MERRY3曲の新曲披露!ツアーファイ
ナルでゾンビ達が集結

怪我療養中のテツ(B)の復帰を待ちながら、ゾンビメイクで4人だけで回ると決意してスタートしたこのツアー。そんな彼らの有終の美を飾るべく、会場のあるお台場には、たくさんのゾンビ達が集結した。レトロなSEに合わせて手拍子が沸き起こった頃、ゾンビと化したメンバーが登場。一曲目は、初期の名曲『バイオレットハレンチ』をこのツアー用にアレンジした『バイオレットゾンビ』。真っ赤な照明、ステージの至るところに飾られた風車、曲に合わせてうごめく群衆、宙へと伸びる無数の手。地獄絵で見るのと同じ光景が目の前に広がっていた。それは、どこか原点回帰をも思わせられた。ネロのドラムは地の底を打ち鳴らし、結生と健一のギターは絡み合い、のたうち回る。ねっとりとまとわりつくガラの歌は不気味さを増していった前半戦。会場はすっかりこの地獄に心酔してしまったようだ。
『Midnight Shangrila』で弾かれたように、フロントの3人がステージセンターに作られた花道に躍り出る。その光景を見ながら、4人でテツの穴を埋めようとしているのではないんだ、ということを感じた。このツアーで、ネロは土台であるリズムパートを2人分請け負った。健一が激しいパフォーマンスで下手エリアを2人分盛り上げた。結生は2人分吠え、煽った。そして、ガラは2人分の気迫と歌でステージを盛り上げた。メンバー一人一人が2人分の思いで挑んだからこそ、何倍にも膨れ上がったエネルギーがこのツアーで炸裂したのだと思う。

少々の機材トラブルなど、笑ってやり直せる余裕もできた。
また、このツアーでは3曲の新曲が披露された。1曲はMERRYらしいレトロで切ないミディアムナンバー、2曲目はインスト曲。ベースが欠けている状態でのインストとは、彼らの前向きさを感じずにはいられない。そして、もう1曲はアンコール1曲目に披露された、テツ作曲によるダンサブルなナンバー。テツと一緒に前に進んでいるんだということを、新曲という形で証明してくれた。
ライブは後半に向かうにつれ、メンバーの煽る声も激しくなる。「最終日だぞー!全員ゾンビになっちまえよ、そして最後はみんなで蘇生しようぜ!」と結生が叫ぶと、ウサギのマスクを被ったガラが「お前らに絶望を!」と、『絶望』へ。続く「オリエンタルBLサーカス」では、ドラムを叩くことをやめてネロまでが花道に飛び出し、より一体感を求めて会場を煽る。そして『【human farm】』『妄想rendez―vous』と怒濤のアップナンバーが続き、本編は「不均衡キネマ」で幕が降りた。
本編途中からゾンビメイクもとれ、すっかり蘇生状態だったメンバー。アンコールではスッキリとした表情で、MERRYの新境地といえるテツ作曲の新曲を披露。初期の人気曲『やさしさキッド』、「お前らみたいな腐ったゾンビは消毒だ!」とガラが満面の笑みでCO2を振り撒いた『消毒』と続き、4曲目は『陽の当たらない場所』。この曲は、事前にメンバーがTwitter上で聴きたい曲のリクエストを募っていて、そこで多く上がっていた曲だ。“陽の当たらない場所”とは、まさにゾンビが生息する場所。メンバーがファンのリクエストに応えた形ではあったが、聴いているうちに、この曲はファンからメンバーへのメッセージだったんじゃないかと思った。闇の中にいる彼らへ、優しく照らす光はここにあるよ、と。
「このツアーを通して、バンドの楽しさを知りました!」と語ったガラ。メンバーとの絆、そして、ゾンビになって地獄までついて来てくれるファンとの絆は、より深く強くなった。ツアーが始まった当初は、「やってみないと分からない」と語っていたメンバーだが、最終日を終えた今、その先に何が見えたのか。その答えは、Wアンコールの時に読まれた、テツの手紙の中にあった。「未来への道は確実に開けているということ」。
その言葉を受け、“またゼロから始めよう”という強い意志を歌う『ZERO ―ゼロ―』、“俺はまだまだ高く飛べるよ”という言葉で締めた『梟』を披露。
トリプルアンコールでガラからMERRYの未来が告知された。7月5日に東京キネマ倶楽部で「自作自演」と題したライブ、健一の誕生日でもある7月14日に下北沢でファンクラブ会員限定ライブ、そして冬にはアルバムをリリースするとのこと。新しいMERRYの幕開けに期待が高まる。嬉しい告知に浮かれた群衆をキリリと引き締めるかのように、最後に「愛国行進曲」が披露された。この日最高の笑顔を見せたメンバーに、愛情いっぱいの万歳と敬礼が捧げられた。(文/大窪由香、写真/中村 卓)

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