勅使川原三郎が新作『去年』を上演~
映画「去年マリエンバードで」に想を
得た、記憶と身体をめぐる迷宮世界

勅使川原三郎ダンス公演『去年』-「去年マリエンバードで」より-が2020年12月12日(土)~14日(火)東京・両国のシアターX(カイ)で行われる。構成・振付・演出・美術・照明・衣装:勅使川原三郎。出演:勅使川原三郎、佐東利穂子。
『去年』は1961年のフランス映画「去年マリエンバードで」に想を得た新作。当時の新しい映画運動ヌーヴェルヴァーグの左岸派として注目を集めていたアラン・レネが監督し、ヌーヴォーロマン作家として高名なアラン・ロブ=グリエが脚本を書いた映画は、入り組んだ視点や時系列による構成が特徴で、しばし「難解」と称されるが美的完成度が極めて高いことで知られる。

勅使川原三郎ダンス公演『去年』フライヤー 裏

勅使川原は作品に寄せたコメントの中で、「去年マリエンバードで」の鍵でもある「記憶」への関心を述べている。また、このところ年に2回の公演が定着しているシアターXの劇場空間をこれまでと全く違った形で使う意欲も語っているという。詩や小説といった文学、それに音楽などにインスピレーションを受けて数々の傑作を生みだしている勅使川原が、時代を超えて孤高の存在感を示す映画からヒントを得て、新たにどのような世界を立ち上げるのか刮目したい。
■「作品に寄せて」 勅使川原三郎 コメント
延々とつづく回廊 行き着くところがない目の移動
記憶の際の巨大な沈黙の館の架空の登場人物
反転した時間 交わらない視線上の終わりのない沈黙
私が初めて映画「去年マリエンバードで」を見たのは50年近く前で、真冬の四谷公会堂、暖房のない広々としたホールには3、4人の観客、冒頭の長い回廊と無感情の声、冷たいスクリーンと冷え切った身体の自分、室内も映画の中の人間も凍りつき全てが動きを失い上映後の私は固まったまま呆然と出口へ、他の客も同様に冷えきった無言、ただその小さなシネマクラブ主催の青年にささやかな笑みをみたような気がする。私は外に出て少しずつ映画の中に戻って行った。
十代後半の記憶です。
確かに記憶への興味は絶えないのです、私にとって記憶とは、頭脳で操作する遠近法ではなく、不確かに記録した身体内に置き去りにされた消えつづける煙のようなものを物質化する遊戯のようです。遊戯としての記憶と希薄な身体と1時間をさかのぼりまよい途方にくれる。螺旋状に女は蒸発しつづけ男は常に決して勝てないゲームをつづける。
勅使川原三郎

文=高橋森彦

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