BACK-ON、
新作アルバム『Flip Sound』発売!
“今の2人体制の音を鳴らす、
表現するモノにしたかった”
新作って企画モノじゃなくて、
背負うつもりで作った

KENJI03
──アニバーサリーイヤーを駆け抜けるべく、昨年は蓄える時期だったと思いますが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、日常生活すら制限されることが多かったと思います。そういった中でモチベーションはどうやって維持していましたか?
KENJI03:コロナの影響があって、ライヴもなかなかできない中、僕らはいつでも動き出せるようにずっと曲作りをしてたんです。先々まで予定が決まってたわけじゃないけど、それこそライヴが来週ありますと言われてもいいような心構えで過ごしてましたね。
──エンジンを完全に切ることはなく、常にアイドリング状態。
TEEDA:たぶん、凄く暇だったらちょっと怖くなってたと思うんです。KENJI03はBACK-ONの曲のみならず、作家としても活動してるし、僕もラップの提供とか、影響を受けたラップを歌ってみた動画をアップしてみたり、そうやって隙間をなくしていったことがモチベーションの維持につながったのかな、と。引き出しを増やすことにもなりましたし。
──となると、ふさぎ込むようなことはなかったんですね。
KENJI03:そうですね。もちろん、早くコロナは落ち着いて欲しいけど、それだけを考えることもなくて。過去ばかり振り返ってもしようがないじゃないですか。オンラインライヴだったり、新しいツールを僕らがどう使うのか。そうやって前を向いて、新しい扉に挑戦することがチャンスにもなるだろうし。
──できないことをどう補うかではなく、新しく開いた可能性に目を向けた。
KENJI03:そうです、そうです。どう考えても、時代の流れには逆らえないし。例えば、レコードがカセットになり、CDへと変化していったように、ライヴのスタンスや音楽の聴き方も変わっていきますからね。
TEEDA:それこそ、僕らは海外でライヴをやる機会も多く、いろんな国にファンがいるのもあって、世界中の人が一斉に観れるオンラインライヴはチャンスのひとつだと思ってるんですよ。
──そして、アニバーサリーイヤーの一貫として、セルフカバーをまとめたDisc1、2人体制になってから配信で発表した作品をまとめたDisc2という2枚組の新作が完成しました。
KENJI03:僕らは今、過去に感謝しながら新しいサウンドへ向かうというテーマがあるんです。せっかくのアニバーサリーイヤーですし、過去の曲たちを今のサウンドで録り直すというのがスタンスともリンクしてるなと考えたんですよね。
TEEDA:やっぱり、ライヴでも過去の曲は求められるし、「2人でやったらこうなるよ」というのも伝えたかったから。
──面白い2枚組ですよね。一見、ベストアルバムっぽいけど、そうではないという。
KENJI03:過去を振り返りつつ、現在として表現してるのがDisc1、現在進行系がDisc2。面白いですよね。今、話をしてて改めてそう感じましたよ。あと、そもそもなんですけど、セルフカバーってあんまり好きじゃなくて。
──今回、思いっきりセルフカバーですけど(笑)。
KENJI03:そうなんですけど(笑)、演奏力が上がってても情熱感がないパターンってあるじゃないですか。
──ありますね、そういうことも。
