コラム【音は鼓膜を震わせ、音楽は心
を震わせる】#10 とにかく元気であき
らめさせない、BaBe「Give Me Up」

エンターテイナーを夢見るしがない50代のマンモス☆南が、レコード、カセットテープ、CD、MD、ネット配信と、音楽メディアは時代と共に変われど、歌が人の心を動かすことに変わりはない、という想いについて語ります。

とにかく元気であきらめさせない、BaB
e「Give Me Up」

あれは1987年の初めだったので、私が2度目の大学受験をしていた頃だ。フジテレビのドラマ「あまえないでョ!」を楽しみに見ていて(受験生なのに?!) 斉藤由貴と布川敏和(フッくん)の掛け合いが面白いなぁと思いつつ、主題歌の「Give Me Up」(BaBe)が印象的だった。

それが、マイケル・フォーチュナティのカバーだとも知らず、(バナナラマ「アイ・ハード・ア・ルーマー」がそれに触発されたことも知らず)知らない女の子2人組が、ひたすら「ギブミーアップ!ウォーウォウウォー」を繰り返すのがとてつもなく新鮮だった。

アイドルっぽくも、ダンスの心得を武器に、踊りながら歌うBabeの2人(近藤智子・二階堂ゆかり)をテレビで見ていたのが懐かしいが、今でも動画配信サイトで見られる当時のPVも、昭和の終わりの雰囲気が漂っている。

それでも、元歌がユーロビートだったにもかかわらず、とてもポップで、大衆的でありながら、今聴いても古臭い感じがしない。

気がついたらアレンジ(編曲)は、あの大村雅朗さん。多くのヒット曲の編曲者として名を馳せつつ、松田聖子「SWEET MEMORIES」の作曲者。先頃亡くなった筒美京平さんと共に、昭和の歌謡曲にはなくてはならない存在だった方。歌謡曲に限らず、佐野元春渡辺美里大江千里大沢誉志幸らの曲も手掛けた。

それはそうと、そもそも「Give Me Up」を直訳すれば「私をあきらめて」ということだが、そのフレーズを女の子たちが連呼するというのは、どういう状況なんだろうか。

とにかく元気に歌う2人と、ポップなテンポからは、この歌の歌詞に登場するであろう男子を元気づけている印象しかないのだが、一方で、自分(女の子)が彼にとって友達なのか恋人なのかを尋ねたり、失恋してもめげずに恋をするように促したり。

これまた昭和の歌謡曲には欠かせない作詞家・森雪之丞さんにこの日本語詞を解説して頂きたいところか。

今もこの歌を聴きながら文章を書いているが、とにかく元気な気分にさせてくれる。言葉では「あきらめて」と言っているのに、あきらめるなと背中を押している、女の子の心とはそういうものなのだろうか。
マンモス☆南
プロデューサー/フォトグラフィック・オーガナイザー
1967年9月12日 神奈川県出身
広告代理店、映画制作・宣伝などの業務を経験した後、イベント企画・運営会社「合同会社グラスタ」を設立。女性アイドルの撮影会やネット番組、フットサルチームのプロデュースなどを行う傍ら、カメラマンとして写真集やブロマイドの撮影にも取り組む。

好きなミュージシャンは、小田和正Mr.Children、大瀧詠一、杉真理織田哲郎など。
【グラ☆スタ!今月の推しメン】
藍澤慶子(あいざわけいこ)
1985年9月28日生まれ 東京都出身 血液型O型
舞台、映画、ドラマ、MV、ウエディングモデル、広告、ラジオCMと、多方面で活動している。
映画監督・井坂聡による演出の舞台「最初の晩餐」でヒロインを務め、脚本家・作家の秦建日子がプロデュースする「秦組」公演など多数の舞台に出演する一方、即興劇団体「END es PRODUCE」を主宰している。フジテレビ系ドラマ「医龍4」では、オペ看護師金子役を演じた。また、AKB48「365日の紙飛行機」、Shiggy Jr.「Beautiful Life」、音速ライン「ウーロンハイ」など、多ジャンルのMVに出演。その他、Amazonでオリジナル写真集を2冊出版。3rd写真集も近日リリース。

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