L→R Luna(Ba)、Hirofumi(Vo)、Yoshitsugu(Gu)

L→R Luna(Ba)、Hirofumi(Vo)、Yoshitsugu(Gu)

【Eins:Vier インタビュー】
30年経ってまた集まった意味を
自然なかたちで表すことができた

多少の意識はしてるんでしょうね、
Eins:Vier的なものというのを

そもそもEins:Vierは誰かがデモを作ってきて、それをアレンジすることが多いんですか? それともスタジオでセッションしながら作っていくんですか?

Luna:インディーズの時は完全に後者ですね。ただ、メジャーになって一年に一枚のペースでアルバムを出さないといけないってなってくると、それなりの曲数がいるじゃないですか。スタジオでセッションしていたら間に合わないから、個々である程度固めてからバンドに持って行くようになりました。

となりますと、今回は原点回帰的な作り方に戻った?

Hirofumi
作り方自体はそうですね。
Luna
だけど、セルフカバーのボーナストラックは置いておいて、5曲あるうちの「100年の幻想」「three stories」「I mean what I say」はスタジオで作って、「touch or don't touch you know」と「Come on loser」はYoshitsuguの自宅で一緒に作りました。

Eins:Vierらしい「touch or don't touch you know」と、Eins:Vierっぽくない「Come on loser」が自宅で作ったというのが面白いですね。では、その辺から『five sights』を探っていきますと、先ほどHiroさんも“Eins:Vierらしさと新しさを入れた作品にしたかった”とおっしゃっていましたけど、確かに今作にはEins:Vierらしさがありますよね?

Hirofumi
それは自分たちでも再確認しました(笑)。それぞれの個性がバラけると違う個性になって、集まると自分たちならではの個性が出てくるのは不思議やなと。

その辺は意識的に“こんな感じにしよう”て固めていくんですか? 

Hirofumi
多少の意識はしてるんでしょうね、Eins:Vier的なものというのをどこかで。でも、個人的には自然なかたちで仕上げたらこうなったというか。

個人的には“Eins:VierからEins:Vierらしさって損ないようがないんだろうな”くらいの印象ではありますね。1曲目の「touch or don't touch you know」のイントロからして“うわぁ、これはEins:Vierだ!”ってグッと来ましたよ。…これはメンバーに訊くことじゃないかもしれないですけど、その“Eins:Vierらしさ”って何でしょうね?(笑)

Hirofumi
何なんでしょうね?(笑) そう言われて今考えたんですけど、昔はよく“透明感のあるサウンド”とか“好き嫌いが分かれる歌声”みたいなことを言われていたけど、そのクリーントーンとか俺のアクの強さって、今回そんなに入ってないんですよ。当時を振り返ってみて、思ったほどにはそこに特化しているわけではない気がするんですけど、俺らの音になるというのは、そう言われていたのはバンドの表面的な部分で、本質は違うところにあったという感じがしないでもない。

なるほど。それも興味深い考察ですね。1曲目の「touch or don't touch you know」から2曲目「100年の幻想」、3曲目「three stories」と、クリーントーンのギターのアルペジオをヘヴィなリズムが支えるというスタイルのサウンドが続きます。Yoshitsuguさん、Eins:Vierで弾くとなると、やはりこういうタイプのギターサウンドが出てきますかね? 

Yoshitsugu
そう…ですかね。「three stories」が一番最初に作った曲で、個人的にはわりと“Eins:Vierらしさ”は意識しました。でも、その曲ができてからは意識していないので、自然に…という感じです。

曲に合わせて弾いたらこうなった?

Yoshitsugu
そうです、そうです。自宅で作った曲なんかは、お互いがネタを持ってきてたから、わりとすぐにできたし。
Luna
うん。1日で2曲できた。
Yoshitsugu
その前に3曲できてたから、そこは自由にやれましたね。
Luna
当初は“3曲入りの音源でもいいか”という気持ちがありつつの、スタジオでああだこうだじゃない作り方を…Eins:Vierではそれはやっていなかったんですけど、Eins:Vierじゃないバンドでそういう作り方をした時にいいものが作れたことがあったんで、そういう作り方もやってみたいと思って。曲ができれればいいし、できなければ、もう作るのはやめて飲みに行こう”って感じでやったら2曲もできて(笑)、それをHiroちゃんに聴かせたら大感激で(笑)。
Hirofumi
めちゃカッコ良くて! その音が送られてきた時、ほんまに嬉しかったんです。今回の新曲に関しては俺が“やろうよ”と発案して、ふたりが“…じゃあ、やろうか”って感じで始まってるんですよ。で、3曲作って“いいものができたやん!”となっている時に、今度は俺が全然関係していないところで、ふたりが自発的に作ったものが送られてきたんで。で、そのデモを聴いた時にすぐにメロディーも歌詞もパーッと浮かんできたから、“これは絶対に良くなる!”と。だから、これは集中したいと思って、集中して作業ができる日が来るまでまったく何もしなかったんです。その間、ふたりには何も連絡しなかったんで、俺がどう思てるんか不安だったみたいで、“Hiroちゃんから連絡が来いひんからイマイチやったんかなって思ってたんやけど…”っていう、そんなすれ違いもありつつ(笑)。

