浦島坂田船「さらに高い壁だって乗り
越えていきます!」 喜び、寂しさ、
期待ーー全ての思いをパフォーマンス
に乗せて届けた『RAINBOW』購入者限
定配信ライブをレポート

浦島坂田船!Live&Live〜RAINBOW〜

2020.12.26
うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人からなる男性ボーカルユニット・浦島坂田船が、12月26日と27日の2日間に渡って初の無観客配信ライブを開催。『浦島坂田船!Live&Live~RAINBOW~』と題し、最新アルバム『RAINBOW』購入者限定公演となった1日目は、実り豊かな『RAINBOW』の楽曲たちを軸にした構成で、浦島坂田船の尽きない挑戦心、さらなる可能性がはっきりと示されることとなった。
遊び心あるオープニングムービーがあけると、大きなステージの下からせり上がってきた4人の姿が! 1曲目は、スタイリッシュなダンスナンバー「YELLOW FINEST」だ。<キミに決めたぜ> <さぁ、コッチおいで>というフレーズはじめ、4人の色気がいきなりダダ漏れで、crew(浦島坂田船ファンの呼称)は早速撃ち抜かれてしまったはず。4人の息がぴったりのダンスパートもクールにきまって、久々にステージでパフォーマンスする彼らの姿は“FINEST=最高級”だ。
浦島坂田船
浦島坂田船
ダンサーも加わった「青く塗り替えろ!」では、挑発的な中に個々の“らしさ”もにじませていきながら、うらたぬきととなりの坂田。、志麻とセンラがそれぞれ隣り合って目線を交わす姿、吐息混じりの歌声にドキっとさせられる。作品を重ねるごとに進化を遂げている彼らだが、冒頭2曲の流れで、またもや彼らが新たな表現を手にしたことを知ると同時に、数か月のブランクを感じさせないどころか、どんな状況であれ歌もダンスもたゆむことなく磨き続ける彼らに圧倒された。
ダンサーと一緒にわちゃわちゃ動いたり、カメラに笑顔を向けたりと4人がハジける「最強Drive!!」は、まさに“最強”の応援ソング。<いつでも心だけは一緒にいるよ>というフレーズが、離れ離れな今だからこそ、よりいっそう胸に響く。
うらたぬき
志麻
「コメントでいいからみんなの声どんどん聴かせてくれ!」ととなりの坂田。が呼びかけ、4人でスリリングに歌をかけ合った「レッドホットクレイジーナイト」。アンバーなライトの下、ていねいに歌声をつないでいった「ココ マドモアゼル」では、“君”にcrewを重ねて歌っているのかなと思うと、グっときてしまう。
そうしたグループとしてひとつになったときの圧倒的な爆発力はもちろん、ソロ曲やユニット曲もまた、浦島坂田船の強み。しなやかなステップと澄んだ歌声で、ダンスチューン「GET UP」を爽やかに染めたうらたぬき。ドラマティックで骨太な和ロック「紫雲の翼」で、エモーショナルな歌声を響かせた志麻。陰りを帯びたロックチューン「迷図」を、荒ぶる歌声で力強く貫いたとなりの坂田。。オシャレでダンサブルな「Sweet Magic」で、甘い歌声と目線の虜にしたセンラ。それぞれの個の色が強く鮮やかだから、浦島坂田船は面白い。
うらたぬき、となりの坂田。
「おまえらの魂、この会場に届けてくれ!」とうらたぬきが、「いくぜ!」ととなりの坂田。が煽ったのは、ユニット曲「VS」。向き合ってラップをしたり、肩を組んで歌ったり、“裏道坂道”のハモりも完璧だ。いっぽうの志麻とセンラが歌ったのは、ユニット曲「ファイティンサマーカーニバル」。真冬に思いきり夏を感じさせながら、2人で一緒に虹をかけるポーズをしたり、カメラに接近したり、楽しそうに跳ねたり。信頼感でしっかりと結ばれた2組それぞれの化学反応に、crewのテンションも高まりっぱなしだろう。
センラ、志麻
コロナ禍にあってわずか2公演で中止せざるを得なかった春ツアー『浦島坂田船 Spring Tour 2020 ―花(HANA)―』用に撮影した幕間用映像では、メンバーが段ボールで作り上げた浦島坂田船ハウスが台風級の強風に耐えられるかを検証。無茶な企画にも相変わらず体当たりで臨む4人、垣間見える仲がよすぎる様子も微笑ましい。
かと思うと、シャッフルナンバー「ポーカーフェイク」を挑発的な笑みを浮かべながら歌う4人。ダンサーとのダイナミックなフォーメーションダンス、艶っぽい歌声で魅せる「微笑、香り、君と僕を繋ぐ」にしても。誰かひとりなんて選べない!と惑わせる「Peacock Epoch」にしても。振付も歌い方も大人すぎて、4人が新たな表現の扉を開けてしまった「ホエールホール」にしても。賑やかトークやとんでも企画で見せる素顔とのギャップに萌えて、ますます彼らの魅力にはまってしまう。
再びのMCではすっかり忘れていた恒例の自己紹介をして、春ツアーのメインテーマ「花や、花」へ。華やかな風情、息もつかせぬ展開は、大きなステージによく似合う。いろいろなものが失われた1年だったが、柔らかな笑顔と歌声で包んでくれた4人に救われたような気がした一曲だった。
となりの坂田。
センラ
crewのかけ声を確かに感じながら歌った「Shouter」のあと、静かにマイクを手に取った4人。
センラ「無観客ライブは初めての試みでしたけど、思いの外楽しめました。でも、直接またみんなに会いたいです!」
となりの坂田。「久々のライブだから、準備から楽しかった。無観客ライブをしてみて、よりいっそうみなさんが恋しくなりました」
志麻「今年で7周年。初めてツアーやイベントができなかったり、アルバムリリースが延期したり、壁にぶち当たりました。でも、みなさんやスタッフさんに支えられて、こうして今ステージに立てています。来年も、さらに高い壁だって乗り越えていきます!」
うらたぬき「お客さんがいない中歌うのは、しんどいかなと思ったけど、やってみたら楽しいが勝ったし、みんながたくさんコメントしてくれていて、つながっているんだな、って感じます。来年は有観客でまたライブをしたいと思っているので。そのときは、みなさん来てください!」
久々にステージに立てた喜びと、そこにcrewがいない寂しさと、きっとまたみんなで一緒に!という期待と。それぞれの想いを言葉にした上で、ラストナンバーは「RAINBOW」だ。ダンサーに担がれて笑顔を見せたり、時折しっかりとアイコンタクトしたりしながら、<どんなときも希望を示すんだ>と真っ直ぐに歌う4人。彼らはやはり、ステージでよりいっそう輝く。あらためてそう思った。長引くコロナ禍に、希望のアーチ=“RAINBOW”をかけてくれた浦島坂田船である。

文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)、岡本麻衣
※「Shouter」の「e」はウムラウト付きが正式表記

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