ゴールデンボンバーが全力のパフォー
マンスで届けたエールと感謝、“実写
無限列車”も登場したクリスマスライ
ブをレポート

ゴールデンボンバークリスマスライブ ~聖夜の夢漢却廃神~

2020.12.24(木)池袋harevutai(生配信)
メリークリスマス! 合わせた4つのグラスが聖なる音を響かせる。鬼龍院翔(Vo)のワイフが腕を振るった料理に舌鼓を打つメンバー。ゆらめく暖炉の炎。年末年始の予定を笑顔で語り合う光景は幸せそのもので。『ゴールデンボンバークリスマスライブ~聖夜の夢漢却廃神~』は、こんなふうに安らかに幕を開けた。しかし安らかなまま閉じるわけないのがゴールデンボンバー。異常気象で森に木の実がなかったのかな、いや、毛の色的には北極からわざわざ!? 突如現れたしろくまが窓ガラスを突き破り、襲いかかる。瞬く間に広がる地獄絵図。鬼龍院が最後の力を振り絞って書いたダイイングメッセージは「ゴールデンボンバーワンマンライブはじまるよ」。映像がライブ会場に切り替わり、血みどろメンバーの放つオープニングナンバーが「デスメンタル」なんて、出来過ぎです!
MCが始まると、鬼龍院は自らが残したダイイングメッセージによって不思議な力が湧いて、ライブができているという設定を説明。補足するように、歌広場淳(Ba)がコメント欄の盛り上げ方を伝授する。一方、喜矢武豊(Gt)は流行りのソロキャンプにチャレンジしたいと言い、樽美酒研二(Dr)は、雪だるまのオリジナルマスコットを考案したと話す。そのまま「抱きしめてシュヴァルツ」に突入したということは? ハイ、ギターソロで何か起こりまーす。雪だるまのキャラクターに変身した樽美酒は、早々と体部分の風船を割られて、頭は白いまんまる、首から下は全裸に見えるTバック姿に(笑)。片や喜矢武は赤い服を着たくまの衣装に着替え、はちみつの壺を抱え、さらなるはちみつを要求し、恐らく史上初の流しはちみつに挑戦。粘度の高いはちみつを直接口で受け止めた喜矢武は悶絶。歌広場が噛みしめるように「命を賭けたギターソロ」と呟けば、鬼龍院は「喜矢武さんはリスクのあるものが好きだからなぁ」と答える。かと思えば、近況を聞かれた喜矢武が大ヒット上映中の『鬼滅の刃』を絶賛し、「劇場版『無限列車編』の実写化、必ず私が実現させます。役者・喜矢武豊、応援よろしくお願いいたします」なんて力強く宣言。「何役なんだろう?」と首を傾げるメンバー。この一連のやりとりが数分後に巻き起こる事件の前振りだったとは、まだ知る由もなかった。
樽美酒研二
「今夜は?」と呼びかけると、「トゥナイト」の文字が画面の上をものすごい勢いで横切る。《電車よ終わるな》、一秒でも長く一緒にいたい恋心を切実に歌い上げると、その想いを乗せたギターソロで喜矢武、無限列車姿に。そしてスロープを使ってフロアへ降りた瞬間、映像は雪山に切り替わり、山肌を猛スピードで駆け抜ける。麓で慌てふためくメンバー&スタッフと、満面の笑みを浮かべる喜矢武のコントラストがちょっぴり怖い。鬼龍院がスライディング、必死に掴んで列車を止めるというエンディングはもうめっちゃ怖い。のちのMCで、止まった少し先は崖だったことが明かされ「壮絶過ぎたから、YouTubeにのっけようと思う」との予告通り、ただいま絶賛公開中ですので、各自ご確認を。
バブリーなユーロビートに、コメント欄に溢れる翔也コール、そしてクリスマスに華を添えたくて樽美酒が自作したスーパー玉●なイルミネーションが妖しく溶け合う「Oh! My Love」。鬼龍院は通常のライブとは違うから、珍しい曲を選びすぎたと反省していたけれど、続く「101回目の呪い」、「あの日の君を傷つけたのは」も含め、この日のセットリストは2020年を生き抜いたみんなへのエールであり、心からの感謝であり、今届けたいメッセージそのものだった。
樽美酒研二
思い返せば、エンディングで畳み掛けるように披露されたカンフーダンスロック「成龙很酷」も、ステージ狭しと駆け回る「かまってちょうだい///」も、一緒に大騒ぎしている間は、仕事も、学校も、コロナも、ややこしいいろいろも、全部忘れられる曲で。だから最後は「イヤホン」。《あぁ君にそんな歌届けばいいのにな》と視聴者が書き込み、大合唱すれば、ゴールデンボンバーは《届け僕の声 涙に暮れている君まで もう悲しい雲におおわれないように》って返す。小さなイヤホンから聴こえてきた歌に自分たちが救われてきたように、今日のライブが誰かの救いになればいいと本気で願い、全力で届けたパフォーマンスは素敵で無敵だ。
歌広場淳
アンコール1曲目は、クリスマスライブ恒例、ゴスペル・リベンジ。惨敗した2018年の「きよしこの夜」、2019年の「もろびとこぞりて」の反省を踏まえてのチャレンジのはずが、2020年はプッチモニの「ぴったりしたいX'mas!」を選曲。確かにダンスもハーモニーもばっちりだったけど、コスプレした結果、パジャマ姿のおじさんになっちゃうわ、人数が合わずに樽美酒だけミニモニ。だわ、そもそもゴスペルじゃないわで、ツッコミどころ満載(笑)。
先ほどまで着ていた汗でびしょびしょのスタイリッシュな衣装に再び袖を通すと、チキンと伊右衛門で乾杯、クリスマスパーティー再開。喜矢武の粋な計らいで用意されたクリスマスケーキは、喜矢武の滑舌の悪さからクリス松村ケーキとなってしまったけれど、いつか素敵な思い出になるってものだ。ただこれからは思いついたことを全部やるのはやめようねと反省した側から、「クリスマス感がまだ足りない」と言い出す喜矢武。まだまだやらかす気満々です。
鬼龍院翔
「†ザ・V系っぽい曲†」でスーパーヘヴィにクライマックスを迎えると、4人は新曲「キスミー」を手渡した。ストリングスを軸に置いた壮大かつポップなバンドサウンド。初めて聴くのに、まるで前からそこにあったようなエバーグリーン感。《信じるものが 信じられるものが ひとつありゃ世界が違う》というフレーズが心の奥へと染み込んでいく。本当に最高のクリスマスプレゼントだったなぁ。そしてラストはやっぱり「女々しくて」。振りも、フォーメーションも、カメラワークもばっちりキメたら、喜矢武、猛ダッシで照明のブレイカーを落として、なぜか自転車を漕いで発電。スクリーンにじわじわ浮かび上がるクリスマスリース。欲していたクリスマス感はこれだったのね!と誰もが納得したところで、リース中央に現れた文字は「メリークリ●リス」。これも滑舌の悪さ故か、残念!
エンドロールは、オープニングや無限列車のメイキングを挟みつつ、満員の観客と盛り上がる過去のライブ映像で構成されていて。生のライブへの熱い想いが伝わってきた。そしてエンディングテーマとして流れた新曲「夜明けの待人」の、《もういくつ眠れば会えるだろう 夜明けは近いようだ おいしいものを食べて眠ろう》は逸る気持ちを精一杯抑えて交わす、再会の約束だった。まずは2021年2月17日、ニューシングル「キスミー c/w夜明けの待人」が届く。
取材・文=山本祥子

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