名曲
「サタデー・イン・ザ・パーク」を
収録したシカゴの傑作『シカゴ V』
本作『シカゴ V』について
シングルカットされた名曲「サタデイ・イン・ザ・パーク」や「ダイアログ(パート1・2)」(全米24位)は、いま聴いても全く古くなっておらず、特にキャスとピーター・セテラの掛け合いボーカルが印象的な「ダイアログ(パート1・2)」は、ノーザンソウル風の出だしからロックへと移り変わる後半部分の盛り上がりは何度聴いても鳥肌ものだ。ひょっとしたら、後半で登場するキャスの冴えわたるギタープレイに他のメンバーが鼓舞されたのかもしれない。
「ナウ・ザッツ・ユーブ・ゴーン」(ジェームズ・パンコウ作)は複雑な構成を持つ曲で、風変わりなリフはエチオピアのジャズを思わせる。後半のウォルター・パラザイダーのサックスソロがジャズファンクしていてカッコ良い。
「ホワイル・ザ・シティ・スリープス」でもキャスのギターは素晴らしく、イエスを思わせるコーラスがでてくるなど、仄かに香るプログレ臭が面白い。
タワー・オブ・パワーのバラードに似た演奏が聴けるソフトな「オール・イズ・ウェル」やフュージョンっぽい「グッドバイ」では、途中のキリッと引き締まったホーンのリフとセテラの巧みなベースラインが印象的だ。アルバムの最後を締めくくるのはキャス作の「アルマ・マター」で、ザ・バンド風の名曲。リードヴォーカルもキャスである。
本作以降の活動
TEXT:河崎直人