【vistlip インタビュー】
よく自分たちのこと考え、
見つめ直して
ベストアルバムを出そうと思った

単純に“今の理想でやらせてほしい”という想いからですね。もちろん全曲そうなんですけど、“中でも”というものを選ばせていただいたというか。

当時は手探りでやってて分からなかったけど、今は“こうすれば良かったんだ”と見えているものとか、“今だったらこうできるのに”みたいな曲を再ミックスしました。あと、初期の頃はいろいろなエンジニアさんに頼んでいたけど、今はずっと同じ人にやってもらっていて。

振り返るといい思い出なんですが、初期はエンジニアさんと噛み合わなかった瞬間も結構あったので、それを“今の状況と環境でやらせてもらえたらどうなるのかな？”というのも選びました。

がっつり変わっている曲もありますし、ギターも打ち込みもドラムも直しているものありますし、単純にギターだけ差し替えたものとかもあります。さっき海が言っていた「FIVE BARKIN ANIMALS」なんかは、かなり違ってますね。

シンセだけ変わっているものもあるし、音色だけ変わっているものもあるしね。ギターはふたりとも家でなんとか録れるので、「EDY」はギター2本と歌をしっかり録り直して。あと、ドラムは今の音で再現できる状態になっていたから、今の音に限りなく近い状態にしてもらって、ベースはもとのものを今の音に近くなるようにしてもらいました。

歌に関しては当時のものをごっそり持ち出してきて、そこからやり直してもらったというか。それを録った当時のエンジニアさんがやるわけではないので、本当に大変でした。

完全に歌い直しをしたのは「EDY」だけで、ギターがふたりとも弾き直したのは「EDY」と「LIFE」で、僕だけ弾いたのが「TWISTER」と「alo〔n〕e」ですね。だから、僕のギターだけ変わっていて…当時の自分の拙さというか、ちょっととんでもないことをしていた（苦笑）。レコーディングの仕組みとかを試行錯誤している途中ではあったんですけど、それが当時の自分の限界だったというか…納得がいってなかったので。でも、一番変わったのは「LIFE」だよね。

うん。当時はあれが限界だった。でも、それから10年も経過すれば、周りの環境も進化するし、自分の技術も耳も進化してるから、今回直せる機会があったので直しました。

“「LIFE」はやる！”と言っていたよね。

でも、歌に関しては当時のまま残さなきゃいけないとは思っていて。あの頃の声はもう出ないですからね。年齢的なこともあるし、歌い方も変わったし。だから、どうしてもいじりたくない気持ちがありましたね。

セルフカバーじゃないからね。

そう！　そうするとまたベストと違うものになっちゃうというか、そういう作品になっちゃうから。

だから、認識としては“希望としてヴォーカルはそんなに触らないで、楽器ならいい音になってもいいんじゃない？”という感じでした。

“MEMENTO ICE ver.”と書いてあったりはするんですけど、基本的には音質をブラッシュアップしたものプラス…僕は「EDY」と「LIFE」だけですけど、ライヴでやってきて弾いているフレーズとかもちょっと変わってきたりするので、もとのかたちを崩さずに、そのまま今やっているフレーズを弾いている感じです。

今まで出してきた中で、“Re:birth”と名づけているものは再構築した再録音源だったんですけど、今回のはそういうことです。