T.MORIYAMMER

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【T.MORIYAMMER インタビュー】
“あぁ、やっぱりロックいいな”って
再確認して、それが自然に出せた

いいメロディーじゃないと
突き刺さらないよね

森山さんのパーソナリティーが出るソロアルバムであればこそ、余計にフィットした感じなんでしょうね。で、その辺りから、『ROLLIN' OVER』をさらに深掘りしたいのですが、今ほどおっしゃられた通り、今作は森山さんの原点回帰という部分があると思うんですけれども、とにかく収録曲のメロディーはものすごく分かりやすいものばかりですよね。 これは森山さんのルーツ音楽よりもさらに以前の原初的な音楽体験から導き出されたのではないかと想像してしまったんですが。

あんまり凝ったことは考えなかったし、THE MODSだったらエレキでドーン!と行って、そこでドラムがどうこうとかのバンドでアレンジがいろいろとやれて、手替え品替えして、それによってメロディーが変わっていくことがあるんだけど、今回はまずアコギを持って、浩二とふたりで“こんな感じの曲なんだけど”って♪ガシャンガシャン〜とやったものをベースに作っていったから、複雑なメロディーが必要だとは思わなかったよね。とりあえず、いいメロディーを作ろうと。まぁ、いいメロディーと言っても好みはあるだろうけど、“今の俺たちにとっていいメロディーを作るのが一番だよね”というところから出発はしてますね。

1番を一度聴けば、2番はもう歌えるのではないかと思うほどで。タイトルチューン「Rollin' Over」からして…これは言い方が変かもしれませんが、子供でも口ずさめるものでないかと。

あははは。それは俺に対しての誉め言葉として受け取りますよ(笑)。

「ロードムービーに魅せられて」辺りもそうですし、とにかくメロが分かりやすい。森山さんがこれまでTHE MODSで作られてきた曲も決して分かりにくいものはなかったですし、キャッチーなものもたくさんあったと思うんですけど、それらと今回はどこかが違う。それはコードなのか、言葉の乗せ方なのか…

どうだろうね。そこまで“THE MODSがこうだから、ソロはこうで〜”ってのは考えなかったから。ただ、THE MODSの場合はある程度メロディーを作っても、ギターといろいろやるうちにリフが生まれたりして、リフ絡みになってきてメロディーを多少変えたり、リフにメロディーを合わせたり、そういうことがバンドだからあるけど、今回はそれがまったくなかった。ギターリフは後回しでいいという言い方はおかしいけど、リフはないならいないでいいくらいの発想ではあったよね。でも、大きく何かが違うような意識はなかったよ。

本当にご自身の中から出てきたピュアなものであるんですね。

ひとつ思いつくのは、このコロナの自粛期間中にエルヴィス・プレスリーであったり、サム・クックであったり、ロックンロールの父みたいな人たちの音楽をもう一回聴いた時に“ものすごくシンプルだな”と思ったわけ。古いものだけど、俺にとってはそれが新鮮に感じられたというか。“これはカッコ良いな。もう一回こんなのがあっていいよな”ってところは今回のソロにはあったね。プレスリーなんて自分がアマチュアだった時は聴いたけど、プロになってからは年に一回も聴いてないと思う。だけど、自粛期間中にベストアルバムを聴いてみたりして、「Rollin' Over」や「Get Yourself」とかのロカビリーでもヒルビリーでもカントリーでもない古いロックンロールというか、シンプルなメロディー、シンプルなビート、シンプルなリフが生まれたのかなと。それがTHE MODSと違うところかもしれないよね。

今まで確実に影響を受けてきた音楽のより深いところへ入っていったと言いますか、そんなところがありそうですね。

10代でプレスリーを聴いた時と60歳すぎてプレスリーを聴いた時との差はあるよね。今の俺のほうがビビッと来た。今どきね(笑)。

少し話は飛びますが、歌詞にも初期衝動が綴られていますが、その辺も今おっしゃられたプレスリーの話にも関係しているんですね。

THE MODSの時というのは、歌詞を書いていても向こう側に何かファンが見えるんですよ。別にファンを意識して書いているわけじゃないんだけど、ある意味でTHE MODSらしい歌詞を書こうという意識がどこかにあると思うんです。でも、今回はそこをあまり考えなかったというか。“THE MODS”という肩書を取っ払って、シンプルに“森山達也”という奴が弱い部分も全て曝け出したというのはあると思う。THE MODSでは書けない歌詞があるもんね、やっぱり。

