首振りDolls、
マンスリーインタビュー第23弾は
ナオ vs 草野華余子!

生半可な気持ちじゃ
続けられないと思いました

草野華余子

草野華余子

――1月27日にリリースされた『Life is like a rolling stone』の中に収録されている「おわりものがたり」とかもそういう感じですよね。

草野:そうなんです。「おわりものがたり」は、ファンの人の中では、“ダメ女3部作”って言われている曲で(笑)。他に「ばけものがたり」と「きずものがたり」って曲もあるんですよ。2012年に「ばけものがたり」っていう曲を書いているんですけど、全部主人公は同じで。ってことは、8年もこの主人公にこんな恋愛させてんのも可哀想だから、そろそろ終わらせておこうかな!と思って、今回「おわりものがたり」を書いて終わらせようと。

ナオ:8年!8年も辛い恋愛させたんですね!

草野:そうそう(笑)!

ナオ:なかなかですね!

草野:そう。なかなかでしょ(笑)。ずっとグズグズ言ってたんですよ(笑)。あ、言っておきますが、私本人の話ではないですから!でも、歌詞書く時って、何人か主人公いません?

ナオ:いますいます!いっぱいいます!

草野:いっぱいいるタイプです?

ナオ:はい。100%妄想の主人公もいますし、自分の経験を乗っけた主人公もいますし、曲ごとに違うといえば違うんですよね。

草野:コンセプトを先に置いて歌詞を書き始めるのか、メロディが先に出てきて、それに対するキャラクター付けをしていく感じ、どっちが多いですか?

ナオ:いろんなパターンがあるんですけど、歌詞から書くときは、コンセプトを置いて構築していく感じだったりするんですけど、ギターを触ってて浮かんで来たメロディに歌詞を置いていくときとかは、サビのメロディを弾いたときに一緒にサビの歌詞が浮かんできたりするんですよ。断片的に。そこからそれをパズルみたいに言葉を嵌めていって、全体を構築するって感じなので、そこに主人公は最初からは居なくて、後から主人公を入れていくっていう感じなんです。

草野:あぁ、そういうのもあるなぁ、確かに。ギターを弾いて歌ってる時に、キーワードが勝手に体から出てきて出ていって、それを拾って歌詞にするっていうパターンもありますよね!

ナオ:そうそうそう!ポロポロポロって言葉が出てきて、それを繋げて歌詞にするっていう。自分はそのパターンが一番多いかな。

草野:うんうん。コンセプトがあるから上手くいく時と、逆にそこにコンセプトがあると、そこに縛られちゃって上手くいかない時とがあったりするんですよね。

ナオ:そうなんですよね。縛られ過ぎちゃって、そこから抜け出せなくなっちゃう。ずっと書けなくて。そういうときは寝かせます。しばらくしまっておいて、忘れた頃に引っ張り出してまた書いてみるとか、そういうことしますね。たまに、移動中とかに引っ張り出して見てたりすると、ふと続きが書けたりとかするんですよ!

草野:あーそれ分かります。私、シンガーソングライターになる前は、ずっとバンドやってたんですけど、機材車で移動してる時や、対バン相手のライヴ観てる時に、ふと歌詞が浮かんでくることがよくありました。

ナオ:それめちゃくちゃ分かります!

草野:ありますよね!? 私それがすごく多かったりしたんですけど、最近それが減ってしまっていて、その感覚を取り戻したいなって思っている矢先にコロナで世の中がこういう状態になってしまって、ライヴにも行けなくて。バンドの活動はこのコロナ禍でライヴが出来なくなって、どうやってモチベーションを保たれてますが?

