かてぃん・菊池亮太・けいちゃん・ご
ざがパワーアップして舞浜に集結! 
『NEO PIANO CO.LABO. “Invention”
』ライブレポート

動画配信などで大注目のピアニストが共演するラボラトリーライブ『NEO PIANO CO.LABO.』の第二弾、『NEO PIANO CO.LABO. “Invention”』が、2021年2月11日(木・祝)に、舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)で行われた。無観客で開催されたライブは、イープラス「Streaming+」で生配信。かてぃん、菊池亮太、けいちゃん、ござの4人が鍵盤をなぞり生み出していく数々の発明に、ファンは「1回目よりもパワーアップしている」と絶賛。約2時間半で新曲などを含む18曲を披露したステージの様子は、2021年2月21日(日)23:59までアーカイブ視聴できる。ござは「100曲は演奏できないけれど、アーカイブを100回見て」とPRした。
ライブが開かれた2月11日は、電球や蓄音機などを発明したトーマス・エジソンの174回目の誕生日。偉大な発明家にあやかり、7カ月ぶりに4人が集ったライブの今回のテーマは“Invention(発明)”とされた。まだ暗いステージに1人で姿を見せたけいちゃんは、時計の針を巻き戻すように、チェンバロの音を奏でていく。時代がタイムスリップしていくような。不思議な空気が広がった。

ドラムのカウントで始まった「Invention to Symphonia」では、グランドピアノ、ショルダーキーボード、チェンバロなどさまざまな鍵盤を4人が代わる代わるに演奏。バッハが発明した曲をそれぞれの色で染めていった。おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい空間は、すぐ近くにある“夢の国”で流れるパレードを思わせた。曲の最後には、「Welcome to the World ofNEO PIANO CO.LABO. “Invention”」と、夢の国で聞き覚えがあるアナウンスが流れるなど、遊び心にあふれていた。
けいちゃん
かてぃん
2曲目からはソロのスタート。1番手に登場したかてぃんは、小曽根真がジャズアレンジした「ドラえもんのうた」を披露。心地よいリズムで聴衆を酔わせた。続いた菊池は「アランフェス協奏曲」を混ぜた「Spain」を演奏。しっとりと聴かせた前半から一転、舞台がスペインの国旗を思わせる赤色に染まった後半は、両手が鍵盤を高速移動。情熱的な音に「手にエンジンが付いた」とコメントが寄せられていた。透明感あふれる「新宝島」で魅了したござは、曲の途中でオリジナルにはない別のパッセージを混ぜるなど、ユニークな発想が光った。
菊池亮太
ござ
「ラストはけいちゃん!!」と会場でのコールのように「けいちゃん」の文字で埋め尽くされた投稿欄。流れてきたけいちゃんのオリジナル曲「World & Me」に歓喜の声が続いたが、グランドピアノに向かうけいちゃんの後ろには、なぜか背中合わせに座るかてぃんの姿が。「4人でけいちゃんの曲をやるなんて感激!!!」の声に背中を押されるように。マラカスを持ったかてぃんがけいちゃんをあおれば、ソロコーナーでは菊池がけいちゃんの別のオリジナル曲「動き出すラボラトリー」を混ぜるなどアドリブでも魅せた。4人のうれしそうな様子に「みんな楽しそう」と会場と聴衆が笑顔で結ばれた瞬間だった。
音楽バトルを終えたけいちゃんは「すご」とひとこと。ござが「僕らお眼鏡にかなう演奏ができていましたか」とたずねると「楽しかった」とうれしそうな笑顔を見せていた。「自分自身への戦いをテーマにやっていきたい」と意気込んだ菊池はラフマニノフメドレーに挑戦。「プレリュード」や「パガニーニ」などを織り交ぜた演奏はもちろん、コードが記された手書きの楽譜にも注目が集まっていた。
手前から かてぃん、けいちゃん
手前から ござ、菊池亮太
始まったコラボレーションの時間には、菊池とござが「Everything」、けいちゃんとござが「ソーラン節」、かてぃんと菊池が「caribe」を披露。中でもラテンのリズムが難解な「caribe」は、リズム隊ともぴたりとあった呼吸に驚かされた。曲中のソロでは菊池が「パガニーニ」を混ぜれば、かてぃんが「エリーゼ」で応戦するなど、あふれるアイデアに息を飲んだ。
手前から 菊池亮太、ござ
誰も見たことがない発明を生み出す実験室をのぞいているようなライブ。後半への折り返し部分に突入し、けいちゃんはオリジナル曲「浄土」を披露。昨年12月のワンマンライブで初披露し、大反響を呼んだ”歌もの”だ。天を貫くように射したビームは、舞浜から世界に向けて音を放っていく力強さを感じさせた。
けいちゃんが「4人でどうしてもやりたかった」という「Lingus」では、自分ができることを全て曲に注ぐ演奏が印象的だった。かてぃんは「この曲のために買った」とMOOGのシンセサイザーで浮遊感を演出。宇宙空間を行くような壮大さに、演奏を終えたけいちゃんは満足した様子。菊池は「オレはここで結構(体力を)使い果たした。1曲150キロカロリーぐらい消費している」と前半を振り返ると、ござに「激やせじゃないですか」と突っ込まれていた。
かてぃん
舞台を囲んだ客席にけいちゃん、菊池、ござが腰掛け見つめた、かてぃんの「Dancando no Paraiso」は、かてぃんが20歳のときに大学のサークルで弾いたという思い出の曲。「5年越しのリベンジ」と説明した曲では、ベースと「ドラえもんのうた」のフレーズで掛け合うなど楽器で会話。ドラえもんが未来の道具をポケットから取り出していくように。培ってきた経験を駆使し、聴き手を楽しませた。
かてぃん、けいちゃん
けいちゃんをステージに呼び込むと、前回共作した「KABURAYA」と同じように合宿をしたという新曲「YABUSAME」を初めて演奏。けいちゃんの躍動感、かてぃんの繊細さに射貫かれたファンも多くいたよう。鍵盤を滑る互いの手を交差させるなど動きでも魅了した。
衝撃がさめない中、「『浄土』に続く、お歌を歌う曲を」と話し始めたけいちゃんは、ソロの新曲「透明シンデレラ」を初披露。「浄土」とは違う甘い歌声と、伸びやかなファルセットに時が止まった。

