ペンギンラッシュ、数度の延期を経て
開催された悲願のワンマンライブ『i
n motion』公式レポート&セットリス
トプレイリストも公開

名古屋発の男女4人組バンド、ペンギンラッシュが12月13日に名古屋Electric Lady Land名古屋で開催したワンマンライブ『in motion』のオフィシャルレポートが到着した。

圧倒的スキルと予測のできない曲展開で大人な四重奏を奏でる名古屋発の男女4人組バンド、ペンギンラッシュ。9月2日にメジャーデビューアルバム『皆空色』₍読み:カイクウシキ₎をリリースした彼女たちのワンマンライブ『in motion』が12月11日代官山SPACE ODDにて、12月13日に名古屋Electric Lady Landにて開催された。
2020年2月に自主企画イベントとして開催を予定していた公演が、新型コロナウイルスの影響で中止に。8月にワンマンライブとして復活させる予定だったが、その公演も延期となった。当初の予定からおよそ1年越しに開催された悲願のワンマンライブ。ガイドラインを遵守し有観客で開催された名古屋公演のライブの模様をレポートする。
ペンギンラッシュ 撮影=郡元菜摘
開演時間になり、美しいピアノのメロディのSEがゆっくりと静かにライブハウスの中に響く。徐々に大きくなっていくSEとともに、Dr.Nariken、Bass.浩太郎、Key.真結がステージに入場。照明が暗くなり、Key.真結だけにスポットライトがあたると、SEに重ねるように同じメロディが鍵盤上で奏でられていく。音源ではない「生」の音が立体的に、圧倒的な現実感をもって耳に届く。
ドラムのタムの音を合図に1曲目がスタート。「本音」のイントロが聴こえてくるとともにVo.望世がステージに入場。センターマイクの前に立ち、女性の“本音”を荒々しく描いた1曲を色っぽく歌いあげる。最後のアウトロでは全員がぴったりと息の合ったユニゾンで同じメロディをなぞり、待望の公演『in motion』が幕を開けた。
「お久しぶりです、ペンギンラッシュです。一年越しのin motion。2020年のすべての負の感情をこの曲に込めたいと思います。」と話し始まったのは「悪の花」。腹の底に響くようなドラムとベース、叩くように奏でられる鍵盤と力強い歌詞。バンド全体から発される怒りとも呼べる強い感情が客席にむき出しで伝わる。2020年という特殊な年に誰もが感じていたであろう行き場のない不安や苦しみを、この曲のもつ怒りや反骨精神が一挙に昇華してくれるようだった。客席の熱量も静かだが確かに上がっていく。
ペンギンラッシュ 撮影=郡元菜摘
「あいだ」「月草」と演奏されたあと、ボーカルの望世がギターを手に持つと、真っ暗な会場の中彼女のシルエットがステージ上に浮かび上がる。そして、静かに歌い始めた「奈落」がしっとりと会場を包む。続く「街子」では、ベースが空間を切り裂くようにイントロを刻み、ギター、キーボードとともに遊ぶように旋律を奏でる。次々と繰り出されるプレイにオーディエンスも自然と身体を揺らし、声援が無くとも会場全体が一体となって音楽のもつエネルギーを感じていた。
サンプリング音源を使用したドラムと不協和音を奏でる鍵盤の単音が不穏な空気を醸し出した「高鳴り」、シンセベースの音と広がるコーラスがゆっくりと響き、静かで澄んでいるがどこか切ない夜を感じさせる「冴えない夜に」などアルバム曲を披露し、サウンドの豊かさに会場はうっとりと聞き惚れていた。
その後のMCでVo.望世は、もともとライブを企画していた段階から、中止、内容変更、延期を繰り返し、実現するまで1年経ってしまったことを悔しそうに語る。そして、「こうして開催できて、皆さんに直接お会いできてうれしく思います。ありがとうございます!」と告げると会場はあたたかい拍手に包まれた。「本当に今幸せです、ありがとうございます。」「「アルバム『皆空色』今日は全部やっちゃいます!後半戦もどうか楽しんでください。」と会場に告げ、後半戦がスタート。
「woke」「淵」とアルバム収録曲を立て続けに披露。クラブの光景を描いたダンスナンバー「turntable」では「一緒に踊りましょう!」という望世の呼びかけにあわせ会場全体が身体を揺らす。メンバーも演奏しながら向き合い、笑顔を見せた。
ペンギンラッシュ 撮影=郡元菜摘
ライブ終盤望世は、「終わりたくないなと思って歌っていました。いやぁ…幸せですね。」としみじみと有観客でライブをできることの嬉しさを語った。「何が大切か何を信じていくべきか実感した一年でした。やっぱり自分を大事にしてほしいと思っています。」とこの1年を振り返る。「またお会いできたらなと思います、ありがとうございます。ペンギンラッシュでした!」というMCのあとは「色彩」。
理想を追いかけてきたがゆえの“多忙”が自分の心から目を背けるものになってしまうこと。そんな歌詞にはまさに「自分を大事にしてほしい」という思いが込められているようだった。曲の後半「今私が生きる音がする」という歌詞と力強い演奏で、会場の盛り上がりもピークに。盛り上がりそのまま曲を演奏しきると、会場は大きな拍手に包まれた。
ペンギンラッシュ 撮影=郡元菜摘
鳴りやまない拍手が、パン、パン、と一定のリズムを刻むアンコールの手拍子に変わるとしばらくしてメンバーがステージ上に再登場。
9月にメジャーデビューアルバムをリリースしたこと、「リリースしてこんな世の中でどうしたらいいんだろう」と思ったことを語り、2020年という年に「二〇二〇」という曲を生のライブでやれたのはたった3回だったと振り返った。「こうして来てくださってありがとうございます。」と数度目の感謝を観客に伝えると客席からはまたもあたたかい拍手が。
続けて、ビクタースピードスターレコーズからメジャーデビューすることができた嬉しさを語り、「本当にありがとうございました! また必ず次お会いしましょう!」と会場に元気よく告げる。アンコールではバンドで初めて作ったという曲「ルサンチマン」、そして1st Album収録曲の「ユイメク」の2曲を披露。バンド結成当初からメジャーデビューまでの軌跡を見届けるような楽曲群で、観客を魅了し、ライブは幕を閉じた。
なお、今回のライブのセットリストをプレイリストにしたものが各ストリーミングサービスにて公開中。ライブに足を運ぶことができた方も、そうでなかった方もステージを思い浮かべながら聴いていただきたい。

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