ナオ:モチベーションを保つかぁ、、、。そうですね、もう本当に首振りDollsはライヴバンドだったので、ライヴが出来なくなって活動を一気に止められてしまった感じになってしまって。

草野:過去のスケジュールを拝見して、すごくライヴをやられてたから、結構モチベーション的に辛いだろうなと思ったから、そんな話も聞きたくて。
ナオ:そうですね。月に10本くらい常にライヴしてる8年間くらいだったので。

草野:ですよね。スケジュールを見たら年間100本はやってたんだなって。だから今、ライヴが出来ないのは辛いだろうなと。一昨年、名前をカヨコから草野華余子に変えたんですけど、そこで切り替えの意味も込めて一旦ライヴ活動を止めていたんですけど、よし、そろそろライヴやるぞ!っていう時に、コロナの感染が広がっていって。そこから全然ライヴが出来ない状況に突入して2年目になるんですけど、その前までは年間50本以上ライヴをやっていたりもしたので、ライヴが日常に無いっていう現状を、みんなはどうやって受け止めてるんやろ? と思って。これ、バンドマンの1番の悩みでもあると思うから、ナオさんはどうやってモチベーションを保っているのかな?って。素朴な疑問。

ナオ:ライヴが出来ない状況が不慣れすぎて、最初はすごく新鮮だったんですよね。何をしていいか分からなかったんですけど、でも、最初の頃は、よし、これで曲たくさん作り溜められるぞ!って思ったというか。でも、そのうちどんどんライヴが出来ない状況が続いて、先が見えなくなってきて、どうなるんだろ?ってやっぱり不安になって。観に来てくれるファンのみなさんの安全を考えたら、ライヴをやり続ける訳にもいかなかったから、ずっと我慢してライヴを止めてたんですけど、落ち着いてきたかなと思った頃に有観客に踏み切ったんですけどね。でも、やっぱり制限のある中でのライヴだから、今までみたいにはライヴが出来ないじゃないですか。もちろん、無観客での配信ライヴも制限に沿った有観客ライヴも、自分達的にはこれまでと同じって思っていたし、熱量は変わってはいないんですけど、やっぱり有観客でのライヴって違うみたいなんですよね。お客さんが居てくれるとまた違う熱量が出るみたいで。自分達では分からないけど、配信は配信でしかない熱量が出てるみたいなんですけどね。だから、本当にこのコロナ禍で、いろんな気づきがありましたね。モチベーションを保つみたいなところに、自分の気持ちをシフトした感覚はなかったですね。

草野:徐々に状況を受け入れていったって感じ?
ナオ:そうですね。徐々に。かな。でも、受け入れ切れてないですよ。やっぱりライヴしたいから。草野さんはどうですか?

草野:私はめちゃくちゃ落ち込みましたね。今年(2020年)にかけよう!って思っていたので。2月25日に弾き語りのライヴをやったのが最後で、春のツアーが無くなり、リリースが無くなり、っていう状態になりました。知り合いの作家仲間やバンド仲間とリモートで話したり、一緒に曲を作ったりして、それを曲にしたりとかしてたんです。今回のアルバムの中にある「Wi-Fi」って曲がそれだったりするんですけどね。

――宮地 慧(memento森)さんとeba(cadode)さんと作られた楽曲ですね。

草野:そうです。というか、めちゃくちゃ聴いてくれてますね!

――草野華余子推しなので! 

草野:めっちゃ嬉しい!

――でも、「Wi-Fi」は、コロナ前にアルバムがリリースされていたら、絶対に生まれてこなかった楽曲ですもんね。アーティストのモチベーションは、この状況下で、随分変わったと思うし、生まれる曲も変化したと思います。

草野:そう思いますね。本当に。

ナオ:たしかに、自分では気づいていないところで、そういうのが出てるんでしょうからね。

草野:私自身、この状況下の中で、自分らしく音楽をやる方法を模索しましたからね。言い方は悪いけど、篩に掛けられたタイミングになったというか。辞めていった仲間もいましたからね。厳しいなって思った人達は辞めていったし。辞めたくなくても辞めなくちゃいけない状態に追いやられた人達もいたし。自分は有難いことに続けることが出来たので、この機会を無駄にすることなく、しっかりと頑張っていこうと思い直せたし。作家もそうだけど、バンドマンは特にね。1人じゃないから。メンバーそれぞれの想いが同じでは無いから。

