【Sound Horizon リコメンド】
リスナーへの信頼が生む
“解釈に開かれた音楽”
日本を舞台に絵馬に願掛け
運命に翻弄される登場人物たち
ちなみに『絵馬に願ひを!』はタイトルからも想像できるように、とある神社…日本を舞台にしたストーリーになっている。Revoが日本を描くというのを初めて知った時には、期待とともに少しの心配も感じた。というのもSound Horizonは近年、スペイン、ドイツ、アメリカなど欧米圏を舞台にした物語を描き続けており、作品ごとにそれぞれの国の歴史や風土を知ることができるのが楽しみのひとつだったのだ。僕たちのよく知っている日本を描いても、果たしてこれまでの作品のように奥深さを味わうことができるのだろうか?…と。結果的には、その心配はまったくの杞憂だった。本作も僕たちが表面的に知っている“日本らしさ”からスタートしつつ、さらに奥へ奥へと、その深みを伝えてくれる内容になっているようだ。
とりわけ、“絵馬”…すなわち“願掛け”がテーマになっているのが面白い。Sound Horizonの物語では、しばしばささやかな希望や法外な夢を抱いた登場人物が現れては、それが叶う代償として大切なものを失ったりする。Revoが好んで描くこうした物語に絵馬というモチーフは実にぴったりだった。しかも、絵馬に託した願いが叶うか否かというところが選択肢による分岐になっており、いわばリスナーの判断が登場人物の運命を決めるかたちになっている。Blu-rayという形式と、絵馬を使った願掛けという日本らしいテーマの選択が見事に噛み合って、唯一無二の面白い作品になっているのだ。
とりわけ、“絵馬”…すなわち“願掛け”がテーマになっているのが面白い。Sound Horizonの物語では、しばしばささやかな希望や法外な夢を抱いた登場人物が現れては、それが叶う代償として大切なものを失ったりする。Revoが好んで描くこうした物語に絵馬というモチーフは実にぴったりだった。しかも、絵馬に託した願いが叶うか否かというところが選択肢による分岐になっており、いわばリスナーの判断が登場人物の運命を決めるかたちになっている。Blu-rayという形式と、絵馬を使った願掛けという日本らしいテーマの選択が見事に噛み合って、唯一無二の面白い作品になっているのだ。
圧倒的なポップさとリスナーへの
信頼が生む唯一無二の作品
繰り返すが、こんな作品は見たことがない。Revoはなぜ、こんな離れ業をやってのけるのだろうか? 人目にはとても思いつきそうにないし、仮にもし思いついたとしても、とても実現不可能だと思えるだろう。リスナーに受け入れられないとも限らない。
それができてしまう理由は、おそらくふたつある。ひとつは、Revoの音楽には揺るぎないポップさが宿っていることだ。そう、Sound Horizonはどれだけ物語が難解に見えても、根底にあるメッセージには“愛”や“癒し”のような素朴な美しさがあり、また楽曲にも同様の明快な力強さが漂っている。だからこそ、Revoは前代未聞の形式でも自信を持って作品を繰り出すことができるのではないだろうか。
そして、またRevoがこれを堂々とリリースできる理由のもうひとつとしてあるのは、圧倒的なリスナーへの信頼だ。“人々はこれを面白いと思ってくれるに違いない。考察し、解釈し、奥深さを味わってくれるに違いない”という、リスナーに対する想いが、『絵馬に願ひを!』という並外れた作品からは伝わってくるように思えてならない。
今回の作品は“Prologue Edition”と名づけられているし、また、“7.5th or 8.5th Story BD”という奇妙なナンバリングも付加されていることから、おそらく本作に連なる別作品がこのあとに準備されているということなのだろう。それは果たしてどんな作品になるのだろうか? いつもリスナーの予想を超えるようなことをやってのけるSound Horizonだから、次がどうなるのかはまったく想像がつかない。しかし、予想を超えつつ、期待は裏切らないに違いない。
それができてしまう理由は、おそらくふたつある。ひとつは、Revoの音楽には揺るぎないポップさが宿っていることだ。そう、Sound Horizonはどれだけ物語が難解に見えても、根底にあるメッセージには“愛”や“癒し”のような素朴な美しさがあり、また楽曲にも同様の明快な力強さが漂っている。だからこそ、Revoは前代未聞の形式でも自信を持って作品を繰り出すことができるのではないだろうか。
そして、またRevoがこれを堂々とリリースできる理由のもうひとつとしてあるのは、圧倒的なリスナーへの信頼だ。“人々はこれを面白いと思ってくれるに違いない。考察し、解釈し、奥深さを味わってくれるに違いない”という、リスナーに対する想いが、『絵馬に願ひを!』という並外れた作品からは伝わってくるように思えてならない。
今回の作品は“Prologue Edition”と名づけられているし、また、“7.5th or 8.5th Story BD”という奇妙なナンバリングも付加されていることから、おそらく本作に連なる別作品がこのあとに準備されているということなのだろう。それは果たしてどんな作品になるのだろうか? いつもリスナーの予想を超えるようなことをやってのけるSound Horizonだから、次がどうなるのかはまったく想像がつかない。しかし、予想を超えつつ、期待は裏切らないに違いない。
文:さやわか