L→R トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)、阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)

L→R トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)、阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)

音楽クリエイター集団
TOKYO RABBITを紐解く【前編】
“出し惜しむことを恐れていたら
次はない”

出し惜しみをしていたら
人生的に次はない

サウンドメーカーのトサキが加入し、技術力だけでなく楽曲の方向性も確立することができたTOKYO RABBITは、1年間で2作のEPと4作の配信シングルの計6作品をリリースした。年間で考えると脅威的なペースと言えるが、これはもともと計画されていたものなのだろうか? それとも楽曲ができた時点でリリースされたものなのか?
「両方ですね。“これは出したい!”と思っていた曲も多くて。ミュージシャンの人は“これはいい曲だから取っておこう”と出し惜しむことがあると思いますが、それを恐れていたら次はないんですよ、人生的に。それがなくなった時に窮地に陥るというか、その時に新しい作品が出るのか出ないのか。そこでゼロをイチにし続けれるかどうかの恐怖と戦うことを、僕はやってこなかったと思ったんです。だから、恐れずにどんどん出していこうと考えて作品を出し続けました。「SUN SHOWER」や「the NEW WORLD」はいい曲だと感じたので、作ってすぐトサキに渡して、ふたりで進めながらリリースしましたね。4人でレコーディングするとなると大がかりになるので、EPとしてまとめる場合はいいんですが、コンパクトにリリースする場合はこのほうがいいかなと思ったし。大手のレコード会社だととても時間がかかることが、自分たちのレーベルなのでパパッとやってバッと出せますからね。音源データを配信サービスに登録したら3日後には聴けるようになる時代だから、このやり方を活かしていきました」(堂野)
大塚篤史(Dr)

大塚篤史(Dr)

時代の流れを活かしてプラスに変えていく堂野の行動力の高さはバンドの活動に大きな影響を与えているのだろう。配信シングルに関しては堂野とトサキでスピーディーに進めたということだが、大塚と阿部はそのことに対してどのように感じているのだろうか。
「結構知らない間に進んでいることが多かったですよ(笑)」(大塚)
「なんか、変な話だなと思ったらそうなんですよね(笑)」(阿部)
「僕が突っ走って進めちゃうから、大塚とかなんか怒ってるなと感じる時もありますよ。だから、リリースについてはしっかりと説明をしていますよ(笑)」(堂野)
「でも、バンドというより僕たちはチームって感じですからね。毎回、必ず集まらなくてもいいとは思っています」(大塚)

堂野が話していた通りTOKYO RABBITは自主レーベルあることが大きな強みであり、その分、自由に動くことができる結果が活動1年目とは思えないリリース数につながったのだ。そんな彼らの楽曲を聴くと分かってもらえると思うが、音楽におけるプロフェッショナルが集まったチームだからこそ、筆者はライヴ会場でひとりひとりの演奏技術を楽しむのはもちろん、曲の世界観にどっぷりと浸りたくなる。実際、ライヴ活動についてはどのように考えているのだろうか?
「ライヴをしたいという気持ちは今のところなくて。それこそ、まずはたくさんの人に“ライヴを観たい”と思ってもらえるようにならなくちゃいけないかなと」(堂野)
「普通のバンドとは逆ですよね。ライヴを重ねた後に作品を作ろうとなる気がしますけど。我々は出会ってから4年近くになりますが、人前でライヴをやったのは2回しかないですから」(阿部)
「4人でアンサンブルをすることもないですよね」(トサキ)
「メンバーのうち誰かとライヴをやるとか、同じライヴの現場で一緒とかはありますけど」(大塚)
「僕自身が音楽の接し方はいろいろあると思っていて。ライヴはライヴならではの良さがあるけど、自分自身がスピーカーで家でゆっくり聞くとか、そっちが好きだったり、ライヴでずっと立ってるのが嫌なんですよ(笑)あれ、疲れません?」
「僕もそうなんですよ! 人生で最初に行ったライヴが高校の時の長渕剛さんの桜島のオールナイトライヴだったのですが、もう過酷すぎて…帰り道に、盲腸になりましたもん(笑)。それ以来、潜在的にはトラウマで」(トサキ)
「盲腸になったの!?(笑)」(大塚)
「長渕さんのオールナイトはまた極端な話だけど、酷いね…(笑)」(阿部)
「ほらね。ライヴは危険ですよ(笑)。今はCDや配信で僕たちの曲を、一番いい音で部屋で聴いてほしいかな?」(堂野)
L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)

L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)

いつかライヴで彼らの音楽を楽しむことができるのか? 筆者はそんな願望に似た気持ちが残るが、堂野の言うように音楽の楽しみ方はさまざまである。楽しみ方はリスナーの判断に任せるというのがベターかもしれないが、チームとしていい雰囲気の中、楽曲制作に対する意欲が増していることもひとつの要因だという。
「バンドの精度がどんどんと上がっているんです。トサキのサウンドで全部打ち込みの曲もありだと思うし、大塚が宅録できるようになったからドラムの音を聴くとバンドサウンド特有の味を感じられるし、阿部さんも打ち込みする機会をドンドン増やして劇伴の仕事なんかも少しずつ始めているし、試行錯誤を重ねながらも今後はもっといい曲をスピーディーに作っていきたいんですよね」(堂野)

豊富な経験を持つ音楽のプロフェッショナルが集まり、自主レーベルという大きな武器を持つTOKYO RABBITだからこそ、自己プロデュースでエンターテインメントを発信できる時代にも柔軟に対応し、固定概念にとらわれない自由な活動を実現することができるのだろう。そんな彼らが今まで模索し続けたプロモーションにも本格的に力を入れて、世の中に解き放つシングルコレクションとなる配信EP『ウサギのジャンプ』を11月6日にリリースした。【後編】では、作品のことはもちろん、なぜ今シングルコレクションを出すのか、彼らがこれからどんなビジョンを描きながら動いていくのか。その辺りを詳しく伝えていきたい。
Text by 岩田知大
■音楽クリエイター集団TOKYO RABBITを紐解く【後編】
https://okmusic.jp/news/408869

「東京」MV

短編映画『日傘の蔭』

配信EP『ウサギのジャンプ』2020年11月6日(金)配信開始
    • ■配信リンク
    • https://linkco.re/TDu2mFvh
    •  
    • <収録曲>
    • 1. #37 JIBUN LIFE
    • 2. HANABI
    • 3. the NEW WORLD -alternate take-
    • 4. 東京
    • 5. SUN SHOWER -alternate take-
    • 6. 明方の唄
    • 7. ツキノヌクモリ
L→R トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)、阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)
L→R 阿部樹一(Pf&Key)、堂野アキノリ(Vo)、大塚篤史(Dr)、トサキユウキ(Gu)
堂野アキノリ(Vo)
トサキユウキ(Gu)
阿部樹一(Pf&Key)
L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、堂野アキノリ(Vo)、トサキユウキ(Gu)
大塚篤史(Dr)
L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)
配信EP『ウサギのジャンプ』

OKMusic編集部

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