アルコサイトが刻む、嘘のない言葉

とある人は、大人になることを“嘘が上手くなること”と言った。自分の気持ちを我慢して、首を縦に振ることだと言った。もしそれが真実なのだとしたら、アルコサイトは子どもなのかもしれない。でも、だからこそ彼らの歌は、どうしようもなく胸に届くのだとも思うのだ。

アルコサイトは、2013年に結成された大阪発のロックバンドだ。当時高校2年生だった北林を中心に活動を開始し、何度かのメンバーチェンジを経て現在に至っている。
彼らの魅力は、音楽全体に嘘がないことだ。北林の書く歌詞がバカ正直なことはもちろん、サウンド面に関しても逃げがない。パキッとした音像に映えるハッキリした歌声は、赤裸々な歌詞をより一層濃く刻み付けていく。素直に胸中を語った作品の数々は、嘘や雑念が混ざっていないからこそ、彼ら自身の歌でありながらアナタの歌になりえるのである。

先日配信が開始された「世界が終わる夜に」は、アルコサイト初となるデジタルシングル。9月3日に行われたフロアワンマンで初披露された1曲で、切ないロックサウンドがグッと心に染み入る。彼らの持つ言葉の強さを、今一度確認できるナンバーだ。