カネコアツシ × 首振りDolls

カネコアツシ × 首振りDolls

首振りDolls、
マンスリーインタビュー第25弾の
ゲストは人気漫画家・カネコアツシ!

『ドラマティカ』のイメージが
広がる絵にしたかった

カネコアツシ × 首振りDolls

カネコアツシ × 首振りDolls

――本当に大好きですからね、カネコさんのこと、3人とも。同じメンバー同士でも、ここまでの共通点ってそこまでなかったりするものですけど、とにかく、3人ともカネコさんの作品もカネコさんも大好きなんで。

ナオ:そう。今回『ドラマティカ』っていうタイトルを付けた瞬間に3人一致で“ジャケットはカネコさんに描いてもらいたい!”って言いましたからね。やって頂けるかどうかドキドキでしたけど、OK下さったってマネージャーから聞いて、また3人で飛び上がって喜んで。

ショーン:本当に嬉しかった。

ジョニー:“カネコさんが思う『ドラマティカ』を描いて下さい!”ってお願いして。

ナオ:めちゃくちゃなお願いの仕方ですよね! 全部放り投げるみたいなお願いの仕方しちゃって。

カネコ:いやいや、そういうのもすごくいいんだけどね。やっぱりやるからには自分的にもとことん納得のいくものでなくちゃ嫌だし、何よりもみんなに喜んで欲しいからね。本当にいろいろと考えた。前回の『アリス』のときは、曲を聴かせてもらって、1曲1曲のモチーフを細かく描いていったんだけど、今回は大きくドーンと一つのモチーフをシンプルに描く感じがいいなって思って。『ドラマティカ』っていうイメージも、自分の中ではそんなイメージだったし、ここ最近はサブスクで音楽を聴いてる人も多かったりするから、サムネイルはすごく重要で。そこで引っかかって聴いてくれたりするからね。入り口はまずそこなのかなと思って。曲を聴かせてもらって、何度も聴いて。そこから、どうしようかなって、すごく悩んで。アイディア出しの段階に一番時間がかかったかな。聴いてくれる人に、『ドラマティカ』というイメージが広がってくれる絵にしたかったのもあって、そこを表現するにはどう描いたらいいんだろう? って。今回、曲もすごくバラエティに富んでいるから、いろんな見え方が出来る絵にしたくて。

ナオ:いろいろ考えて下さったんですね。本当にありがとうございます!

カネコ:『ドラマティカ』って、派手なイメージもあるし、ノスタルジックで哀しげなイメージもあるし。その両方が見えるものにしたくて。そこでたどり着いたのがメリーゴーラウンドだったんだよね。そこから馬に行き着いて。

ナオ:上がってきた絵を見たとき、感動したんです。どんな絵が上がってくるんだろう? って、本当に楽しみにしていたから。何が描かれてくるんだろう? って、本当に楽しみでしかなくて。

ショーン:見た瞬間、“おぉ! ドラマティカだ!”って思いました。カッコイイ! って。

ジョニー:うん。すごくドラマティカを感じた。

カネコ:本当にここに至るまでいろんなことを考えたんだよ。“ドラマティカ”から連想するもの全てを出して。スペクタルな感じも一瞬考えたしね。宇宙人みたいなのも考えた。

ナオ:うぅ〜、それも見たいっ!

カネコ:あははは。他にもあったんだよ、いくつか。

――女性を描いてたっておっしゃってましたよね。

カネコ:あ、そう。描いてた描いてた。“ドラマティカ”から連想した女性をね。

ナオ:ちょっと待って! 見たいっ!

――あははは。会ってみたかったよね。

ナオ:そう! 会ってみたかった! 会いたいよ〜! どんな人だったんだろ!? 会いたい!

――もう会うのが叶わなかった存在だからこそ、会いたいよね(笑)。

ナオ:そう! めちゃくちゃ会いたい! うぅぅ(悶えながら)会いたい!

カネコ:あははは。でも、結果、これだなって感じで辿り着いたのが今回の馬だったんだよね。自分の中でしっくりきたというか。

ショーン:描いて頂いた絵を見た瞬間、本当に引き込まれたんです。ポップなんですけど、どこか退廃的なんですよね。

ナオ:毒もあるんだよね。

カネコ:ノスタルジックで寂しげでしょ。

ジョニー:そうなんですよね、なんか寂しげ。

カネコ:でしょ。そこにドギツイ色を乗せることで、フェティッシュな、ちょっと変態パーティ風に見えたりとかね。

ナオ:うんうん! そんな感じしますもん!

カネコ:あとね、よく見てもらうと分かるんだけど、ちょっと縦に伸ばしてあるんだよ。普通の尺で描いたのを縦にギューッと伸ばしてある。

ショーン:あぁ、やっぱりそうですよね!