けいちゃん

初めてオリジナル曲を書き下ろしたというござは、大海原への旅立ちをイメージしたという「清新の風」を静かに奏でていく。帆を膨らませた船が、輝く海に繰り出していく様子が浮かぶ楽曲は、昨今の情勢で沈んだ気持ちを浄化してくれるよう。優しく透き通った音色で聴き手を包み込んだ。再び4人が顔を合わせた「Room 335」では、スタイリッシュな時間に「幸せすぎる」と喜びのコメントが。個性的なソロでは、進化し続ける4人の今が詰め込まれていた。
「バージョンアップした所を見せたい」と4人が演奏したい曲のアイデアを持ち寄った今回。けいちゃんは「あと100曲ぐらいやっちゃう??」と物足りないよう。「え、もう終わりですか??」とござも、残念そう。「でも、本当に100曲やったら干からびちゃうんで僕ら。でもみなさん、大丈夫です。アーカイブで100回見られます。しゃぶりつくして」とアピールしていた。
菊池亮太
ござ
ラストの曲に選んだのは「Some Skunk Funk」と「ボレロ」。かてぃんを皮切りにメンバーが同じフレーズを繋いだ「ボレロ」では、菊池が不協和音、ござは繊細さで自己を表現。かてぃんがシンセサイザーで描いた不思議空間には、すでに新しい扉が生まれていた。
パーカッションの銅鑼で締めくくられた「ボレロ」には、4人が繰り出した超絶技巧のような速さで、拍手を表す表現である「888888888」などのコメントが次々に投稿された。止まらない反応に4人は「ありがとうございます」と一礼。かてぃんは「音楽を常に発見していきたいという思いを込めて演奏させていただきました。ありがとうございました」と感謝していた。
取材・文=Ayano Nishimura 撮影=高浪裕太

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