アルバム『Classic for Mindfulness
〜人生を変える心のエクササイズ〜』
を監修した NORIKO(松尾紀子)/声
の瞑想指導者にインタビュー

フジテレビ・アナウンサーとして、約32年間あまりニュースや情報番組のキャスターとして活躍し、現在は「声の瞑想指導者」としてアプリRussellMEに参加するなど活躍の場を広げるNORIKO(松尾紀子)監修によるアルバム『Classic for Mindfulness〜人生を変える心のエクササイズ〜』が昨年(2020年)秋に発表され、好評を博している。
『Classic for Mindfulness〜人生を変える心のエクササイズ〜』ジャケット
アルバム冒頭と最後に収められたチャド・ローソンのピアノと、そこに重ねられたNORIKOの言葉からは、慌ただしい日常を生きる我々の心を非日常の世界に誘導する不思議な力が感じられる。単なる名曲アルバムとは一味違うひねりの効いた選曲とも相まって、聴き終わった後のなんとも言えない心地よさがとても印象的なアルバムだ。
「素敵な音楽を収めたCDはたくさんありますし、誘導瞑想のイベントもやらせていただいてきましたが、音楽と声が1つのパッケージに収められてとても嬉しいです。クラシック音楽はそれほど詳しくないのですが、昔からピアノの音がとても好きで親しんできました。ピアノを習っていた時の経験が今に生きているのだと思います。幼い頃ピアノの部屋にいた自分の感覚を思い出させてくれたのもこのCDがきっかけでした。再び音楽に目覚めた感がありますね」
彼女自身、この10数年、自分の心身のために瞑想をやりつつ、話す仕事もしながら、“話す”ということの中に瞑想をとりいれることによって、人はさらに生き生きと話すことが出来るのではないかと思っていたという。この2つを融合させたいという長年の思いが叶ったアルバムについては、瞑想、話す仕事、そして声の誘導者としての仕事、それぞれベストをつくしてきた結果生まれたコラヴォレーションの喜びそのものだという。さらには、瞑想とクラシックの相性についても語ってくれた。
「私は特にピアノの音に魅力を感じます。ピアノはシンプルでピュアな音が持ち味です。普段は複雑なことを思考している人間が、ピュアでシンプルになり、自分の中の本質を感じ取れるようになっていく。それが瞑想でありマインドフルネスです。その意味で、ピアノの音やクラシック音楽の持っている波動と瞑想は似ていると思います。シンプル&ピュアと言う点で。ピアノ以外では、打楽器のリズム音楽なども瞑想と相性が良いように思います。昔の人達が、激しいリズムを奏でながら瞑想状態やトランス状態に入っていく文化も、瞑想の相性と関係があるように思います」
ベリオやコルンゴルトの他、ホルストの「金星」&メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の「夜想曲」など、意外性のある曲目はどのようにして選ばれたのだろう。
「今回は、バリエーションをもたせることがテーマでした。瞑想のための音楽というと、自然音やヒーリングミュージックを集めてそこに声を乗せるというのが多いと思います。今回は、様々な曲を集めることによって多くの人にアプローチすることを考えました。普段の瞑想のときにはあまり聴かないタイプの音楽も選んでいます。静かでシンプルな曲だけではなく、ちょっとした不安感などを喚起する要素も加えてみたかったのです。それによって自分の中にある感情があぶり出されるという新たな気付きがあるのです。例えばホルストの「惑星(金星)」のように宇宙空間を描いた音楽は、人のイマジネーションが広がります。静けさだけではなく、その先に広がる壮大な世界を感じることも出ポイントですね」
最初と最後に置かれたチャド・ローソンの音楽の魅力はどこにあるのだろう。
「今回のアルバムの中での最大の出会いがチャド・ローソンです。音楽にコメントを付けさせていただいたというご縁もありますが、初めて聴いた瞬間に、イマジネーションが浮かんでくるような感覚でした。聴いた瞬間にスルスルと言葉が浮かんでくるのです。チャドさん自身が瞑想状態の中で作曲されているのではないかと想像します。お目にかかれる機会があれば嬉しいですね」
瞑想中は何も考えずに広がりを感じることが大切だというNORIKO。
「毎回あるわけではないのですが、“絶対なる安心感”を得られた時の瞑想は最高です。言葉にできないほどの至福の時を味わえます。普段の生活では、頭がゴチャゴチャしている中で瞑想をすることも多いです。瞑想後は、静かになれてよかったと思ったり、忘れていたことを思い出したり、迷っていたことに対する答えがフッと出てきたりですね」
コロナ禍においては、自分の心身を整えて健康でいることがとても大事だという言葉が心に沁みる。

■アルバム収録曲について
1.チャド・ローソン:アイ・ロート・ユー・ア・ソング/NORIKO(瞑想誘導)
*自らも瞑想を行うというローソンの音楽は、NORIKOにとって今回最大の出会いだったという。聴いた瞬間に言葉が浮かんだという素敵なメロディを味わいたい。
2.ドビュッシー:夢 L.68
*印象主義を代表する作曲家ドビュッシー初期の名作「夢」からは、若きドビュッシーの見た夢が美しいピアノの音色に乗って伝わってくる。
3.ブラームス:3つの間奏曲 作品117 第1番 変ホ長調
*ブラームス最晩年の作品からは、得も言われぬ安らぎが感じられる。ドイツロマン派の巨匠が到達した境地はまさに瞑想。
4.ラヴェル:組曲《鏡》 M.43 第5曲:鐘の谷
*19世紀末のパリで流行していた芸術家集団のメンバーに献呈された「鏡」は、ラヴェル自身の心に映った幻影そのもの。ラヴェルの優しさがにじみ出るかのような作品だ。
5.モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581 第2楽章
*ピアノからクラリネットへの移行に少し戸惑うこの曲は、天才モーツァルト晩年の傑作だ。哀愁に満ちたメロディは、室内楽史上空前絶後の美しさと言えそう。
6.ベリオ: 6つのアンコール 第3曲:水のピアノ
*現代を代表する作曲家ベリオの曲といえば尖った音楽を想像しがちだが、「水のピアノ」に流れる空気は穏やかの極み。今回のアルバムの選曲の素晴らしさに感嘆した1曲だ。
7.ホルスト:組曲《惑星》作品32 第2曲:金星-平和をもたらすもの
*有名な「木星」を差し置いて選曲された「金星」の美しさに改めて惚れ直す瞬間がここにある。占星術に基づいて書かれた音楽は、まさに瞑想的。
8.コルンゴルト:私に残された幸せは[マリエッタの歌]~歌劇《死の都》
*「スター・ウォーズ」のジョン・ウィリアムズにも影響を与えたコルンゴルトの凄さを改めて認識できるメロディがここで聴ける。この美しい音楽をピアノで奏でるティボーデのセンスにも脱帽だ。
9.メンデルスゾーン:劇音楽《真夏の夜の夢》作品61 第7番:夜想曲
*名高い「結婚行進曲」の影にこんなに美しいメロディがあったことを認識する。早熟の天才メンデルスゾーンはこれからさらに再評価が進むはずだ。
10.シューマン:子供の情景 作品15 第13曲:詩人は語る
*クラシック史上最高のロマンティスト、シューマンが描いた夢見るような世界は、シンプルでピュアなピアノで刻まれるだけに心に沁みる。
11.チャド・ローソン:イン・ザ・ウェイティング/NORIKO(瞑想誘導)
*聴いた瞬間に「さざ波」をイメージしたという音楽から伝わる波動が心地よい。

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