L→R トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)、阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)

L→R トサキユウキ(Gu)、堂野アキノリ(Vo)、阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)

音楽クリエイター集団
TOKYO RABBITを紐解く【前編】
“出し惜しむことを恐れていたら
次はない”

バンドのメンバーが
所属アーティストをサポート

実を言うとTOKYO RABBITは2017年にミニアルバム『JUST A STORY』をリリースしている。しかし、この作品はあえて1stと数えられていない。いったいどういうことなのか? その背景には堂野が行なっている映像作品の制作が関わっていた。

「『JUST A STORY』の時、阿部さんもトサキくんもいなかったよね」(大塚)
「いないね。いなかったし、あの作品はバッと集まって単純にリリースしてみただけでした。宣伝も全然できなかったし、やり方も分からなかったのに、とにかくかたちにしたという感じでしたね。その時に短編映画『日傘の蔭』も撮っていたので、映画と僕たちのバンドの音楽を合わせたらどうなるかと思って実験的にミニアルバムを作ったんです。実はその短編映画を2020年になって“これが初めて作った映画です”と恥ずかしながらYouTubeにアップしたら、4万回再生を超えて(笑)。何が反響を呼ぶか本当に分からない時代ですよね」(堂野)
トサキユウキ(Gu)

トサキユウキ(Gu)

堂野の中でTOKYO RABBITは、今の4人が集まったことでちゃんとスタートさせたいと思っていたようだ。そして、『TOKYO RABBIT RECORDS』も次々とリリースするアーティストが増えて軌道に乗る中、2019年1月に1st EP『東京』にてTOKYO RABBITが始動することとなる。レーベルを運営する堂野にとって、自身が所属するバンドはどのような位置付けになるのか?

「レーベルを立ち上げる背景にはTOKYO RABBITのメンバーがいました。レーベルの芯となるものは音楽なんですよね。その音の基軸がないと、このバンドも存在しないですし、レーベルのサウンドもなかなか難しくて。僕たちはライヴ活動をそんなにしていないから、半分は制作チームみたいな感じなんですよね。例えば、我々のレーベルからSUMIREというアーティストが音源をリリースしたんですけど、彼女の曲を書くことになったらトサキがアレンジをしたり、阿部さんがピアノを弾いたりして。ライヴでは大塚もサポートで入ったりするので、結局はこのメンバーで関わるアーティストのサポートをしていくから、レーベルとしての“音楽の色”はこの人たちで作っているんです。だから、TOKYO RABBITには強みとしてレーベルもあることをみなさんにも知ってもらいたいと思いますね」(堂野)
「本当にバンドというよりは、チームみたいな感じですよね」(大塚)
阿部樹一(Pf&Key)

阿部樹一(Pf&Key)

レーベルにTOKYO RABBITというバンドがあり、メンバーがそれぞれ個の力でレーベルを支えることができる。まさにバンドというよりはクリエイター集団と言っても過言ではない。そんな彼らがリリースした『東京』はどのように生まれたのだろうか? ミディアムテンポでウェットなサウンド、堂野のささやくような透き通った声にどことなく懐かしさも感じられる同曲。原型となったテイクは今のサウンドとはまったく違っていたのだという。楽曲アレンジにおいてトサキの存在はとても大きなものとなっているようだ。

「トサキくんが入るまでに3人でいくつか楽曲を作って録ってはいましたけど、トサキくんが入ってサウンドの方向性が決まったんです。それまでは、みんなで試行錯誤していて」(大塚)
「まとまらなかったし、『TOKYO RABBIT RECORDS』がスタートした2018年は一曲もリリースをしてなくて、ずーっと“何をやってたんだろう?”と思うくらいに進まなくてね。“これでいくの?” “これで勝負するの?”と言いながら。でも、トサキくんが入って「東京」が完成した時は“これだ! これでいける!”となりました」(堂野)
「「東京」はすごく前に一回録り直しましたよね」(大塚)
「違うバージョンというかね」(阿部)
「本当に最初はバンドだけの一発撮りでできるようなテイクの録音をずっとやっていて。わりと大塚も僕もバンドサウンドで考えていたからね。そういうのもいいけど、それだけだとダメだと思っていた時にトサキくんが入ったんです。阿部さんはジャズマンだし、大塚もインストバンドをやってたりと演奏をずっとしている人たちだから、僕らは音楽性という面では演奏力があるし、作品もあるんだけど、肝心な性質がなかったんです。その性質をトサキは持っていたので、彼の性質で曲を活かしてあげるという。だから、僕たちにとって彼が音楽におけるプロデューサーですよね。僕は作家の部分も含めた全体のプロデューサーだと思うんです」(堂野)
L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、堂野アキノリ(Vo)、トサキユウキ(Gu)

L→R 阿部樹一(Pf&Key)、大塚篤史(Dr)、堂野アキノリ(Vo)、トサキユウキ(Gu)

バンドメンバー全員から大きな信頼を得ているトサキだが、彼は3人が作っていた「東京」の原曲を聴いてどのように感じたのだろうか?
「とりあえず、原曲を今風に変えなきゃいけないと思いました。“もっとやり方があったでしょ?”と(笑)。“なんでこうなってんの? みんな妥協しながら作ってるでしょ!”と思いましたね。そんな感じだったからもっと良くしたかったんです」(トサキ)

OKMusic編集部

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