ジョニー:そうですよね! 俺、グッズのカードデザインをするのに、あの馬と向き合って、それに気付いたんですよ! おぉ、すごい! って。これ、敢えて縦に伸ばしてあるんだ!? って。

――長体かかってますもんね! そこでもすごく不思議なニュアンスが出てるなと思いました。

カネコ:そうなんだよ。そこも実はこだわりの一つで、今の若い子は絶対に分からないと思うんだけど、昔、映画をテレビで放映するとき、シネマスコープの横長の画面をテレビの画面に収める為に、横長のものを無理矢理縦に合わせて長体かけてたんだよ。だから、画面を見ると縦に伸びてるみたいなバランスになっていたのね。ブルース・リーの映画とかそうだった。そこにすごいノスタルジーを感じてたんだよね。

ショーン:おぉ。そこにそんな意図があったとは! すごい。意図的だったんだ。本当にすごい!

カネコ:そう。意図的。でも、よくよく考えてみたら、今はもうそんな放送の仕方しないから、分からないかなぁと思いつつも、こだわりとしてそれはやりたかったんだよ。

ショーン:そうだったんですね。すごい。感動しました。

ジョニー:そういう細かいこだわりこそが作品作りですもんね。すごい。

――クリエイター魂を感じます。さすがです、カネコさん。

カネコ:全身の馬のイラストの方は原型。縦に伸ばしていない状態のものだからね。そっちの方が自然なバランスなんだよね。

ナオ:胴が長くて足が短く感じるから、そのバランスがフリークス感も感じたんです。

カネコ:なるほど、そういう見方もあるのかもね。馬なのにダックスフンドみたいっていうか(笑)。ポニーっぽいイメージね。

ショーン:フェティッシュといえば、『BAMBi』の3姉妹を思い出します。

カネコ:うんうん、ちょっと変態っぽい感じがね(笑)。

――そういう関連性も、カネコさんの作品ならではの魅力だからね。自然と要素として入ってくるのが素敵で。

ショーン:個人的にめちゃくちゃ気になったところがあって、聞いてみたかったんですけど、馬の首のあたりに数字みたいなのがあるじゃないですか。それって、なんか意味があるんですか?

カネコ:そこはね、モデルにした馬に最初から書いてあった文字。数字なのか、アルファベットなのか分からないんだけど、それが意味するものは、実は僕も知らないんだよ。

ショーン:そうなんですね! これ、逆さまにすると数字にも見えて。数字の2が見えるんです。1212。何かの暗号みたいで。

カネコ:これは2じゃなくてZみたいな感じだった。でも、アルファベットでもなかったんだよね。

――モデルにされた馬は、フランスの馬だったっておっしゃってましたよね?

カネコ:そう。パリではメリーゴーラウンドのことをカルーセルって言うんだけど、あっちこっちの広場にちっちゃなメリーゴーラウンドがあって。子供とかがそこで遊んでたりして、すごく素敵な景色なんだよ。昔ね、パリで、スーパーの裏側のちょっと寂しい広場にメリーゴーラウンドがあって、そこで子供と遊んでたときのことなんだけど、まだ子供が2歳くらいの頃かな。メリーゴーラウンドで子供が遊んでたから、少し離れたところで見ながら待ってたら、なんか見るからに悪そうな奴が寄ってきて、マリファナを売りに来て、めちゃくちゃ一生懸命に売られてさ(笑)。ちょっと待ってよ、子守してんだけど! って感じだった(笑)。

ジョニー:すげぇ! 日本じゃ考えられないですね!

――よっぽど悪く見えたんでしょうね、カネコさん(笑)。

カネコ:ってことだよね(笑)!

ナオ:カネコさんパンクスですからね!

カネコ:その頃、まだ若かったし、鋲のいっぱい付いた革ジャン着てたからなぁ〜(笑)。

ナオ:そりゃ〜来ますわ、そういう人!

ショーン:欲しそうに見えたんでしょうね!

ジョニー:確実に買ってくれると思ったんでしょうね、相手は(笑)。

――子供が遊んでいるメリーゴーラウンドの近くで危険な匂いが漂ってる感じも、なんかすごくドラマティカの世界だったりしますよね。けど、普通に公園にメリーゴーラウンドがあるって、やっぱりパリって素敵ですよね。

カネコ:そう。すごく素敵な風景なんだよね。そのメリーゴーラウンドも、そんなにちゃっちいものじゃなくて、かなり大きめなちゃんとしたやつで。

――移動遊園地的な?

カネコ:そうそう。

ジョニー:デパートの屋上とかにも昔ありましたよね、メリーゴーラウンド。

カネコ:あ〜、あったね、日本にも!

