雑誌「映画秘宝」2021年3月号(現在は双葉社から発売)※編集部は社外

雑誌「映画秘宝」2021年3月号(現在は双葉社から発売)※編集部は社外
ロマン優光のさよなら、くまさん
連載第179回 映画秘宝の編集長 何というか、編集氏から依頼されたテーマは予想通りに「映画秘宝・岩田編集長。Twitterのエゴサーチで編集長が出演した『アフター6ジャンクション』の気にくわない感想を発見。書いた一般人の方に奇っ怪な脅迫DMを送りつける。」という事件から巻き起こったあれこれについてでした。
なんで、日常だったら「うわー! ひどい」と秒で片付けてしまうような不快な事柄について色々と考えることを要求されねばないないのか。つらい。被害者が存在する出来事であり、これから被害者と編集元オフィス秘宝及び発行元の双葉社は話あっていくのだろうし、別に何も解決してないわけで、わからないことも多いし。
 気をとり直して、原稿進めますね。 大きな流れや前提(「死にたい」と相手に言うのは、ほんとに死んでしまう可能性をちらつかせることで、相手をコントロールしようという卑劣な脅迫行為であるとか)の解説は他におまかせして、個人的に気になったところを言及していきたいと思います。
 岩田編集長の今回の行動。被害者が女性であったため、 ミソジニーに裏打ちされた行動であるかのように語られていたりもします。女性を弱い存在だと舐めており、それゆえに女性をわざわざ狙い撃ちにしたというわけです。しかし、実際は過去に男性にも不審なDMを送りつけてもいます。そのうちの一人がTABLO編集長・久田将義氏なわけです。久田さんといえば、元チーマーでありラグビー経験者。反社会勢力相手の取材もこなし、強面でありガタイもよく、全然弱そうではないですよね。
 で、今回の件をきっかけに岩田編集長の評判がTwitterのTLに色々流れてきたんですよ。例えば、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督のような一般的な知名度が高く成功している人は、岩田編集長に対して好意的な人物像を持っていて、今回のことでショックを受けています。一方で、そこまで世間的に有名でないクリエイターの人たちは、彼から受けた不快な対応について語っている場合が多いんですよね。なんか有名で権威がある人には媚びるけど、自分より下だと思った相手には舐めた対応をするタイプなんでしょうかね? 自分の雑誌の方が売れてるとか、自分の方が有名な媒体に出ているとかいう理由で、久田さんのことも舐めてたんでしょうか?  とにかく、自分より権威がありそうな人以外には、あらゆる方向に失礼な感じの人の疑いがありますね。あんな感じで悪口がいっせいに出てくるの、ヤバイですよね。
 そもそも、岩田編集長って、ホモソーシャルなノリを好きでない人に対して「ホモソーシャルを好きでないなんて許さない!」とて怒ってたわけで、勝手すぎですよね。自己愛が強い人なのでしょうか? それに比べて、真魚八重子さんが被害者のツイートに文句を言ってた理由はまあわかります。秘宝をジェンダー意識の高い雑誌に変えようとがんばってきたのに認められてないことに関する怒りですよね。あれ、真魚さんは別に編集長を擁護しようとしたわけではないと思うんですよ。被害者のことより、編集長のことより、自分の努力が認められないことに関する怒りの方が先にきちゃったんでは。思ってもいいけど、ああいう状況で真っ先に公の場で書くようなものじゃないですが。
 自分のこと優先といえば、被害者に対する攻撃を控える理由として、それが問題になると秘宝が廃刊になってしまうということを持ち出してたとしか思えないようなツイートをしていた町山さんですよね。正直な人だとは思いますが、なんでそれを言ってしまうんでしょうか……。ほんと、勘弁してほしい。せめて、ジャンクハンター吉田を黙らせるとかするべきなんでは。実際にやったのは、てらさわホークさんでしたが。あと、ネトウヨとかリベラル嫌いとかが町山憎しの気持ちから秘宝叩きに参加してるのは不快ですよね。そいつらも不快だし、秘宝を叩いてるのはネトウヨでまともじゃない奴みたいな言い訳に使うやつも不快です。
 昔に比べたら、映画秘宝も変わってきたのは確かなんですよね。ここ5年だけ見ても。若手の編集者やライターが、がんばって変えてきたんだと思います。また、かつては秘宝のホモソーシャル感やマチズモを象徴する一人であった高橋ヨシキさんも、世間的なイメージが変わりましたよね。若い人、昔の秘宝を知らない人からは違うイメージで見られている感があります。そうやって積み重ねてきたものを一瞬で台無しにした岩田編集長、凄いですよね……。
 岩田編集長に関しては、『童貞。をプロデュース』に関して、松江監督が性的強要を被害者にしている様子が面白いと岩田編集長が語る動画を自分であげて、それを見つけた被害者である加賀さんにTwitter上で言及された途端に動画を削除して逃げるということもありましたね。削除した後も知らんぷりしたまま。そんなやらかしをした人に公式アカウントの管理させてたのが、そもそもの間違いだと思います。
 町山さんの影に隠れて言及されることは少ないですが、最近の松江監督問題から繋がる秘宝の諸問題に関しては、田野辺尚人氏の影響や責任というものもあると思います。実際問題として、町山さんが編集長を辞めてアメリカに行ってから20年以上。国内のこと、編集部のことを詳しく知り得る立場でもないし、細かく指導できるわけでもない。なんだかんだで身近で秘宝に長時間関わってきたのは田野辺氏ですよね。
 とにかく、被害者が納得できる結果が出るといいですね。
(隔週金曜連載)
写真:雑誌「映画秘宝」2021年3月号(双葉社から発売 編集:オフィス秘宝)
https://books.rakuten.co.jp/rb/16596261/
★ロマン優光のソロパンクユニット プンクボイのCD「stakefinger」★
https://books.rakuten.co.jp/rb/15176097/
★ロマン優光・既刊新書4作 すべて電子書籍版あります。主要電子書店スタンドで「ロマン優光」で検索を。
『90年代サブカルの呪い』
https://books.rakuten.co.jp/rb/15761771/
紙書籍の在庫があるネット書店はコア新書公式ページから
http://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_027.html
『SNSは権力に忠実なバカだらけ』
『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』
http://books.rakuten.co.jp/rb/14537396/
主要配信先・書籍通販先などは下のリンクからhttp://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_021.html
『日本人の99.9%はバカ』
https://books.rakuten.co.jp/rb/13104590/
主要配信先・書籍通販先などは下のリンクからhttp://www.coremagazine.co.jp/book/coreshinsho_010.html
★「実話BUNKAタブー」(発売中)では、『ロマン優光の好かれない力』引き続き連載中! 3月号のテーマ「草津の女性町議を叩く男たちがキモすぎる」コンビニや書店・ネット書店で!
【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz
おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
楽天ブックス
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/
連載バックナンバーはこちら
https://wp.me/p95UoP-3N (コピペして検索窓に)

ブッチNEWS

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着