平井 堅、2020年最初で最後のライブ
実施『Ken's Bar』自身初の配信ライ
ブで開催

年末恒例、平井 堅のアコースティック編成によるコンセプトライブ『Ken’ s Bar』が、クリスマスを目前に控えた12月23日に配信された。
平井堅
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無観客オンラインライブでの開催となったわけだが、これは、平井 堅のキャリアにおいて初となる試みであったと同時に、昨年12月24日に上海で行われた『Ken’ s Bar』以来となる2020年最初の、そして唯一となるパフォーマンス披露でもあった。
会場のフロアにはいつもの『Ken’ s Bar』のようにテーブルと椅子が並べられ、しかしそこに観客の姿はなく、フロア中央には、誰もいないテーブルと椅子に囲まれるように小さなサブステージが設置されている。
場内に現れた平井 堅はまずそこへ向かい、するとさっそく、『Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken’ s Bar -ON LINE-』の開店を告げる『君の好きなとこ』のイントロが響き始めた。ほのぼのとしたラブソングと、平井 堅の甘い歌声がクリスマスのロマンティックなムードを徐々に生み出し、続く「桔梗が丘」では家族の大切さを情感込めて歌い上げた。
おそらく、このオープニングの2曲はコロナ禍のクリスマスを意識して選曲されたものではないだろうか。
平井堅
そして、サブステージからメインステージへ移動すると、「『Ken’ s Bar』へようこそ。みなさん、お元気でしょうか。こんばんは、平井 堅です」と挨拶。
ただし、慣れない無観客だからか、平井 堅の表情はどこか寂しそうではある。そこで、景気づけというわけではないだろうが、「大変なご時世ですけれども、せっかくクリスマスイブイブに、こうしてみなさんとともに時間を共有できていることを体感するために」ということで、普段の『Ken’ s Bar』ではすることがない乾杯を提案。
ステージ上にあるバーカウンターでバーテンダーからグラスを受け取った平井 堅は、「準備は良いでしょうか。今日はクリスマスイブイブ、12月23日ということで……メリークリスマスイブイブ!」と、左手で持ったワイングラスをカメラに向けて差し出した。
乾杯のあとの3曲目は『楽園』。
ここで、平井 堅の頭上でなにかが動き始めた。これは、ワイヤーで吊るしたいくつものLEDライトを連動させることで、光を立体的に見せる「ワイヤードット照明」と呼ばれる装置。間奏部分では降下したLEDライトが平井 堅を取り囲み、それはまるで、無数の宝石の光が平井 堅を淡く照らしているようだった。
この「ワイヤードット照明」は以降も再三にわたって幻想的な空間を作り上げ、視覚的にも楽しいオンラインライブを演出。
今回の『Ken's Bar』におけるハイライトのひとつとなった。
平井堅
続いては、恋愛絶頂期の恋人同士を歌った「hug」。このタイトルを日本語に訳すと“抱擁”となるが、これもコロナ禍を意識した選曲だったのかもしれない。
と同時に、ライブで披露されることが滅多にないレア曲であるため、マニアにとっては嬉しい選曲であり、それは直後の「UPSET」も然り。2008年発表の「FAIKIN’ POP」収録曲で、このアルバムを携えたツアー以来となる12年ぶりの披露だった。そんなレア曲を連発したあとは、真逆の2曲。
ヒット曲でありライブの定番曲でもあるバラードの「even if」と「LIFE is...」を熱唱すると、2部構成となる『Ken’ s Bar』の1st STAGEは終了となった。
その1st STAGEのラスト2曲同様、ヒット曲でありライブの定番曲でもあるバラードの「思いがかさなるその前に・・・」と「魔法って言っていいかな?」を立て続けに披露して2nd STAGEはスタート。
平井堅
ここまでの9曲、すべてが平井 堅のオリジナル曲だったが、このあと、『Ken’ s Bar』のお楽しみであるカバー曲がついに登場した。
今年デビューしたグローバル・ガールズグループ、NiziUの「Make you happy」だった。
ウッドベースだけをバックに歌うという原曲とは似ても似つかない大胆なアレンジに驚かされたが、終盤の英語と日本語のスリリングなラップを見事にキメたことにも驚かされた。クールなカバーだった。そして、スリリングな平井 堅の歌はまだ続く。
今年3月に配信シングルとしてリリースされた「怪物さんfeat.あいみょん」だ。もちろんライブ初披露。
今回は平井 堅の独唱バージョンだったわけだが、あいみょんとの掛け合いになる原曲のサビ部分のスリリングさをまったく壊すことなく、ひとりでキメた平井 堅の歌唱力、表現力、集中力はじつに見事であったし、感動的でもあった。
感動的なパフォーマンスはさらに続く。この日、披露されたもう1曲のカバー、財津和夫の「切手のないおくりもの」だ。
これは平井 堅のアカペラで始まったのだが、その部分の歌詞は“私からあなたへ この歌を届けよう”である。
平井堅
平井 堅の2020年は、デビュー25周年記念プロジェクトとして地元・三重県でのスペシャルライブや全国各地を廻るツアーを予定していたが、それらを発表することなく中止にせざるをえなかった無念の年となってしまった。
加えて、テレビを始めとするメディアへの露出もいっさいなかったため、ファンにとってももどかしい1年となってしまったわけだが、その年の終わりに平井 堅はオンラインライブを開催し、“私からあなたへ この歌を届けよう”と歌ったのである。
そして、ドローンで捉えた映像も絶妙に交えた「POP STAR」では、“君をもっと夢中にさせてあげるからね”と歌った。
なんともうれしい、ありがたいメッセージではないか。
平井 堅は最後にMCでこう言った。
「喜びのままに仲間たちと肩を叩きあって喜んだり、好きな人と握手したりハグしたり、もっと好きな人とはキスをしたり、おじいちゃんやおばあちゃんが大好きなお孫さんと会える日が一日でも早く来ることを願っています」。さらに、「なかなか明るい出口を見つけづらい日々だとは思うんですけど、必ず夜は明けますので、ぜひ生きていてほしいと思います。
ぼく自身も毎日毎日、一所懸命に生きて、また笑顔でみなさんにお会いできることを願っています」と言うと、ラストナンバー「ノンフィクション」をエモーショナルに歌い上げることで、あらためて生の尊さを強く訴えかけた。
平井堅
平井 堅の2020年唯一のライブ『Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken’ s Bar -ON LINE-』は、クリスマスらしいロマンティックなムードもありつつ、今という時代、社会を反映したシリアスな内容でもあったが、観る者に希望を感じさせるライブでもあった。
さて、2021年の平井 堅はどんな歌を、どんなメッセージをファンに、今の日本に届けてくれるのだろうか。
※アーカイブは12月27日(日)23:59まで。

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