明日海りおのエドガーが今再び蘇る!
ミュージカル『ポーの一族』東京公
演が開幕

萩尾望都の同名名作漫画を、小池修一郎の脚本・演出によって、初めて舞台化した『ポーの一族』。2018年に宝塚歌劇団花組にて初演された際は、トップスターだった明日海りおが主人公のエドガー・ポーツネルを演じた。明日海ファンのみならず、再演の呼び声が高かったミュージカル『ポーの一族』だが、この度、梅田芸術劇場版として、装い新たに上演される。
明日海が退団後の初舞台で、再びエドガーを演じるほか、ミュージカル初出演となる千葉雄大が、不自由ない暮らしも心は満たされず、葛藤に苦しむ少年アランに挑む。加えて小西遼生、中村橋之助、夢咲ねね、綺咲愛里、福井晶一、涼風真世ら豪華キャストが出演している。
すでに大阪公演を終え、2021年2月3日(水)からは東京公演が東京国際フォーラム ホールCにて、23日(火・祝)からは名古屋公演が御園座にて開幕。2月7日(日)、13日(土)、28日(日)にはライブ配信が予定されているほか、大千秋楽では、全国各地でライブ・ビューイングも予定されている。(台湾・香港ライブ配信および台湾ライブ・ビューイングもあり)
東京公演初日を前にした2月2日(火)に行われたゲネプロ(総通し舞台稽古)の様子をお伝えしたい。
撮影:岸隆子(Studio Elenish )
撮影:岸隆子(Studio Elenish )

あらすじから説明しよう。
イギリスの片田舎、森の奥に捨てられた幼い兄妹エドガーとメリーベル(綺咲愛里)は、館に住む老ハンナ(涼風真世)に拾われ、霧とバラに包まれた館で育つ。老ハンナたちポーの一族は、不老不死の吸血鬼“バンパネラ”の一族であった。秘密を知ったエドガーは、成人後に一族に加わることを約束させられ、その代わりに、メリーベルを巻き添えにしないよう、彼女を遠く養女へ出させる。
正体を見破った村人に取り囲まれたとき、ポーの一族を率いる大老ポー(福井晶一)は、一族の存続の危機を救うため、エドガーを無理矢理仲間に加え、エドガーは永遠に少年のままとなってしまう。
生きる道を見失ったエドガーは、再会したメリーベルに請われ、彼女を一族に加える。エドガーとメリーベルは、フランク・ポーツネル男爵(小西遼生)とその妻シーラ(夢咲ねね)を養父母として長い時を生きることとなる。
時は流れ、4人は新興の港町ブラックプールに姿を現す。男爵とシーラは、港町で診療所を開く医師ジャン・クリフォード(中村橋之助)を仲間にしようと目論む。そこでエドガーは、町一番の名家トワイライト家の跡取りであるアラン(千葉雄大)と宿命的な出会いを果たしてーー。
撮影:岸隆子(Studio Elenish )
原作者に「理想のエドガー」と言わしめた明日海りおのエドガー。宝塚版でも大変に好演だったが、今回の梅芸版では、明日海自身がよりエドガーを深化させた印象だった。宝塚版ですでに「人ならざる者」としての説得力というか、あの稀有な存在感というか、神秘性というか、完璧なバランスを兼ね備えていたが、芝居の部分でクリアになったことがいくつかあり、内面が丁寧に表現されていた気がする。衝動的でもあり冷静さもあり、葛藤もありどこか諦めもあり、少年だが大人っぽさもあり。さすがの歌唱力に加え、芝居に磨きがかかったので、終始、明日海エドガーから目が離せなかった。
撮影:岸隆子(Studio Elenish )
そして、ミュージカル初挑戦の千葉雄大。明日海エドガーと相対するのはなかなかにプレッシャーだったと思うが、初挑戦とは思えないほどの健闘ぶりだった。アランという役柄にも助けられ、「現実」を生きるアランを等身大に演じたことで、逆にポーの一族の異質性を炙り出すことに成功。回を重ねるごとによくなっていくのではないだろうか。大いに期待したい。

撮影:岸隆子(Studio Elenish )

小西遼生のフランク・ポーツネル男爵(『フランケンシュタイン』のアンリの印象が強いのか、“人ならざる者”が否応無しに巧い)、夢咲ねねのシーラ(持ち前の品性と艶やかさ)、綺咲愛里のメリーベル(生まれ持った可憐さ)、涼風真世の老ハンナ(圧倒的な凄み)といった豪華キャストが作品をがっちりと支えているし、アンサンブルキャストのレベルも高い。宝塚版と梅芸版は大きな演出の変更はないと思われるが、やはり男性がキャストとして入ることで、別作品のような仕上がりになっている。
上演時間は約3時間(休憩含む)。初見の人も、宝塚版でどハマりした方も、ぜひお見逃しなく。
ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』舞台映像
取材・文=五月女菜穂

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