『文豪ストレイドッグス大博覧会』鑑
賞レポート 武装探偵社の再現空間や
朝霧カフカ厳選の原作複製原稿も!

2020年12月18日(金)から12月27日(日)まで、東京・池袋のサンシャインシティ ワールドインポートマートビル4Fで、『文豪ストレイドッグス大博覧会』が開催されている。『文豪ストレイドッグス』は原作・朝霧カフカ、漫画・春河35による漫画であり、2012年より『ヤングエース』にて連載がスタート。キャラクター化した文豪たちが異能力を使って戦うバトルアクションだ。本作はTVアニメや劇場版アニメ、舞台や小説などの複数メディアで展開され、広く人気を博している。本博覧会は漫画だけではなく、それら複数メディアのコンテンツも扱っており、実に見どころ盛りたくさんの展示内容だ。
会場エントランス。文字がふんだんに含まれたデザインが目をひく。
武装探偵社やバー「ルパン」、舞台で使用された衣装が目の前に
文ストの世界を三次元で味わえる空間
スタイリッシュなエントランスの先には、「武装探偵社」と書かれた扉がある。そこを抜けると、主人公・中島敦が勤める武装探偵社内部の再現空間が……。まるで依頼人になったかのような気分を味わえる。
武装探偵社の再現空間
再現された空間はここだけでなく、アニメ第2シーズンに登場したバー「ルパン」も。洒脱な看板を出した店の奥にはずらりと酒瓶が並び、カウンターにはグラスと写真が置かれていて、まるでさっきまでキャラクターたちが滞在していたかのようだ。
バー「ルパン」の再現空間。看板もレトロで目をひく。
バー「ルパン」の再現空間。太宰たちの注文した飲み物を想像するのも楽しい。

バー「ルパン」の再現空間のカウンター

本博覧会では、舞台化された時に実際に使われた衣装を見ることができる。中島敦の特徴的なロングベルト、太宰治の砂色のコート、芥川龍之介のゴシックな雰囲気の黒いロングコートなどは原作そのままの雰囲気だ。会場にはポスターや映像もあり、上演時の空気を感じてテンションが上がる。
実際に使用された舞台衣装
舞台ポスター
アニメや映画の複製原画がもりだくさん
作者が厳選した原作複製原稿も
アニメ第2シーズンの展示コーナーや、映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』の展示コーナーではたくさんの複製原画を閲覧することが可能だ。登場人物たちの数々のセリフと豊かな表情、熱いアクションシーンは非常に見ごたえがある。
アニメ第2シーズン展示風景
アニメ第2シーズン展示風景。複製原画をたっぷり見られる。
映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』展示風景
また原作複製原稿展示のコーナーでは、朝霧カフカが厳選した作中の名場面やセリフが展示されている。ここでは迫力あるバトルシーンや作中で鍵となる重要なシーンがあり、朝霧カフカのキャラに対するコメントを見ていると、キャラクターの陰影や厚みが本作の重要な要素のひとつなのだと実感するだろう。主人公や仲間たちはもちろん、悪役にもその性格になるに至った過去があり、感情移入したくなるのだ。
原作複製原稿展示風景
原作複製原稿展示風景。中原中也の必殺技「汚濁」の発動シーン。
朝霧カフカ、春河35のデスクの再現も
ここでしか見られない嬉しい展示
本博覧会には、ここでしか見られないコンテンツがふんだんにある。例えば武装探偵社の再現空間の壁に貼られている「報告書」は会場オリジナルのもので、各事件の詳細とともに、中島敦や先輩たちのユーモアあふれる感想などを読んで楽しむことができる。
武装探偵社の壁面に貼られた報告書。依頼者や依頼内容などが記載されている。
また、アニメ第3シーズンの展示空間の壁面に貼られた太宰治や中原中也の行動報告書も本博覧会用のもの。機密情報扱いの本書は能力・行動などが一覧で記載され、番号が壁面の場面カットとリンクしているので、是非チェックしてほしい。
アニメ第3シーズン展示風景
アニメ第3シーズン展示風景。情報資料は機密書類扱いでリアル。
朝霧カフカや春河35のデスクを再現した空間もあり、朝霧カフカのデスクは複数の本が置かれ、文ストがたくさんの知識・情報・時間によって生み出されたであろうことが実感できる。春河35のデスクはモニターやキーボード、スマートフォンなど各種のデバイスで埋め尽くされており、文ストの躍動感あふれる世界がこの小さなデスクの上で創作されているのだと思うと感慨深い。春河35のデスクの上の壁面にあるイラストは繊細かつ流麗で、各種キャラへの深い愛情を感じさせる。こうした作者の息遣いが感じられる展示は、会場でしか見られないもので、ファンにはたまらないだろう。
朝霧カフカのデスク再現
春河35のデスク再現
他にも芥川龍之介の異能「羅生門」を繰り出したかのように写真が撮れるフォトスポットや、中島敦が自分の過去と対峙した「記憶の扉」のフォトスポット、春河35の描き下ろしイラストのフォトスポットや、キャラクターの季節ごとのイラストなど、会場に足を運ぶことで盛り上がれる要素がたくさんある。中島敦、太宰治、国木田独歩による限定ボイスドラマガイド(1回:税込900円)をレンタルして鑑賞すると、探偵社のメンバーがエスコートしてくれている感覚を味わうことができるだろう。
芥川龍之介の必殺技「羅生門」フォトスポット
中島敦の記憶の扉のフォトスポット
本博覧会は、原稿用紙を模した壁面、探偵団らしい緻密な資料での説明、ロゴや文字フォントの硬質な雰囲気を活かしたスタイリッシュなデザインなど、展示方法にも工夫が凝らされている。武装探偵社やバーなどの再現空間や、複製原画が展示された空間などは、ブースごとに楽しめる要素が異なっていてめりはりがあり、観る側が作品世界を体感することと、物語をより深く掘り下げることがどちらも可能だ。物販が充実しているのも魅力のひとつ。見どころたっぷりの本博覧会、是非会場に足を運び、文ストの世界に浸っていただきたい。
充実の物販コーナー
会場を出た場所にある最後のフォトスポット
『文豪ストレイドッグス大博覧会』は2020年12月18日(金)から12月27日(日)まで、東京・池袋のサンシャインシティ ワールドインポートマートビル4Fで開催中。その後、2021年1月20日(水)から2月1日(月)まで、大阪・あべのハルカス近鉄本店ウイング館4階第2催会場へ巡回予定。
文・写真=中野昭子

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