【a crowd of rebellion
インタビュー】
全部乗せマシマシで、
今のリベリオンを詰め込んだ作品
手術後に声が一切出せない期間、
ヒップホップをずっと聴いてた
高井さんは作品についていかがですか?
高井
手術後だからこそできる歌の間、広がり、キーとか、今までにないものを引っ張り出しているなと。「°OD。」も今までにない感じだったので新鮮でしたよ。
「°OD。」を含めて、今回はラップ的な表現も取り入れてますよね?
宮田
手術後に声が一切出せない期間があって、その時に俺と亮輔はヒップホップをずっと聴いてたんです。その影響もあるかと。
小林
ふたりで落ち込んでいる時、“この曲、最高じゃない?”ってね。その人たちから元気をもらったんで、他のアーティストも聴くようになりました。
舐達磨とかあの辺の人たちですか?
宮田
大好きです! あと、BAD HOPだったり。
小林
鎮座DOPENESSとか。
宮田
ヒップホップの人たちは歌詞に込めるメッセージが強いからこそ、“ほんとに声が戻るんかな?”という不安を吹き飛ばしてくれたんですよ。
小林
それで、自分たちでやってみたらどうなるかなって。自分たちでもカッコ良いと思えたので挑戦しました。
そんな経緯があったんですね。近藤さんは印象深い楽曲はありますか?
近藤
「BLESS BY BLUE」は僕らの曲では珍しく2分を切っているんです。もともとインストで、レコーディングの時も何も決めずに挑みました。その場でイントロのフレーズも決めて、宮田さんの語りも入っているから、新しいリベリオンが見えた気がしますね。
今作には打ち込み、エレクトロの要素も随所に取り入れてますよね?
丸山
そうですね。僕は影響されやすいタイプなので(笑)。自分なりに解釈して入れてみようと。自粛期間にいろんな音楽を聴く機会も増えましたからね。それでアプローチの幅も増えました。
「UP TO ME」は手術後の影響が出ているのか、宮田さんのクリーンヴォイスが新鮮でした。
宮田
こういう曲は亮輔に任せることが多かったんですが、歌い方や歌詞にもあえて挑戦しました。自分がきれいな声でメインを張るのはメジャー1stアルバム(2016年6月発表の『Xanthium』)以降なかったから。歌詞も日常も取り入れて分かりやすくしたので、また違う空気が出ていると思います。
対して、「coelacanth」は小林さんがリードヴォーカルを務めた曲ですね。
小林
この曲も挑戦的な部分があって、難しい言葉を使わずに歌詞は削ぎ落として書けたんですよ。最後にポエトリー、シャウトを宮田さんがやってくれているので、そこも気に入ってます。
宮田
空気感を邪魔してると思ったけど、みんなが“これはいる!”と言ってくれたので入れました。
あと、「hAngedmAn_A」はとんでもない展開になってますね。
丸山
繰り返しがないですから(笑)。
宮田
一辺倒じゃないし、初めて聴いた人は不思議な曲だと思うでしょうね。
“何だ、こりゃ!?”感が炸裂しています。
宮田
ヒップホップの曲なのかなと思ったら、急に叫び出してラウドになり、ホラー映画のエンディングみたいなサビがあり…不思議と一曲につながっているという。
小林
夜中は怖くて聴けないですよ、びっくりしちゃうんで(笑)。
宮田
ライヴだとラップして、シャウトして、アコギ持って弾かなきゃいけない。
高井
この曲はバンドっぽくない、悪そうなベースを意識しました。
近藤
今作は一曲に1カ所はフックの効いたフレーズが入ってますからね。全体的に新しいことを取り入れつつ、好きなフレーズも多いのでそこも気に入ってます。どの曲にも見せ場があるから、ドラマーの人はチェックしてほしいな。
そして、ラスト曲「〔←REDO.〕」を聴き終えたあとは長編映画を観たような印象を作品全体から受けました。
小林
“REDO”は“やり直し”という意味で、最後は《新たな振り出しへと》という歌詞で終わるんですけど、1曲目の「Meteor」では《世界の終わりが始まったそうだ》の歌詞で始まるから、そことリンクさせたかったんです。
宮田
「〔←REDO.〕」は俺と亮輔の人間に対する考えが詰まった曲ですね。
小林
大丈夫かなと思うくらい素直に書けました。「Meteor」と「〔←REDO.〕」は歌っている内容は近いです。
生きづらい世の中だけど、人間とは何かを考えようと問いかける内容ですよね。
小林
そうですね。歌詞は人と人がくっついている描写はあるけど、心は離れてしまっているという。
宮田
あやふやになった人間像を話し合って、“人間とは?”から始めなきゃいけないんじゃないかと。
取材:荒金良介