そうですか。メロディーに話を戻しますと…これは私の勝手な想像で、語弊があるとは思うんですが、『ROLLIN' OVER』の収録曲の歌メロは唱歌や童謡にも近い印象がありまして。

あははは。

つまり、「Boy Meets Rock'n'Roll(Good Rockin' Days #2)」で綴られているようなロック体験以前にも関係しているのかもと思ったんですね。で、せっかくの機会ですから、今日は森山さんのロック以前の音楽体験をうかがいたいと思っておりました。

えーっとね…俺、小さい頃は音楽に興味なかったの。野球選手になるのが夢で、当時は福岡に西鉄ライオンズというチームがあって、中学校くらいまでは野球ばっかりやってましたね。中学校の3年くらいかな? “野球の才能はないかも”ってことに気づき出して、その頃に音楽も好きになり始めたんですよ。学校の友達にロック好きな奴がいたりして、そいつからレコードを借りたりしてね。で、野球を諦めることになった時に“俺には何があるのかな?”と思ったら、“じゃあ、ロックをやってみよう”という感じで始まったんですよ。それはThe BeatlesやThe Rolling Stonesだったりするんだけど、その前までは音楽に興味がなかった。もちろんテレビで流れている歌番組は普通に観ていたけど、“歌手になろう”とかの気持ちは一切なかったから。

なるほど。ということは、やはり音楽的なルーツは中学生の時に聴いたThe BeatlesやThe Rolling Stonesなどのロックになるんですね。

あとね、日本でグループサウンズというのが流行ってたんですよ。当時、俺が好きだった子がグループサウンズのファンだったわけ。タイガース…ジュリー(沢田研二の愛称)ですよね。俺はまったく興味がなかったんだけど、その子が好きならちょっと聴いてみようかと思って、それでグループサウンズは聴いたね、一応。好きとか嫌いという意識ではなくて、とりあえず聴いた感じ。そこで“楽しそうではあるな”というのは分かったわけ。で、そうこうしているうちにThe Beatlesに出会って、“あっ、これが本物じゃん!”みたいな。

ご両親が聴かれていた音楽…例えば、家でクラシックをよく流していたとか、そういうこともなかったですか?

まったくないです(笑)。クラシックなんて聴いたことがなかった。今も聴かないけどね(苦笑)。

そうしますと、やはり最初に影響を受けたメロディーメーカーはジョン・レノンやポール・マッカートニーとかになると。

そうだね。The BeatlesやThe Rolling Stones…あとは、プロになる心構えとしてはThe Clashであったり、あの辺の影響が大きいよね。

なるほど。今回もそうした影響が素直に出た感じでしょうか?

何も考えず、自分でギターをガンガンと弾いてるうちに出てきたメロディーですよね。

複雑にしなかったところに、メロディーの良さの秘訣があるんでしょうね。そこは理解できた気がします。

何もなければないほど、いいメロディーじゃないと突き刺さらないよね。ただのダメな曲になる。仮にメロディーが悪くてもカッコ良いギターリフがあれば曲は成立するわけ。メロディーうんぬんじゃなくて、“カッコいい曲だ!”ってね。世の中にはそういう曲もいっぱいあるし、バンドだったらそっちを目指す時もあって、カッコ良いリフが生まれたら“歌メロなんてどうでもいいよ”って、俺は思ってしまうのね。でも、アコギ一本で曲を作る時はリフなんてないから、ただのアコギのアンサンブルにいいメロディーをつけて、いい歌詞を書けば、それだけで成立するというか。今回はその意識のほうが強かったよね。

OKMusic編集部

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