【入野自由 インタビュー】
コロナ禍の中でも
自分を助けてくれたのは
音楽や演劇だった
“自分は何て幸せなんだろう”
という気持ちでいっぱい
シンプルなアプローチでギターの音も温かい感じですね。さまざまなアーティストとコラボした今作が完成した今、どんなことを感じていますか?
“自分は何て幸せなんだろう”という気持ちでいっぱいです。音楽には触れていたものの僕は音楽だけをやってきた人間ではないので、自分ができないことや足りないところをみなさんに助けてもらいながら、自分の好きなことや伝えたいことを表現してきて、11年かけてここまで来たんだなと感じました。
そう感じたことことから“Life is...”というアルバムのタイトルに?
どこかで関連しているのかもしれませんが、この一年は良いことも悪いこともあって、必然的に考える時間が生まれたんです。“エンターテインメントって必要なのかな?”“人生って何なのかな?”というところまで考えたりしたけど、コロナ禍の中でも自分を助けてくれたのはやっぱり音楽や演劇だったんです。世界中の人に幸せになってほしい気持ちはもちろんありますが、僕はもっと身近な人たちに対して歌っていこうと思ったし、みんなにとって“人生って何だろう?”と…自分自身も答えは出せていませんが。なかなか答えられない人もいれば、すぐに答えが出る人もいるだろうけど、すごく気になったことだったので、“Life is...”をアルバムのタイトルにしました。
なるほど。入野さんにとって音楽を作って歌うことと、役者、声優として演じることにはどんな違いがありますか?
役柄を演じることはある意味、自分を消すことでもあるんですね。自分がどうというよりも作品の意図やキャラクターが思っていることを表現していく作業だと思っているので。音楽は入野自由が思っていることや伝えたいことをかたちにする場所です。それができるのが歌なので、これからもずっと続けていきたいと思っています。
両方があることでバランスがとれるみたいな?
子供の頃は自分を表現することが苦手で、オーディションを受けることも好きではなかったんですよ。ちゃんと自分を伝えられるようになったのはアーティスト活動のおかげだし、矛盾するようですけど、演技をする上では自分を消すことと同時にエッセンスとして自分を出すことも大事。だから、音楽をやっていることが役者としての活動に活かされているし、バラエティーに富んだ楽曲を色を変えて歌うのは演じていることが役立っているんです。いろいろな方に曲を書いていただいている分、いろんな色が必然的に出てくるので、アルバムの一本の柱となるのは僕が歌っているということなのかなと。なので、相乗効果で入野自由が出来上がっている感覚があるんです。
そういう活動を目指していたんですか?
活動していくうちにそう思うようになりました。声優とかアーティストっていう肩書きはあまり気にしていなくて、ただ単に“入野自由です”という感覚でいます。
声優、役者として活躍されているという先入観がない人が本作を聴いたら、普通に音楽アーティストのアルバムとして受け入れられると思いますよ。
ありがとうございます。そう感じてもらえたなら、このアルバムを作って良かったです。
今はなかなかライヴ活動ができない状況にありますが、最後に今後のことについてメッセージをお願いします。
せっかくアルバムを作ったのでどこかで披露したいと思うんですが、今はどういうものになるかまったく想像がついていないので、まずは曲を楽しんでほしいですね。僕の曲から入って“この人、何者なんだろう?”と思った方は12月に舞台(『ピーター&ザ・スターキャッチャー』)が控えているので観に来てもらえたら嬉しいです。今は好きなものを自分で選ぶ時代ですけど、僕と出会ったことがいろんな作品に触れるきっかけになったらと思います。
取材:山本弘子
(c) Kiramune Project