【INNOSENT in FORMAL
インタビュー】
カートゥーンバンドならではのものを
表現しようと思っていた
2018年に彗星のごとく現れ、唯一無二のミクスチャーロックを鳴らしてきたカートゥーンバンドのINNOSENT in FORMALがいよいよデビュー! メジャー1stミニアルバム『INNOSENT 2~How to spend the night~』について、ぽおるすみす(Vo)に語ってもらった。
“これが一番ヤバいでしょ”って
今までずっと作ってきた
多くのバンドにとって大変な年になった2020年。もちろんINNOSENT in FORMAL(以下、イノセン)も例外ではなかったと思うのですが、どんなふうに過ごしていましたか?
意外といつもと変わらなかったという印象があります。ライヴは少なくなりましたけど、音楽を含め、自分がやりたいことはできていたんですよ。もともと家にいるのが好きなので、家にいても窮屈さはそんなに感じなくて。
そんな中で今回のミニアルバムの制作を進めていったわけですよね?
そうです。しかも、「after song」「思うまま」でED主題歌と「No.1」でティザーPV曲をやらせてもらったTVアニメ『池袋ウエストゲートパーク』の放送が新型コロナウイルスの影響で後ろ倒しになって、それに併せて僕らのミニアルバムの締め切りも後ろにずれたので、結果的に制作期間が延びたんですよ。そこは嬉しかったです(笑)。新たに曲ができて、“こっちのほうがいいじゃん”ってことになって新しいものをミニアルバムに入れたこともそうなんですけど、時間に追われることなくじっくりと一曲一曲作れました。
じゃあ、バンド活動に取り組むにあたっては落ち込むこともなく?
でも、ライヴが減ったので。ライヴって不特定多数の人と出会うきっかけになるじゃないですか。全然違うバンドを観に来たのに、たまたま僕らのステージを観て気に入ってくれる、そういう思いがけない出会いが減ったから、歯痒い気持ちはありましたね。
今回のメジャーデビューをきっかけに思いがけない出会いを増やしていけたらいいですね。「No.1」の《絵に描いた 世界 を燃やして 次の章へ》という歌詞は、改めての所信表明にも思えますが、メジャーデビューする意気込みを聞かせてください。
メンバー全員の目標として、ずっと上がりたい階段だったんですよ。それが叶ったことについては、バンドとしてひとつの結果を出せて良かったと思っています。きっと発信する力が強くなると思うんですよ。そこで生まれる新たな出会いが楽しみなのはありつつ、“メジャーデビューしたからどうすんの?”という気持ちのほうが強くて、まだ自分がメジャーレーベルの所属アーティストということに対してピンとは来ていない(苦笑)。そもそもインディーとかメジャーとか、そんなに気にして音楽をやってきてないんですよ。だから、逆にそこを気にしたら自分がどういう感じになるのかは、今後育てていきたい感覚というか、そこを改めて考え直した時、自分の作品が変わるのか変わらないのか、環境が変わることが作る音楽にどう影響するのか、そこはいろいろ試していきたいことがたくさんありますね。今回のミニアルバムもそこの影響がかなり出た作品なんじゃないかと思うんですけど。
影響はどんなふうに出たのですか?
告井孝通さんと初めて組んで、トータルプロデュースをお願いしたんです。とあるイベントのオーディションみたいなライヴに僕らを観に来てくれて、メジャーに上がることが決まる前から“一緒にやりましょう”って話はしていて。今回のミニアルバムはほとんど告井さんの家の地下にあるスタジオで録ったので、すごくリラックスしてできました(笑)。そこに入り浸って作った曲も何曲かあるんですけど…主にアレンジですね。アレンジに時間をかけることができたのが良かったです。
おっしゃったようにタイアップも含め、発信する力が強くなると思うのですが、これから新たに出会う人たちを、どうイノセンのファンにするかというところで、これまで以上に強力な曲を作らなきゃいけないという意識もあったのではないかと思うのですが。
“これまで以上に”と言われると、そんなに変わらないのかな?(笑) “これが一番ヤバいでしょ”って、今までもずっと思いながら作ってきたので。そういう意味では、結構食らうものがありましたね(苦笑)。“まだ俺たちの音楽は、これくらいの評価しかされないのか…。はぁ〜(ため息)”って。
でも、僕は今回のミニアルバムを聴いて、前よりもカッコ良いと思いましたよ。
そういうふうに言ってもらえるのは嬉しいです。やっぱり、毎回アップデートはしていきたいと思っているので、それはちゃんとできたんじゃないかと思ってます。
「Junkie’s never enough」をミニアルバムに先駆け、早々に配信リリースしたところにバンドの自信を感じました。
いや、単に曲ができた順です(笑)。すごく前からあった曲なんですけど、ベースのKuniくんが入った時ぐらいからやらなくなったんですよ。でも、僕はカッコ良い曲だとずっと思っていたので、“やりたいんだけど”ってメンバーに言ったら“いいよ”って言ってくれて、そのタイミングで告井さんがかかわってくれることになったので一緒に作り直したんです。
もともと横ノリのファンキーなリズムの曲だったのですか?
横ノリのグルーブはバンドにとって新しいんじゃないかと思ったんですよ。
告井さんのアドバイスが大きいですね。横ノリの曲は好きなんですけど、苦手なのであんまりやってこなかったんですよ。でも、やってみたら“あっ、こっちのほうがカッコ良い!”ってなりました。
あと、『池袋ウエストゲートパーク』に3曲使われたのは大きなチャンスだったと思うのですが、3曲を通してメロウなラップナンバーからポストパンクなロックナンバーまで、イノセンが持つ幅広さが表現できたのでは?
僕もそう思います(笑)。実は最初から3曲ってことではなかったんですよ。一曲だけ送るよりもテイストが違う3曲を送って“好きな曲を使ってください”ってやったほうが、先方も選びやすいんじゃないかと思って。僕はアニメが好きでよく観るんですけど、主題歌が何曲かあるほうが観てる側も“こっちの曲が好きだ”とか“いや、俺はこっちの曲だ”って盛り上がるじゃないですか。僕が好きだった『サムライチャンプルー』もエンディングテーマが確か5曲あるんです。そんなふうに僕らの曲も使ってもらえたらという想いも込めて3曲送ったら、全曲使ってもらえたっていう。