KENJI03:キレイに録音されてるけど、何か物足りないみたいな。結局、オリジナルバージョンが好きっていうファンも多かったりするし。だから、そういうのはやめようと最初に話してて。技術の向上がわかるだけの作品なら意味がないわけだし。TEEDAも言ったように、今の2人体制の音を鳴らす、表現するモノにしたかったんですよ。ニュアンスとしては、セルフカバーとリミックスの中間って感じですかね。
TEEDA:あ〜、その表現がしっくりくるかも。
──基本的にはオリジナルバージョンの良さや空気感を大事にした仕上がりになっていますよね。
KENJI03:そうですね。ただ、「STRIKE BACK」なんかだと、もっと尖らせたい、エッジを立たせたいというのがテーマとしてあったので、サビに入ってたシンセの音を排除して、シンプルな構築にしてみたり。そういうアプローチはしましたね。
──今回は初期の曲をかなりセレクトしてるじゃないですか。改めて昔の自分たちを向き合って、気恥ずかしさみたいなのもあったのかなと。
TEEDA:ありましたね。例えば、「OVER」はいちばん最初に作ったぐらいの曲なんですけど、歌詞を読み直すとひと区切りずつに「壁を超えろ」みたいなことを書いてて。テーマとしてはわかるんだけど、「なんでこんなに連呼してるんだろう?」と(笑)。あと、歌い直してみると、どうしても出せない声があったりもして。1時間ぐらい何回も歌ってたら、ノドがガラッガラになったりしましたから。
──表現や技術は今の方が高いはずなのに。
TEEDA:感情的な部分を表現するのが難しくて、それはヤバかったですね。
KENJI03:そういう青さもあるから、初期の曲は好きなんですよ。今、同じような曲を作れと言われても無理だし。今回、DVD付きのバージョンもリリースしたんですけど、そこにはインタールード的に昔の映像を入れてて。まさに「OVER」や「アルティメット足立」をやってた初期の時代で、お客さん誰ひとりとしてノッてないライヴ映像があるじゃないですか(笑)。
──ありましたね(笑)。
KENJI03:自分たちが全力で楽しんで、思いっきりぶつけてるだけの姿が凄くピュアで、それがいいなと思いながら観てたんですけど、あんなことができたのってあのときだけ。だから、セルフカバーをやると決めたとき、その時代の曲たちをまずは選抜しちゃいましたね(笑)。「STRIKE BACK」や「ニブンノイチ」なんかだと、ある程度は完成された時代の曲なんで、そこまで大幅な変化はないだろうけど、あの初期の曲を今の自分たちがアレンジしたら絶対に良くなる、面白くなるだろうなと思ったし。
──リアレンジしてみて、印象深かった曲を教えていただけますか?
TEEDA:僕のことっていうより、KENJI03を見てて印象深かったのが「flower」なんですよ。ファンからも人気が高く、ライヴでもよくやってるから歌入れはすんなりと終わるかなと思ってたけど、凄く時間がかかって。「どうしたの?」と聞いたら「もう、わかんない」って言ってて。
KENJI03:さっきの話に通ずるんですけど、技術だけでカバーするのは嫌だったんですよね。それに、みんなはオリジナルバージョンを聴いてからこのセルフカバーを耳にするわけだから、「やっぱり、オリジナルがいいね」とは言われたくなかったし。
──包み込むようなニュアンスや空気感が大事な曲ですしね。
KENJI03:「flower」はBAReeeeeeeeeeNとかをやってた時代の曲なんで、まさに自分が葛藤してたど真ん中(笑)。歌いながら思い出しましたね。結果としては、凄くいいテイクになったかなとは思ってます。
──KENJI03さんはいかがですか?