――メリーゴーラウンドがモチーフになったのも、すごく不思議な合致でしたよね。アーティスト写真を花やしきで撮ってきたというのを、カネコさんにお伝えしたときには、もうカネコさんがメリーゴーラウンドを描き始めていたくらいのタイミングで。“メリーゴーラウンドのところで撮影した写真送りましょうか?”ってなったとき、“いやいや、いらないいらない! 花やしきの馬になっちゃうから(笑)!”ってやり取りしましたよね(笑)。

カネコ:そう! ちょうど描いてるときだったから、それ見たら花やしきの馬になっちゃうなと思って(笑)。打ち合わせした訳でもなく、偶然メリーゴーラウンドだったんだよね。

ジョニー:そうだったんですね! ってきり、花やしきのメリーゴーラウンドで撮影してきた写真をカネコさんに見せて、そこでメリーゴーラウンドのイラストに繋がったんだと思ってました!

カネコ:いやいや、違うんだよ。本当に偶然の一致で。馬の案を出した後で、花やしきで撮影して来たって聞いて、おぉ〜、すごい一致だね! って。でも、その写真はまだ俺に見せないで! 花やしきの馬が頭の中に焼き付けられちゃうから! って拒んで(笑)。

ジョニー:へぇ! その一致もすごいですね!

――そう。今回写真を寫眞館GELATINにお願いして撮影してもらったんですけど、彼女の写真はモノクロが基本で色の無い世界で、今、【凄凄切切】というテーマを掲げて写真を撮り続けているんです。寫眞館GELATINが切り取ってくれた『ドラマティカ』の世界も色はなくとも、昔煌びやかだった世界を彷彿とさせるんですよね。カネコさんが表現してくれたメリーゴーラウンドとはまた違ったメリーゴーラウンドがそこにはあって。本当にそれぞれの『ドラマティカ』の切り口があったんですけど、やはり何処か寂しげなところが繋がっていたりしたんです。

カネコ:表現は違えど繋がりを感じるのってすごいよね。きっとそこの中心にあったのが、今回の『ドラマティカ』だったんだと思うからね。首振りDollsの音楽も、そういう雰囲気を発信しているんだろうしね。今回のジャケットから、そんな首振りDollsの音を感じて、多くの人たちが聴いてくれたら嬉しいなって思う。

ショーン:最初の方で“最近はサブスク中心だからサムネイルがすごく重要”ってお話しされてたじゃないですか。まさに、今回カネコさんが描いてくれたジャケットって、1枚の絵から『ドラマティカ』を感じるし、色も蛍光色で目立つし、部屋に飾りたくなるジャケットなんですよね。昔、ジャケットを部屋に飾っていたみたいな感覚というか。最近、そういうこだわりのジャケットが多くて、バンド名やタイトルすらも入ってないものもあるんですよ。まさしくイメージだけというか。

ジョニー:最近、サブスクも、ある意味ジャケ買い的なものになってるよね。今回の『ドラマティカ』のジャケットは、ジャケットが欲しくなるというか。手に取りたくなる感じだから。

ナオ:こだわったからね、本当に細部まで。カネコさん、青さんが本当に細部までこだわって下さったから。欲を言えば、レコード盤も作りたいなぁ。

カネコ:レコード盤の大きさになったら、また迫力が出そうだよね。

ナオ:作ろっかな〜、レコード。作りません? 限定で。100枚くらい。

――いいかもね。

カネコ:今、DJブームでもあるから、若者がレコード盤買ってるみたいよ。CDよりもレコードの方が売り上げがいいって話をどっかで聞いたんだよね。今時は、レコードって言うんじゃなくて、ヴァイナルって言うらしいよ。

ナオ:ヴァイナル!? なにそれ! 

――たしかに(笑)。レコードでいいのにね!

ジョニー:レコード盤、がいいんですよ! 実家にいいプレイヤーあるんだよなぁ。レコードで聴きたい音楽っていっぱいあるんだよなぁ〜。

カネコ:あははは。首振りDollsは本当に年齢と異なる感覚の持ち主でもあるよね(笑)。サウンド的にもそうだけど、だからオジさんにモテるんだろうね(笑)。

ナオ:たしかにそうですね(笑)。サブスクに無い音楽とか大好物だからなぁ〜。

ショーン:聴くときはサブスクってめちゃくちゃ便利なんですけどね、やっぱりジャケットは手に取りたいし、飾っておきたいんです。

カネコ:分かるよ。モノとして欲しいよね。

ジョニー:モノとして欲しいです! なんか、まだどうしても配信だけでリリースするってことに抵抗があるんですよ。配信を否定するわけじゃないけど、配信だけだと不安で(笑)。ちゃんと手に取ってCDとして完成して、ブックレットを見ながら聴かないと安心出来ない(笑)。CDをリリースして、ツアーをして、ファイナルを迎えて、やっと完結する、みたいな。だからジャケットも本当にこだわりたいんです!

ショーン:そうやって育って来ましたもんね、我々。

ジョニー:そう。そうやって育って来たからね。

OKMusic編集部

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