村治佳織が吉永小百合主演の映画『い
のちの停車場』エンディングテーマを
作曲 小椋佳が作詞を担当した応援歌

5月21日公開の映画『いのちの停車場』のエンディングテーマの作曲をギタリスト・村治佳織が務めることがわかった。
『いのちの停車場』は、『サイレント・ブレス』や、NHKで放送中のテレビドラマ『ディア・ペイシェント』原作小説で南杏子氏の同名小説を映画化するもの。大学病院に勤めていた救命救急医がある事情から父の住む実家へ戻り、在宅医療を通して患者と向き合う姿を描き、医療制度の現在にも切り込んだ作品だ。
主演をつとめるのは、吉永小百合。『北の桜守』、『最高の人生の見つけ方』などに主演し、これまでに121本の映画に出演してきた吉永は、本作で自身初となる医師役=白石咲和子を演じることに。咲和子は、“まほろば診療所”でこれまで自分が経験してきた医療とは異なるかたちで“いのち”と向き合う。医師役への初挑戦を考えていた吉永は、2019年の夏前に原作と出会い、その内容にほれ込んだとのこと。在宅医療を行う“つるかめ診療所”の鶴岡優子氏、鶴岡浩樹氏や、東京女子医科大学病院・救命救急センター長の矢口有乃氏に医療指導を受けて撮影に臨んでいる。また、咲和子を追ってまほろば診療所で働くようになる医大の卒業生・野呂聖二を松坂桃李が、まほろば診療所を支え続けてきた訪問看護師・星野麻世を広瀬すずが演じる。松坂と広瀬は、どちらも本作で吉永と初共演。さらに、まほろば診療所の三代目院長・仙川徹を西田敏行が、咲和子の父で元美術教師の白石達郎を田中泯が演じている。メガホンをとるのは『八日目の蝉』『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』などの成島出監督。山田洋次監督の作品の助監督・共同脚本で知られる平松恵美子氏が脚本を手がける。
(c)2021「いのちの停車場」製作委員会
主演の吉永とエンディングテーマを作曲した村治は、吉永のライフワークでもある原爆詩の朗読CDに村治のギター演奏をBGMとして使用したことから交流をスタート。その後も親交を深め、吉永が主演・プロデュースを務めた2014年の映画『ふしぎな岬の物語』では、村治がメインテーマ「望郷」の演奏を担当。2013年に大病で休養していた村治が同作で復帰したという縁がある。
映画の製作総指揮を執った、東映グループ会長・岡田裕介さんが村治に直接作曲をオファーしたことで、今回のエンディングテーマが実現。村治は初となる作曲での楽曲提供に挑戦している。また、岡田さんは、「エンディングとしては歌詞のない女声ヴォーカリーズを採用し、さらにそれに歌詞を付けた楽曲を製作できないか」と考え、映画のテーマ「かけがえのないひとつひとつの命」を鼓舞する応援歌の楽曲製作も決定。応援歌では、シンガーソングライターの小椋佳が作詞を担当している。小椋は岡田さんと旧縁があり、俳優であった岡田さんが小椋のファーストアルバム『青春~砂漠の少年』のジャケット写真とナレーションを務めている。なお、小椋に作詞を依頼しようとしていた矢先、2020年11月18日、岡田会長が村治のデモを聴いた5日後に岡田さんが急逝することとなった。
小椋佳
村治、小椋のコメントは以下のとおり。
村治佳織
2014年の、吉永小百合さん初プロデュース映画『ふしぎな岬の物語』への参加を通して岡田裕介会長との出会いの機会をいただきました。「今回の映画は、作曲で参加してほしい」と昨年初夏に会長より伺いました。エンディングテーマというスケールの大きさを背負い、考え込んでしまい、なかなかメロディが浮かんでこなかった時に、「映画の内容を音楽で表そうとするのではなく、あなた自身の経験で感じた不安、その先の希望、見えた青空、やっと登った頂上からの絶景、などを頭に置いて書いてみたらどうか」、と会長よりアドヴァイスをいただき、随分と気持ちが和らぎ、程なくして曲の元となるメロディを完成させることができました。メロディを作る際には、2013年に私が大病を経験したときに、いつも近くで支えてくださった小百合さんへの感謝の思いも、常に心の柱としておりました。
いよいよあと少しで音楽も完成というところで会長の突然のご逝去。直前まで音楽のことでご連絡のやりとりをしていたので、今でも、天に召されてしまったことが信じられませんし、日を追うごとに、もういらっしゃらないのだという哀しみが大きくなっています。レコーディングの時にも、ずっと会長のことが頭にありました。
この曲の存在が私にとって、命について想う、まさしく“いのちの停車場”となりました。
成島組に再び参加させていただき、心より御礼申し上げます。そして多くの方々にこの映画をご覧いただければと切に願っております。
小椋佳
年始早々、本映画『いのちの停車場』に寄り添う歌の作詞のご依頼を受けました。本作の製作総指揮を執っていた岡田裕介氏とは映画『動乱』をはじめ数々の作品を通じての親しい仲であり、突然の別れに、驚きと無念さを感じております。今回の『いのちの停車場』は安楽死がモチーフであり、実に難事業。安楽死を施す行為とは、ターミナルケアの帰結として、その痛み或いはすでに無意味な人生からの解放なのかそれとも単に罪深い殺人なのか極めて困難な問題です。この映画でも安楽死は是か否かの問いについて解答を提供してはいません。むしろ観客の皆さんならどう考えるかと問いかけている映画ということが言えるでしょう。兎に角詩を捻り出すのに数日かかってしまいました。私としては「いのちの停車場」を、人生の終点を目的地とするバスを待つ間に、一服するか一 息ついて、ひと時「生」について考えを巡らせる場と捉え言葉を紡いでみました。悩んだ末に歌のタイトルも「いのちの停車場」そのもの とさせていただきました。この歌が映画の深みを増す一助となることを祈りつつ。
映画『いのちの停車場』は5月21日全国公開。オリジナル・サウンドトラックは5月19日に発売。

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