KENJI03:今回、僕がメインでリアレンジをさせてもらったので、全部が印象深いんですけど……やっぱり、対オリジナルっていうのがキツかったから。そういう向き合い方って、あんまりなかったというか。
TEEDA:それはそうだよね。
KENJI03:Disc2にも収録されてますけど、ミニアルバム『rebirth』で「Chain」をリアレンジしたとき、意外とスムーズだったんです。だから、大丈夫かなと思って制作を始めたら、結構挫折しがちだったというか(笑)。オリジナルバージョンを超えるつもりではやりたくないけど、聴く人は良し悪しっていうシンプルな判断だから、今の自分たちが考えるアレンジがどう響くのか。そこを考えていくのがたいへんな作業だったりもして。
TEEDA:既存のファンにはもちろん、初めて聴く人たちにも「この曲いいよね」って感じてもらいたいですから。
──そう考えると、ベストアルバム以上に名刺代わりの作品になってますよね。過去を背負ったBACK-ONのサウンドがDisc1にあって、ここ数年で積み上げてきたサウンドがDisc2にあるわけですし。
KENJI03:そこですかね、いちばん難しかったのは。この新作って企画モノじゃなくて、背負うつもりで作ったから。
KENJI03:コロナの影響があって、ライヴもなかなかできない中、僕らはいつでも動き出せるようにずっと曲作りをしてたんです。先々まで予定が決まってたわけじゃないけど、それこそライヴが来週ありますと言われてもいいような心構えで過ごしてましたね。
──エンジンを完全に切ることはなく、常にアイドリング状態。
TEEDA:たぶん、凄く暇だったらちょっと怖くなってたと思うんです。KENJI03はBACK-ONの曲のみならず、作家としても活動してるし、僕もラップの提供とか、影響を受けたラップを歌ってみた動画をアップしてみたり、そうやって隙間をなくしていったことがモチベーションの維持につながったのかな、と。引き出しを増やすことにもなりましたし。
──となると、ふさぎ込むようなことはなかったんですね。
KENJI03:そうですね。もちろん、早くコロナは落ち着いて欲しいけど、それだけを考えることもなくて。過去ばかり振り返ってもしようがないじゃないですか。オンラインライヴだったり、新しいツールを僕らがどう使うのか。そうやって前を向いて、新しい扉に挑戦することがチャンスにもなるだろうし。
──できないことをどう補うかではなく、新しく開いた可能性に目を向けた。
KENJI03:そうです、そうです。どう考えても、時代の流れには逆らえないし。例えば、レコードがカセットになり、CDへと変化していったように、ライヴのスタンスや音楽の聴き方も変わっていきますからね。
TEEDA:それこそ、僕らは海外でライヴをやる機会も多く、いろんな国にファンがいるのもあって、世界中の人が一斉に観れるオンラインライヴはチャンスのひとつだと思ってるんですよ。
──そして、アニバーサリーイヤーの一貫として、セルフカバーをまとめたDisc1、2人体制になってから配信で発表した作品をまとめたDisc2という2枚組の新作が完成しました。
KENJI03:僕らは今、過去に感謝しながら新しいサウンドへ向かうというテーマがあるんです。せっかくのアニバーサリーイヤーですし、過去の曲たちを今のサウンドで録り直すというのがスタンスともリンクしてるなと考えたんですよね。
TEEDA:やっぱり、ライヴでも過去の曲は求められるし、「2人でやったらこうなるよ」というのも伝えたかったから。
──面白い2枚組ですよね。一見、ベストアルバムっぽいけど、そうではないという。
KENJI03:過去を振り返りつつ、現在として表現してるのがDisc1、現在進行系がDisc2。面白いですよね。今、話をしてて改めてそう感じましたよ。あと、そもそもなんですけど、セルフカバーってあんまり好きじゃなくて。
──今回、思いっきりセルフカバーですけど(笑)。
KENJI03:そうなんですけど(笑)、演奏力が上がってても情熱感がないパターンってあるじゃないですか。
──ありますね、そういうことも。
KENJI03:キレイに録音されてるけど、何か物足りないみたいな。結局、オリジナルバージョンが好きっていうファンも多かったりするし。だから、そういうのはやめようと最初に話してて。技術の向上がわかるだけの作品なら意味がないわけだし。TEEDAも言ったように、今の2人体制の音を鳴らす、表現するモノにしたかったんですよ。ニュアンスとしては、セルフカバーとリミックスの中間って感じですかね。
