L→R 清弘陽哉(Dr)、汐田泰輝(Vo&Gu)、岩橋茅津(Gu)、中村龍人(Ba)

L→R 清弘陽哉(Dr)、汐田泰輝(Vo&Gu)、岩橋茅津(Gu)、中村龍人(Ba)

【Bye-Bye-Handの方程式
インタビュー】
“ろまんす快速特急”という
タイトルに相応しい世界観を出せた

いろんな新しいことに
挑戦した一枚になった

続いて、『ろまんす快速特急』のプレイ面について話しましょう。みなさん、今作のレコーディングはいかがでしたか?

清弘
今回は曲調のバリエーションが広いので、頭を柔らかくするようにしたというのはありますね。リズム面での意外性を意識して、ドラムセットというものに縛られないようにしたんです。ほとんどスネアしか叩いていないような曲があるし、5曲目の「夢送り競走曲」はマラカスみたいな音が入っているじゃないですか。あれはミンティアを振って“シャカシャカ”鳴らしてるんです(笑)。
全員
そうそう!(笑)
清弘
そんな曲もありました(笑)。演奏面で印象深いのは「romance tower」と「甘い記憶」ですね。僕はシンプルなスネアの“ダカダカダカッ”というのがすごく苦手で、ちょっと避けてきた部分があるんですよ。「romance tower」があがってきた時に、逆にここでめちゃくちゃ入れたろうと思ったんです。「romance tower」のスピード感だったり、Cメロの爆発感だったりを表現するには、それが一番いいと思ったんで。なので、頭からずっと“ダカダカダカッ”てやっているし、Cメロとかはもうすごいことになっています(笑)。「甘い記憶」は“80年代のアイドル”というワードあって、’80年代の歌謡曲はシンプルなビートで押していることが多いじゃないですか。そういうシンプルすぎるくらいシンプルということを意識しつつ、でも面白くなかったらいけないというのがあったから、ちょっとキメを多くしてみたり、メロディーを踏まえてビートを考えたりしました。それがすごく面白かったです。
中村
僕はこのアルバムがBye-Bye-Handの方程式で初のレコーディングだったんですけど、自分のスタイルは前のベースの人と全然違っているんですよ。そこをどうするかというのがあったけど、ここで新しいBye-Bye-Handの方程式になったことを印象づけたかったので、自分の色を出していくことにしました。ただ、リードの「romance tower」みたいな、いわゆる表に立つ曲はベースが凝りすぎるのは違うと思うんですよ。ベースが遊びすぎると歌や他の楽器の邪魔になってしまうからボトムを支えることに徹して、遊べる曲は自分の色を出せるように遊ぶという感覚でフレーズを考えていきました。僕は違うバンドをやっていた時からヴォーカルのメロディーに被せるフレーズを弾くことが多くて、そういうアプローチが好きなんですね。それがどんどん改良されてきていて今があるという感じなので、「少女は月夜に夢を見る」とか「甘い記憶」「待ってくれないわ」といった辺りはそういうベースになっています。
岩橋
ギターは“楽曲の一部になるフレーズ”ということを全編を通して大事にしました。“このギターがないと曲が成立しない”というようなフレーズだったり、耳に残るフレーズ、そのポイントがひとつあるかないかで大きく違ってくるフレーズというのを意識しながら作りましたね。だから、ほとんどコードは弾かずに、ずっとフレーズやリフを弾いてます。昔からそういうスタイルを目指してのが、ここ一年くらいでやっとかたちにできるようになったんです。

リードギターらしいアプローチが光っていますが、ここまでいろいろなフレーズを考えるのは大変な気がします。いつもどんなふうに作っているのでしょう?

岩橋
曲によりますね。デモを聴いた段階で全部のパートのイメージが浮かんで、それをギターに置き換えるときもあれば、“ヤバい、全然思いつかん”という時もあるんで。で、“しばらく連絡しないでください”みたいな(笑)。
清弘
本当にそういう時があるんですよ(笑)。
岩橋
今回だと「目を閉じるだけ」が、そのパターンでした。この曲だけはまったく正解が分からない状態で始まって…かなり悩みましたね。

ギターに関しては、「最終トレインあの子の街へ」と「甘い記憶」でボトルネックを使ってることも印象的です。

岩橋
ボトルネックは初めてやりました。僕はサザンオールスターズが大好きで、「甘い記憶」みたいな曲にボトルは合うんじゃないかと思ったんです。初の試みだったけど、うまくはまって良かったです。
汐田
あと、「最終トレインあの子の街へ」と「夢送り競走曲」で初めてギターバンジョーも弾いたよね。
岩橋
そう! 泰輝がギターバンジョーを買ってきて、“これを弾いてくれ”と言われまして(笑)。
汐田
曲を作った時に自分の頭の中で鳴っている音があって、最初はマンドリンかなと思ったけど、マンドリンよりもウエスタンな音だったんですよ。それで、自分が求めている音が出せる楽器を探しに行ったら、ギターバンジョーがあったんです。それを弾いた時に、“この音なしには『ろまんす快速特急』は完成しいひん!”ってなりました。“もうこれは買うしかないやん”と思ったけど、高かったんですよ。でも、これを買ってバンドの原動力になればいいなと思って。
岩橋
泰輝に“弾いてくれ”と言われて弾いたけど、なんとか弾けたという感じですね。最初はかなり手こずりました。でも、アコースティックギターとギターバンジョーだけの「夢送り競走曲」が特にそうですけど、普通のギターの音を加工したり、バンジョーのサンプリングとかでは絶対に生のギターバンジョーの音や空気感は出せないと思ったんです。だから、もう必死に練習しました。今回は今まで以上に、いろんな新しいことに挑戦した一枚になりましたね。

OKMusic編集部

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