポの速い曲や、ボカロ曲にあるようなテイストの曲をやってみたいなと思って」(e-ZUKA)
――4曲目の「18SDGs」は、アップテンポでメロディアスなインスト曲。
e-ZUKA 1枚目のコンセプトアルバム『M・ S COWBOYの逆襲』にもインスト曲は入っていたので、今回も入れたいなと。去年の紅白歌合戦を見ていても思ったんですが、YOASOBIみたいなテンポの速い曲や、ボカロ曲にあるようなテイストの曲をやってみたいなと思って作ってみました。そう思ったのも、脚本がきっかけです。
――まさに登場人物たちが聞いていそうな楽曲ですよね。
e-ZUKA そうそう。ショートムービーのなかに、ゲームが好きな“中原蓮”というキャラクターがいたので、彼をイメージしてみました。
――なるほど! 今回はインスト曲ですが、もしKISHOWさんだったらどんな言葉を乗せていただろうと考えるのも楽しいですね。
KISHOW タイトルがタイトルですからねえ。
――ちなみに「18SDGs」にはどんな意味が?
KISHOW 18歳の……さだめと……なんとか(笑)? まあ僕のいないところでよくぞこんなかっこいい曲を作ったなと思いました。ライブではきっと僕のお着換えタイムに演奏されることでしょう。いつも着替えながら、「あ、今日は調子いいな」とか、「今日、ずいぶん走ってんな」って思いながらe-ZUKAさんのギターを聴いてます。大体わかるんです(笑)。
――e-ZUKAさんは、KISHOWさんのその日の調子をどんな瞬間に感じてるんですか? ジャンプの高さとか……?
KISHOW あはは! なんでそこ(笑)。かなりの終盤!
e-ZUKA KISHOWはいつもノってます(笑)。
「そもそもe-ZUKAさんの曲がすごくいいんです」(KISHOW)
――そして5曲目はバラード曲「その愛と死を」。
KISHOW この曲、監督に一番褒められたんだよね。この曲は、そもそもe-ZUKAさんの曲がすごくいいんです。これだけストレートなバラードは久々だったので、がんばって歌詞書こう! と思いました。メロディが泣けるので、歌詞も泣かしにいくしかないなと。
脚本を意識して書いたわけでもないんですが、ショートムービーが、不慮の事故で亡くなってしまった“鳴海司”というキャラクターがきっかけで始まる以上、“死”っていうテーマは外せないなと。「夕陽が影を引っ張り夜を連れてきた」っていう歌詞は、小説家かなと自分で思いました。
――その情景と曲の余韻に捨て置かれる感じがたまりません。
KISHOW でしょう。GRANRODEOにとって久々のバラード曲っていうだけでも、きっと喜んで聞いてもらえるんじゃないかな。監督も、ショートムービーで伝えたかったことは、まさにこの曲で歌ってることだって言ってくれました。そこまで意識してなかった分、うれしかったですね。
――3月の『GRANRODEO limited SHOW 2021』で聴けるのが楽しみです。
KISHOW なんなら今回の5曲✕3セットくらいやろうか。っていうか、僕らがそれくらいやりたい(笑)。実際にライブで演奏して、この曲はこう届くのかって掴めるにはそれくらいやらないと。今回はやっとお客さんを入れてできるんで、楽しみです。
難易度が高いのは「オレンジピール」
――ライブで演奏できるのが楽しみな曲をひとつあげるとしたら?
KISHOW 「Scorn」ですね(笑)! 最新アルバムからではないという。
――まさかの『情熱は覚えている』のカップリング曲!
e-ZUKA (手にしていたアコギで「Scorn」を引きながら)
KISHOW あの高音出るかな~。もちろん今回の4曲はどれも、大切に歌いたいですが……しいていうなら「オレンジピール」。このキーでちゃんとかわいく歌えるかな。軽々と気楽に歌っているように聞こえますが、しっかり音を取らないといけないので、実は難易度高め。でもせっかく集まってくれたお客さんたちのためにも、がんばりたいと思います。
「ちょっとでも世の中に明るい何かを残せるように」
――最後に、ファンへのメッセージをお願いします!
KISHOW 『僕たちの群像』の“僕たち”には、君たちも入ってるんだぜ! 以上!
e-ZUKA (笑)。
KISHOW あの頃の気分にひたってもらうもよし、ひとりじゃないんだって思ってもらうもよし。そしてライブでは、僕ら以上に皆さんがエネルギーを解放するためのものなので、ちょっとでも世の中に明るい何かを残せるように、皆で楽しみましょう。
e-ZUKA なかなかいいコンセプトアルバムができたと思います。まだまだ我々の楽しい15周年は続いていきますし、なんならあと15年間くらい続くかもしれない(笑)。
それくらい、いろんなことを企画しては延期、企画しては延期の日々ですが、それでもできることをコツコツと続けていきたいなと思ってるので、皆さんも期待していてください。54歳になってもこうして音楽で青春ができるわけですから、GRANRODEOに不可能はないと思います。
KISHOW (笑)。
e-ZUKA 一緒に楽しんでいきましょう!

GRANRODEOは、2021年5月にZepp Hanedaにて『GRANRODEO LIVE 2021 ”Rodeo Coaster”』を開催。15周年の勢いは、まだまだ止まらない。
取材・文=実川瑞穂

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