【M-AGE インタビュー】
“あれ? 意外と音はいいし、
カッコ良いんじゃない?”って
素直に思えた
あれがDVDになるの!?
えっ、残ってたの!?
そして、生産限定盤にはロンドンレコーディング中のメンバーを撮ったドキュメンタリーや、tvk『Live TOMATO』で放映されたCLUB CITTA' KAWASAKIのライヴなどのレア映像を収録したDVDも付属されるという。
たぶん昔からのファンの方はTVの音楽番組でオンエアしたPVやライヴ映像をVHSとかに録ったりしたと思うんですよ。そういう映像が30年近く経って…92年に日清パワーステーションでやった初めてのワンマンライヴがDVDになるなんて誰も思わなかったはずですよ。“あれがDVDになるの!? えっ、残ってたの!?”って。すごく貴重だと思います。
これらはビクターに残ってたアーカイブなんですか?
そうです。僕も記憶の中で、確かあの時のロンドンではカメラを回してたから、きっとどこかに映像が絶対あるはずだって。で、探していただいたら、まんまと出てきたんです、すっげー長時間のやつが(笑)。全部観直しましたよ。“うわっ、こんなにしっかり撮ってたんだ!?”ってちょっと感動しましたね。ひとつひとつのシーンに“この時はこういうことを思ってたよなぁ”とか思い出すこともあるし、“あれ? これ何だっけ?”っていうのもあるし。だから、選ぶ作業も楽しかったです。
今回のリユニオンはベスト盤のリリースだけではなくて、今後「BIRD CAGE」に続く新曲の制作やライヴも予定されているんですよね。
5月に予定しているライヴに関しては、古い曲のリメイクも「BIRD CAGE」と並んでおかしくないアレンジにして、さらにもう何曲か新曲を披露できればいいなって思ってます。プレミアム感というか、やって良かったと思えるものにはしたいですね。リアレンジに関してはイメージを崩しちゃいけない曲と崩してもいい曲を、まずは線引きして考えていきました。「CALL ME」とか「WALK ON THE MOON」って絶対にあのアレンジじゃないですか。それに関してはあんまりいじらないでやってはいますが、僕らのライヴってシーケンス…シンセサイザーとかループの比重がすごく多くなると思うので、その辺の構築の仕方はいろいろ考えてやってはいます。だから、早くライヴをやりたくてしょうがないですね。ただ、今は観客が声を出せないわけで…KOICHIROなんかは20何年か振りにライヴで歌うわけだから、例えば「CALL ME」のイントロが流れた時にキャー!って歓声がなかったら、モチベーションをどう保つのかが結構心配で(笑)。SEが鳴って、映像が流れて、お客さんのテンションがガンガン上がっていき、そこでトゥルルトゥルルってイントロが入った時、普通はキャー!って言うのに何も言えないんすよ(笑)。その時にKOICHIROはどういう佇まいでいるんだろう?…っていう。
かなりメンタル強くないと心が折れますね(苦笑)。
イントロが流れた瞬間もシーンとしてるわけですからね。30年振りにステージに立って“久しぶり!”と言ってもパチパチって拍手だけ…KOICHIROはキツいだろうなぁ。昔のアイドルみたいに“おかえりー!”って幕を作ってきてもらうかな?(笑)
スマホをタップするとキャー!って声が出るアプリもあるらしいですよ。
それいいですね! 自分の声をサンプリングしてアプリで鳴らすのってM-AGEっぽい(笑)。リユニオンの一発目なんでできれば会場で空気感をね、みんなで共有したいけど状況がこうなので、来たくても来れない方も多いと思うし、配信も視野に入れなきゃならないのかな? とにかくなんとか無事に開催したいですね。
メンバーもファンも、みんなで大事な瞬間を共有できるといいですね。
一昨日もライヴ用のリアレンジ曲のデータ作りでレコーディングしてたんですけど、みんな高校時代から知ってるやつらだし、50歳すぎて一緒にスタジオに入るなんて夢にも思ってなかったんですよね。すごく当たり前のことなんですけど、“あぁ、こいつの歌ってこうなんだよな”みたいなところにひとつ幸せを感じたりする。M-AGEっていうバンドの曲をOKAZAKIが叩いてる、KOICHIROの歌が入ってる…それがね、素直に嬉しかったりして。みんなもうベテランだし、自分が何をすべきかっていうことは明確に分かってるから、だったらそれを一生懸命やろうっていうところでやってるし。単純に音楽だけじゃなくて、そこは仲間なんだなって実感しますね。今回KAJIWARAは参加しないけど、メールとかLINEのやりとりは今もするし…今回の「BIRD CAGE」のトレーラーを観て“良かったよ”って感想をくれたり。これがもう一回触媒になって、またみんなとつながって、コロナが明けた時には一緒に“久しぶり。乾杯!”とかできれば美しいかなって。これをやることによって、当時つるんでたやつらともつながるしね。もしかしたらそこかもしれない、最終的な目標って。それこそメンバーが死んじゃったらできないことなので。それはここ何年かで一番感じたことだからね。
取材:舟見佳子