“可否くらいははっきりしろよ”という(笑)。今回収録された楽曲はどれも各パートの音がとても生々しく、全体のサウンドがグイグイと迫っていますよね。これはとりもなおさず、みなさんの気持ちがイケてたからなんだろうなと、今、Hiroさんの話を聞いてて思ったところです。

Luna
自分の部分で言うと、サポートのドラマーは前回の全国ツアーを一緒に回っているし、合う感じが分かるんですよね。全然知らない人に来てもらうよりも、よりバンドっぽくなったと思います。

「I mean what I say」のアウトロ近くでドラムがモータウンっぽくなるところがあって、あそこはとても面白く聴かせてもらったんですが、単なるサポートではああいうことはしないんでしょうね。

Luna
基本のイメージだけを伝えて、“あとは好きにやって”と。まぁ、違うところがあれば言いますけど、基本的には好きにやってもらってます。

あの辺はバンドらしいですよね。Eins:Vierには先ほどHiroさんが言われたようなクリーントーンのギターのイメージは確かにありますが、「I mean what I say」のような密集型のバンドサウンドもEins:Vierらしさではありますよね。

Yoshitsugu
そうですね。自分の中では違和感なくやっていることではあって、全然狙ってるんでもないし、自然にやってます。
Luna
今までにないとしたら「Come on loser」ですね。

これは超新種ですね。ブルースと言ってもいいくらいだと思ったのですが、どんな感じで作っていったんですか?

Luna
“こんな感じでどう?”ってYoshitsuguが言って…あれはサイケかな? そのイメージで。“これは仕上がるんかな?”とちょっと思いましたけどね(笑)。

サイケデリックなイメージですか?

Yoshitsugu
それもちょっとあったんです。まずベースのフレーズありきで始まって、そこに自分がその場で思いついたものを入れてみたら“何かいいなぁ”と(笑)。いい意味でEins:Vierらしくない部分が出ていたから面白い曲になりそうやった。

ギターは「touch or don't touch you know」以上にリバースが出てきたり、途中でワウワウした鳴りがあったり、サイケデリックなイメージというのは納得です。

Yoshitsugu
そうですね。
Luna
オケだけ聴いたら渋い感じだと思うんですけど、サビはすごくきれいな感じだったので、そういうところは残したいなって。ズブズブの渋々じゃなくてね(笑)。

そうですね。私、さっきブルースとは言いましたけど、大阪のコテコテなブルースとは全然違うことは、ここではっきりとそうではないと言っておきましょう(笑)。で、「Come on loser」に関して驚いたのは歌詞でして。これ、タイトルと歌詞の内容だけ見たら、もっとBPMが速いような気がしてならないんですけど、そうではないところに何かを感じますね。

Hirofumi
あぁ…やっぱり今回の中では異質感があったんですよ。メロディーは曲の求めている感じ…ルーズで、ちょっと適当感があって、でもサビで開ける感じは分かったから、そういう感じで構成もいろいろと自分なりに考えて。
Luna
勝手に構成を作り変えてたけどね(笑)。
Hirofumi
最初はさっぱりした終わり方だったんで、終わり方を“ここはこうなって、ああなって”って勝手にくっつけて。で、それをまたみんなで“じゃあ、メロディーはこっちに”とかして。メロディーは最後、繰り返さないのは“これはサビが来るんじゃない?”と思わせて、違うメロディーになるという。しかも、そこが英語になっている(笑)。そういうところで飽きない曲になってるのかなって思いますね。

続いてく感じというか、《この瞬間を転がってゆけ》という歌詞もありますけど、サウンドにも止まらない感じはありますよね。

Hirofumi
テンポが遅い分、ループ感がある曲やから、そういう部分は一番根底にあるサイケデリックをどこかで感じ取ったのかもしれないですね。

歌詞からは“アツさ”を感じました。こう申し上げては失礼かもしれませんが、このアツさは過去のEins:Vierにはなかったものではないかと。

Hirofumi
そうですね。これはもう、おっさんならではという(笑)。

いやいや(笑)、むしろ若返った感じじゃないですか?

Hirofumi
そうですか?(笑) ドラムの子が俺らよりひと回り齢下なんで、“こんなテンポ、この齢で叩かないですよ”って苦労してた(笑)。

(笑)。正直なところ、このくらいの勢いで音楽をやっていくという宣言でもありますよね?

Hirofumi
うん、そうですね。どっしりと、でもアツく。みんな、挫けてないわけじゃないですか。そういう感覚というか、“いつからでもやったんぞ!”的なね(笑)。

OKMusic編集部

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