舞台初出演の渡辺大が『魔界転生』で
宮本武蔵役に挑むーー「たくさん準備
をして突っ走ろうと思っています」

山田風太郎原作の同名小説を、マキノノゾミが脚本を手掛け、堤幸彦が演出を担う舞台『魔界転生』が2021年4〜6月、愛知、福岡、東京、大阪で再演される。

「魔界転生」という死者再生の術により、この世によみがえった総大将の天草四郎を筆頭に、田宮坊太郎、荒木又右衛門、宮本武蔵ら歴史に名を残す猛者たちも次々と黄泉の国からよみがえり、剣豪・柳生十兵衛やその父、宗矩らと激しい戦いを繰り広げる本作。二刀流でも知られる武蔵役に、舞台初出演の渡辺大が挑む。先日、大阪市内で開かれた取材会で、意気込みなどを語った。
「今回、初めての舞台出演で非常にドキドキ、ワクワクしています。こういうご時世で、最近はお客様と直接会うことが少なかったので、舞台でお会いできることが楽しみです。愛知、福岡、東京とまわって、大阪は最後になります。集大成になると思うので、今から新歌舞伎座さんでできることを本当に楽しみにしております。今日はよろしくお願いします」と挨拶。
宮本武蔵という役について魅力や演じる上でのプランを尋ねられると、歴史上の宮本武蔵と本作での人間像の違いを挙げながら、以下のように語った。
「出演にあたり『五輪書』を読ませていただいたのですが、宮本武蔵は剣の道を求めてきた求道者という像を思い描きました。いつか(熊本県の)霊巌洞を訪れてみたいと思っていたため、機会があればと考えています。舞台『魔界転生』での宮本武蔵は、剣の道を極めすぎるがあまり、魔の道に落ちてしまうというところがあって、人間くさいところもあります。史実と多少異なるところもあると思うのですが、いろんな欲望に抗えず落ちてしまったところにも武蔵の魅力が見えるんじゃないかなと思っています。落ちてしまう人間の色気などを見せられたら」
また、作品そのものについては、歴史上の人物が一堂に会す面白さがあるという。
「生れてくるのが何年遅かったら……とか、どのジャンルにもあると思うんです。スポーツでも、もし同じ時代に生まれていたら、全盛期はどうだったのかという議論を今でもいろんな方がなさると思います。それを柳生宗矩や十兵衛、宮本武蔵に当てはめて、彼らが同じ時代に戦っていたらどうなんだろうと、歴史好きの方がご覧になってもワクワクするところが『魔界転生』の面白さであり、それは山田風太郎先生もお書きになりたかったところじゃないかなと思います。そういうところをエンターテイメントに落とし込んでいければと思います」
魔界転生
舞台化の初演は2018年。それを観ていた渡辺は「超大作で、無駄なところがひとつもない作品でした。そのなかに笑いがあり師弟関係や魔界からよみがえった人たちの気持ちを描く物語性があり、いろんな要素が散りばめられていて。あとは、立ち回りのダイナミックさなど圧倒されました」と振り返る。
本作での宮本武蔵のライバルは松平健扮する柳生宗矩。松平との一戦も、楽しみにしている。
「国宝級、世界遺産レベルの立ち回りの健さんに、築浅のアパートみたいな僕が立ち向かっていかないといけない。同じ土俵に立たないといけないので、頑張ろうと思います。健さんと同じ作品に出演したことはありますが、面と向かって共演したことはなくて。アクションの先生に「松平さんは覚えるとスピードが速いよ」と散々ハッパをかけられているので(笑)、追いつけるように頑張りたい」と声を弾ませた。
本作に携わる以前から、殺陣の稽古を積み重ねてきた渡辺。二刀流については次のように語る。
「実際、一刀と二刀では、型が全然違うんですね。二刀流はかなり変則的な動きになるので、アクションの先生と稽古しながら、覚えているところです。二刀流で面白いなと思うのは、片方の切先は相手に向けて、片方は別の方に向けているという、とても奇妙な型をしているところです。あと、決めポーズが意外と決まらない。見せ方が難しいです。オーソドックスな一刀の型は、子供の頃からチャンバラごっこなどしていたので分かりやすいのですが、二刀流の決め方は難しいですね。大刀さばきはドラムを叩くのに近くて、そこに足さばきが加わりと、体の各部位の動きが結構バラバラなんです。でもそれを全て連動させておかないといけない。見せ方のルールもちゃんとあるのですが、見ているだけでは覚えられなくて、稽古を重ねて分かることばかりです」
「二刀流は、ポーズが決まった時の気持ちよさがあったり、左右に大きく見せられるので、やっていて面白いなと思います。慣れてくると自分からどんどん攻撃ができます。宮本武蔵はどういう形で見せたのかなと考えながら稽古しているところなので、初日はそれをたくさん見せられるかなと思います」と日々、模索しながらも、着実に手ごたえを感じているようだ。
俳優生活20年にして初の舞台出演。これまでも依頼や企画が上がってきたが、なかなか縁がなかったという。
「舞台は映像と違って、生の一度きりですから、とにかくたくさん準備をして突っ走ろうと思っています。そのためにみっちり稽古して。『魔界転生』は75公演ありますが、幕が開くとあっという間と思いますので、一公演一公演、悔いのないよう邁進したいと思います」と締めくくった。
取材・文=Iwamoto.K

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