【明田川進の「音物語」】第46回 「
幻魔大戦」で実感したプロデュース業
の難しさ

 前回お話した「幻魔大戦」は(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/112624/ )、僕にとって音響監督よりプロデューサーとしての関わりのほうが大きい作品でした。誘ってくれたりんたろう監督のなかにも、この作品が上手く進んだらこれからプロデューサーとしてやっていったほうがよいんじゃない? という“問い”があったように思います。
 角川書店さんと一緒にアニメをつくるにあたって、僕らは「プロジェクトチーム・アルゴス」を設立しました。ギリシャ神話に出てくる百の目をもつ巨人・アルゴスが由来で、りんたろう監督、マッドハウス、マジックカプセル、美術の椋尾篁さんの会社など、制作の核になる会社や人を集めたチームです。チームとして仕事を請けて、アニメ制作はマッドハウス、制作費などの角川さんとの契約はマジックカプセルが担当していました。僕はプロデューサーとして、予算内に収めつつスケジュールも守って進めていけたらと思っていたのですが、なかなかやりきれない部分がありました。
 アニメーションのプロデューサーとして企画を立ち上げてお金を調達し、スケジュールを守ってしっかりとした作品をつくっていくのは本当に難しいことだと実感しました。僕はサンリオに入った当初は映画のプロデューサーとしてやっていこうと思っていて、その後、手塚治虫さんに声をかけてもらい「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」をプロデュースする仕事もしました。以前お話したとおり、この作品は試写会の日にフィルムが間に合わず、市川喜一さんと一緒に壇上でお詫びをすることになりました(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/106787/ )。
 「幻魔大戦」は「火の鳥2772」に続いてのプロデュースの仕事で、りん監督から声をかけてもらって、もう一度頑張ってみようとやってみたのですが、制作の終わり頃には、プロデューサーとしての挫折感を味わっていました。マッドハウス丸山(正雄)氏の、作品に対する作る姿勢にはすばらしいものがありました。その、とことんクリエイターに付き合うやり方を見て、あそこまで僕はちょっと入りきれないなとも感じました。りん監督の期待に上手く応えられなかったのではないかと、当時申し訳なく思ったのを覚えています。

アーティスト

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着