クボタカイ 、デビューEP「明星」RE
LEASE TOUR 大阪REVENGE公演、コロナ
禍での「せいかつ」で生まれた音とエ
ネルギー

クボタカイ デビューEP「明星」RELEASE TOUR 大阪REVENGE公演 2020.12.04(FRI)LIVEHOUSE ANIMA
クボタカイがリベンジを果たしにやってきた。それもたくさんの新曲を携えてパワーアップして。その姿をひと目見ようと観客もこの数ヶ月、それぞれの“生活”を過ごしたうえで、音を鳴らすために、浴びるためにライブ会場に集まった。この日のライブは新型コロナウィルスの影響によって中止となってしまった、『「明星」RELEASE TOUR』ファイナル公演の文字通り「リベンジ」となる公演。ただ、リベンジとは言えども会場では新型コロナウィルスの感染防止のため、観客は適度に距離を取り歓声の制限があり、本来開催予定だった2020年3月から状況は一変している。この状況で、以前のように観客を巻き込んでフロアを盛り上げるライブをするのは難しいのでは……、なんて考えていたのだが、いざライブが始まるとそれはまったくの杞憂に過ぎず、むしろ制限があるからこそ会場の熱量がさらに増幅したような凄まじいライブがそこにあった。この数ヶ月ライブが出来なかったクボタカイと、ライブを観られなかった観客が、まさに「リベンジ」を果たすため一体となったアツい一夜をレポートする。
会場である心斎橋ANIMAに到着するとまずは入り口で検温、コロナ追跡システムへの登録、そして消毒用のアルコールが至るところに設置されていた。フロアでも適度な距離を取るための誘導が行われるなど、徹底した感染症対策が実施されていた。

Draw4
オープンからDJがフロアを盛り上げ、会場にはエネルギーが充満し準備万端となった観客の前に登場したのは、この日のサポートアクト・Draw4だ。大阪枚方のサイファーをキッカケに結成されたクルー・HRKTのメンバーである彼は、クボタカイとも縁あるRin音空音、テークエムが参加したアルバム『PARADAISE』を9月にリリースするなど、クボタカイファンにもお馴染みのアーティスト。1曲目から観客は手を挙げ、クボタカイの登場を前に熱量はマックスに。

クボタカイ
そして、いよいよ今回の主役であるクボタカイが、白いシャツにベージュのコートという装いでステージに登場。1曲目は「ベッドタイムキャンディー2号」。イントロが流れた瞬間、客席から静かな歓声が漏れる。ゆったりと客席を揺らし、「声が出せない分、踊ろう」という言葉と共に2曲目に新曲「MIDNIGHT DANCING」を披露。ダンサブルな新曲がフロアを煽っていく。3曲目は「真冬のショウウィンドウ」。この曲では歌詞を間違えてしまうハプニングもあったが、クールさと人間味溢れる可愛さが同居するステージにより引き込まれていく。
MCでは「今日は集まってくれてありがとう。集まってくれた恩返しに今日は新曲をいっぱいやります。初めて披露するので緊張もしているしワクワクもしています」と宣言し、まだ序盤にもかかわらず、発表していない新曲を聴くことができる特別な夜になることを予感させ、前半からライブへの期待値を更に高めていく。
クボタカイ
中盤には今年リリースされた人気曲の「春に微熱」でフロアを揺らし、ここで新曲「Youth love」を投下。続いて2019年の3月にリリースして即完売となったEP「305」に収録されている「平成少女」と、人気曲、定番曲の並びに新曲が組み合わされたセットリストはファンにとってたまらなく嬉しい。
続いてクボタカイが一番最初に作った曲だという「Nakasu night.」を披露し、この日3曲目となる新曲「僕が死んでしまっても」は、先に披露した新曲2曲がアップテンポでダンサブルなビートだったのに対し、今度はギターの音が印象的な、ロック色漂うこれまでとも全く違うムードの楽曲で、音源で聴くことが待ち遠しくなる。
クボタカイ
MCでは「コロナウィルスの影響であまり外に出られなくて、ライブや配信もせずにずっと曲を作ってました。いい曲がいっぱいたまってるのに動けなくて悔しかったです。でもあまりライブが出来なかったのは今となっては良かったなと思っています。パワーアップしたクボタを見せることができるなと思ってます」と語り、今日のライブだけでなく今後の活動にも意欲をみせた。
そしてライブも終盤。「Wakakusa night.」ではみんなが思い思いに踊り、本編ラストはミドルテンポでホーンの音が印象的な「TWICE」。曲の途中で「携帯のライトをみんなつけて。声は出せないけどコールアンドレスポンスをやりたくて。みんなでやりましょう」と話すと、会場にはスマートフォンのライトが揺れ、美しい光景とともに本編は終了した。
アンコールは本日4曲目となる新曲。前日に出演したFM802の番組、DJ土井コマキの『EVENING TAP』にゲスト出演した際に全国初オンエアされた「MENOU」だ。
クボタカイ
約9ヶ月ぶりにリリースされるこのシングルは瑪瑙(メノウ)という宝石をテーマにしたもので、優しくエモさが詰まったリリックをメロウなトラックに乗せて歌うクボタカイの真骨頂ともいえる楽曲だ。ライブの翌週の12月9日(水)にリリースされるこの曲を生でファンが聴けるのはもちろんここが初めて。そしてクボタカイも初めて人前で披露するという非常にレアな瞬間だった。
この日を締めくくるラスト曲はデビューEP「明星」に収録されている「せいかつ」。「この曲で締めたいと思ってセットリストを作りました」とライブの最後に披露し<溜まる言葉が嘘になる前に歌詞を書いている 生活の音に包まれて下手な優しさに包まれて>という歌詞にこの数ヶ月のクボタカイの「せいかつ」を想像した。
終わってみればこの日クボタカイは新曲を計4曲披露。人前で披露するのが初めての曲が多く緊張感も感じられたが、とにかくみんなに届けたかったという想いが感じられるセットリストだった。
クボタカイ
公演が中止となり、音楽を披露することが出来なかった分のエネルギーをこの日にぶつけてきたクボタカイ。ライブに行きたくても行けなかった分、制限がある中で、それを超えて楽しもうとする観客。もちろんライブハウスの状況は以前とは違うが、制限があることで逆に双方にとって特別なライブとなった。今後は今回のライブでやった曲達がどんどんリリースされていくことだろう。それを楽しみに我々もこれからの「せいかつ」を送ろうと思う。
取材・文=竹内琢也 撮影=河上良

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