ナオ:そうですね。バンドは難しいですよね。草野さんの言う通り。1人じゃないから。

――そうね。コロナというものがなければ、この感情の縺れはなかったんじゃないかな、っていう今までにはなかった感情や感覚を感じますからね。
草野:そう。メンバー内にちょっとだけあったモチベーションの差が、このコロナによってめちゃくちゃ大きくなったと思いますね。

ナオ:それ、すごく分かりますね。

草野:バンドよりも生活を優先したいって思っていたメンバーさんとかが、それぞれのバンドにいらっしゃったら、そういう方達は、辞めるという選択の方にグッとシフトしていっただろうなって。側から見てて感じましたね。私の知り合いのバンドもいくつか解散してしまったりしましたけど、こういう状況になったからこそ、真価を問われるというか。ちゃんとバンドとして一つになって向き合う、環境をきちんと整えて踏ん張れるか、そこだと思うんです。絶対に、今までみたいに甘い考えでは生き残れない。生半可な気持ちじゃ続けられないと思いましたね。

――そうだね。問われてるよね。やれるのか、やれないのか。踏ん張れるのか、踏ん張れないのか。そこは本当に自分達次第なのかなと。

草野:本当にそう思います。

ナオ:そうですね。コロナがなかったら、やろうと思っていなかったことにも挑戦出来る機会でもあったと思うし。一長一短というか。

草野:自分達に起こったことを活かしていけるか、この状況を無駄にしないでプラスに変えられるか。そこだと思いますからね。これ以上ないくらいの大きなターニングポイントだと思いますね。何を生み出したいのか、それでも音楽をしたいのか。それを問いかけられる1年だったなと思いますね。

――まだ過去形になっていないからね。まだまだ先が見えない状況にあって。そんな中、2人はどう在りたいと思ってますか?

草野:実際に状況的には2年は確実に以前の様に戻ることはないと思うんですよ。そして、一度ライヴハウスシーンから離れてしまったお客さんの気持ちを取り戻すのって、5年スパンはかかると思っています。私の場合は、作家という立場とシンガーソングライターの二足の草鞋でやっていて。作家をやり始めたキッカケは、作家として楽曲提供をすることで、自分のシンガーソングライターの活動にフィードバックする為でもあったんですよね。でも、今は少し気持ちが変化してきていて、どっちも100%で向き合いたいし、どっちも私の100%なんですよね。でも、やっぱりライヴって、私の中では人生のご褒美みたいな位置付けなので、それを根こそぎ奪われてしまったのは、自分にとって本当に辛いことでもあったから、それに変わるものというか、いかにマネタイズして、いかに人の目に付くことをしていけるか、だと思っているんですよね。今回こうやって、いつもは話さないようなことを話せる対談の場所を与えて頂いているのも、本当に感謝していますし、嬉しいことだなって思っていて。こういう場所で、なかなか発信出来ない想いを伝えていけるって、本当に有難いなって。

ナオ:すごく頭の回転の良い方だなって思います、草野さん。すごい。

草野:なんの感想ですか(笑)。対談ですよ、対談! 

ナオ:あ、すみません! 感心しちゃって。つい(笑)。聞き入っちゃいました。

草野:聞入らんといて!

ナオ:あ、すみません!

草野:のほほんとしてるなあ(笑)!

ナオ:のほほんとし過ぎました(笑)!

草野:ほっこりしたわ(笑)! 本当にあんな激しいロック歌ってる人!? なんか別人が来たんじゃないかって疑うわ(笑)! てか、答えて! 質問(笑)! てか、質問内容忘れたでしょ!

ナオ:なんでしたっけ(笑)?

草野:なんでしたっけじゃないわ(笑)!

ナオ:(笑)。

OKMusic編集部

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