TEEDA:あ〜、その表現がしっくりくるかも。
──基本的にはオリジナルバージョンの良さや空気感を大事にした仕上がりになっていますよね。
KENJI03:そうですね。ただ、「STRIKE BACK」なんかだと、もっと尖らせたい、エッジを立たせたいというのがテーマとしてあったので、サビに入ってたシンセの音を排除して、シンプルな構築にしてみたり。そういうアプローチはしましたね。
──今回は初期の曲をかなりセレクトしてるじゃないですか。改めて昔の自分たちを向き合って、気恥ずかしさみたいなのもあったのかなと。
TEEDA:ありましたね。例えば、「OVER」はいちばん最初に作ったぐらいの曲なんですけど、歌詞を読み直すとひと区切りずつに「壁を超えろ」みたいなことを書いてて。テーマとしてはわかるんだけど、「なんでこんなに連呼してるんだろう?」と(笑)。あと、歌い直してみると、どうしても出せない声があったりもして。1時間ぐらい何回も歌ってたら、ノドがガラッガラになったりしましたから。
──表現や技術は今の方が高いはずなのに。
TEEDA:感情的な部分を表現するのが難しくて、それはヤバかったですね。
KENJI03:そういう青さもあるから、初期の曲は好きなんですよ。今、同じような曲を作れと言われても無理だし。今回、DVD付きのバージョンもリリースしたんですけど、そこにはインタールード的に昔の映像を入れてて。まさに「OVER」や「アルティメット足立」をやってた初期の時代で、お客さん誰ひとりとしてノッてないライヴ映像があるじゃないですか(笑)。
──ありましたね(笑)。
KENJI03:自分たちが全力で楽しんで、思いっきりぶつけてるだけの姿が凄くピュアで、それがいいなと思いながら観てたんですけど、あんなことができたのってあのときだけ。だから、セルフカバーをやると決めたとき、その時代の曲たちをまずは選抜しちゃいましたね(笑)。「STRIKE BACK」や「ニブンノイチ」なんかだと、ある程度は完成された時代の曲なんで、そこまで大幅な変化はないだろうけど、あの初期の曲を今の自分たちがアレンジしたら絶対に良くなる、面白くなるだろうなと思ったし。
──リアレンジしてみて、印象深かった曲を教えていただけますか?
TEEDA:僕のことっていうより、KENJI03を見てて印象深かったのが「flower」なんですよ。ファンからも人気が高く、ライヴでもよくやってるから歌入れはすんなりと終わるかなと思ってたけど、凄く時間がかかって。「どうしたの?」と聞いたら「もう、わかんない」って言ってて。
KENJI03:さっきの話に通ずるんですけど、技術だけでカバーするのは嫌だったんですよね。それに、みんなはオリジナルバージョンを聴いてからこのセルフカバーを耳にするわけだから、「やっぱり、オリジナルがいいね」とは言われたくなかったし。
──包み込むようなニュアンスや空気感が大事な曲ですしね。
KENJI03:「flower」はBAReeeeeeeeeeNとかをやってた時代の曲なんで、まさに自分が葛藤してたど真ん中(笑)。歌いながら思い出しましたね。結果としては、凄くいいテイクになったかなとは思ってます。
──KENJI03さんはいかがですか?
KENJI03:今回、僕がメインでリアレンジをさせてもらったので、全部が印象深いんですけど……やっぱり、対オリジナルっていうのがキツかったから。そういう向き合い方って、あんまりなかったというか。
TEEDA:それはそうだよね。
KENJI03:Disc2にも収録されてますけど、ミニアルバム『rebirth』で「Chain」をリアレンジしたとき、意外とスムーズだったんです。だから、大丈夫かなと思って制作を始めたら、結構挫折しがちだったというか(笑)。オリジナルバージョンを超えるつもりではやりたくないけど、聴く人は良し悪しっていうシンプルな判断だから、今の自分たちが考えるアレンジがどう響くのか。そこを考えていくのがたいへんな作業だったりもして。
TEEDA:既存のファンにはもちろん、初めて聴く人たちにも「この曲いいよね」って感じてもらいたいですから。
──そう考えると、ベストアルバム以上に名刺代わりの作品になってますよね。過去を背負ったBACK-ONのサウンドがDisc1にあって、ここ数年で積み上げてきたサウンドがDisc2にあるわけですし。
KENJI03:そこですかね、いちばん難しかったのは。この新作って企画モノじゃなくて、背負うつもりで作ったから。