佐咲紗花

佐咲紗花

【佐咲紗花 インタビュー】
みんなが『怪物事変』を
観て感じたことを
曲に投影して聴いてほしい

TVアニメ『怪物事変』のエンディング主題歌となる「−標−」。主人公の半妖の夏羽が探偵事務所を営む隠神との出会い、仲間たちとともに人間と怪物が絡む事件と対峙していく哀しくも心に刺さる物語に、佐咲紗花はどう寄り添ったのだろうか? 2021年第一弾シングルに込めた想いを訊いた。

作品の余韻を次回まで残せる
曲にしたかった

まずは「−標−」がエンディング主題歌となったアニメ『怪物事変』の印象について教えてください。

最初に原作を読んだのですが、これが本当に面白くて。登場人物たちも感情移入しやすいキャラクターばかりで、自分もその世界の中にいるような気持ちになれる作品でした。自分から入っていくというよりは、作品側から読む人をその世界に入れてくれるような作品だと思いました。

「-標-」はArte Refactの本多友紀さんが作曲編曲、作詞を佐咲さんが担当されましたが、制作はどのようなかたちで進められたのですか?

いただいた楽曲オーダーのイメージから、今回は本多さんがぴったりではないかと感じてお願いをしました。最初に曲のテーマとしてあったのは、エンディング主題歌だけど“今週も終わって良かったね”というものではなくて、次週の放送まで心に引っかかりを持たせるような楽曲であること。そういうイメージを伝えました。本多さんの作るサウンドって“本多節”というか、人の胸の中心のあんまり誰にも触れさせない部分を触りにくるようなところがあって、すごくエモーショナルなのが好きだなと私は感じていて。今回はそんな本多節をいっぱい光らせてほしいと思っていました。

「-標-」は強さと儚さが共存していて、グッと心を掴まれるロックナンバーになっていて。『怪物事変』は登場人物それぞれに抱えているものがあり、その物語の余韻を残すような楽曲になっていますね。

登場人物がひとつひとつ何かを乗り越えて絆を深めていく…その積み重ねが描かれていて、一話で完結というわけではない作品なので、アニメを観終わったあともずっと『怪物事変』のことを考えてしまうぐらいのインパクトを残す楽曲を目指しました。

そして、歌詞には登場人物の心情が鮮明に描かれていますね。

原作を読んで私が一番描きたかったのは、夏羽にとって隠神さんが自分の初めて見つけた光であり、灯火であり、それを人から奪われたくないし絶対に消したくない、そしてその対象が織や晶…とどんどん増えていって、自分にできた大切な者たちを守っていくために強くなりたいと願うところだったんですね。大切な者のために自分が成長していきたいということを書きたかったので、1番は主に夏羽のことを、2番以降は物語の舞台となる隠神探偵事務所の仲間たちのことも含めた願いを描いています。あと、大切な者が増えていくとひとりでは抱えきれなかったりすること、自分がちゃんと成長をしていかないと一緒にいてもらえないというところも描きたいと思いました。また、よく私は歌詞の中で言葉遊びをするのですが、登場人物の名前やキーワードも盛り込んでいるので、それに気づいていただけたら嬉しいです。

歌詞では特にサビの《千切れた糸を手繰って 哀しみを屠(ほふ)って》という箇所が印象的でした。

実は“屠る”と“葬る”で最後までずっと悩んでいたんです。夏羽の行動を考えると、戦うこと自体も自分の出生や境遇やいろんなことを越えていくためであり、仲間と生きる未来のためなんだろうなと思ったんです。“屠る”という言葉には“打ち負かす”や“敵を破る”という意味があるんですが、自分が自分の悲しみや過去を打ち負かしていくというイメージで使いたいと思ったので、今回は対峙する相手が怪物(けもの)という人間ではないものということも踏まえて、この言葉を選んで使いました。

「-標-」は高音パートの切ない響きと、低音パートの力強さも含め、曲と同様にヴォーカルもエモーショナルに感じました。でも、歌うのはかなり難しい曲ですよね。

細かい難しさがたくさんある楽曲で、歌いこなすにはとても時間がかかりましたが、“切なる夏羽たちの想いが伝わりますように”と思って、私にとってもメロディーとのギリギリの戦いの中でレコーディングをしました。楽曲作りの時もそうですが、歌入れの時も自分が『怪物事変』の世界にいるつもりで、歌詞の中に描いた“ここは誰の気持ちなのか?“誰の目線のどんな願いなのか?”を意識しながら、しっかりと気持ちを入れて歌いました。夏羽の前に隠神さんという光が現れて、そこから夏羽の世界が広がっていく。次第にこの先の光や絆に向かって、みんながそれぞれに境遇を乗り越えて未来を目指していく。それらが少しずつ重なっていく様子を、私なりに咀嚼して楽曲に閉じ込めました。アニメの最終話の時に、どのキャラクターの心境にもこの曲が寄り添えるように。今回は『怪物事変』という作品の側にずっといられるといいなという想いをことさら存分に込めて、原作漫画、アニメーション、どちらも身近に感じてもらえるように作ったつもりです。作品とともに楽曲を楽しんでいただきたいですし、話が進むにつれて“ここも当てはまるな”ここはこういうことであってほしいな”とか、みんなの感じたことをこの曲に投影して聴いてもらいたいですね。その感情やイメージを、この曲が受け止めて、さらに広げることができていたら嬉しいです。
佐咲紗花
シングル「-標-」

OKMusic編集部

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