Keishi Tanaka 自在なフォーメーシ
ョンから奏でる音と歌で魅了したビル
ボード公演

Keishi Tanaka - 3 Peace Set & Strings Set - 2021.2.14 Billboard Live TOKYO
2021年2月14日、Keishi Tanakaがおよそ5年ぶりとなるBillboard Live TOKYOでのライブを開催した。『Keishi Tanaka - 3 Peace Set & Strings Set -』と題されたこの日の構成は、タイトル通り、Keishiがアコースティックギターを弾き、そこに田口恵人(Ba・LUCKY TAPES)と小宮山純平(Dr)が加わった3ピースでの演奏と、弦楽の三重奏や盟友・fox capture planの岸本亮によるピアノを伴ったストリングスセットの両方を楽しめるというもの。
ただし、後のMCで「初めは3ピースとストリングを分けてやろうと思ってたけど、みんな弾けるし、みんなでやればいいじゃんと思った」と明かしていたように、結果から言うと3ピースのみで演奏したのは1曲目だけ。その後は、全員勢ぞろいで演奏する曲あり、鍵盤とストリングスのみを伴奏に届ける曲あり、中盤の「Hello」ではKeishiが自らピアノを弾く一幕もあったり(本人曰く「ビルボード史上、1番拙いピアノ」)と、自由にフォーメーションを変えながらのライブとなった。それは、ジャズやソウル、ファンク、フォーク、所謂シティポップ的なサウンドまで、様々なエッセンスを感じさせる彼のレパートリーの多彩さともよくマッチしている。
生配信では、バックヤードでメンバーと談笑する風景から始まりそのまま2階フロアから登場してステージに向かう、というオープニングしかり、人懐っこい笑顔を見せながら軽い調子で客席へと度々声をかけるMCしかり、彼の人柄やキャラクターによるものなのか、経験値によるものなのか、画面越しではあるが、ライブ全体の空気がとてもリラックスしているように見えた。だからか、ビルボードというちょっぴり改まった環境ゆえ起こりがちな緊張感を感じさせることなく、終始心地よく約1時間のライブを堪能することができたのだ。
「みんな色々悩みながら来てくれたと思うんですが、(中略)ちょっとぐらい、1時間くらいは、色んなことを忘れられる時間にしよう」
3ピースのシンプルながら奥深い演奏と、そこに彩りを加えていくストリングス、キーボードでの静かなバッキングからジャジーなソロまで自在な鍵盤。原曲ではホーンが担うフレーズを弦楽に置き換えた「This Feelin’ Only Knows」、fox capture planとのコラボ曲でもある「透明色のクルージング」などなど、腕利きたちによる贅沢なアンサンブルには何度も唸らされたが、その中核となるKeishiのボーカルがまた素晴らしかった。軽やかさと芯の強さが同居した歌声は、ふと親しげに話しかけられたようなニュアンスを帯びていたかと思えば、思わず圧倒されるほど伸びやかに響いたりもする。そういった魅力を存分に感じられたことも、ほぼアンプラグドなこの日の編成ゆえだろう。
ときにメロディアスなバラードに聴き入りながら、ときにダンサブルなグルーヴに身体を揺らしながら、あっという間にライブは進んでいく。タイトル通りの高揚感に満ちた「Floatin’ Groove」では、配信で観るファンのためにカメラマンをステージに上げるという一幕も。本編を終え、アンコールに応えて再登場したKeishiは、しばし緩めなMCタイムをとった後、職業や生活環境上、今はまだどうしても配信でしかライブを見れないファンがいることにも触れ、彼らへの感謝を述べた。そして「またみんなでライブハウスで会えるように、音楽を続けます。今日はありがとうございました」との言葉を添えて「One Love」を演奏。ポップでピースフルな空気で場内を満たしてライブを終えた。
ソロアーティストとしては今年で10年目。活動形態やジャンル、フィールドに捉われることない活動を続けてきたKeishi Tanakaの現在地を示したこの日のライブは、驚くほど爽快で豊潤な音楽体験だった。キャリアと経験に裏打ちされた技量と、表現者としてのスタンス、音楽性……今まさに、色んなものが絶妙に噛み合っている気がする。アーカイヴも配信されているので、ぜひ目撃してみてほしい。

取材・文=風間大洋 撮影=山川哲

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