岩渕貞太 身体地図が新作『Gold Exp
erience』を上演~カラダを深く掘り
下げて踊られる“身体の考古学”

岩渕貞太 身体地図 新作ダンス 2020『Gold Experience』が2020年11月19日(木)~21日(土)東京・吉祥寺シアターにて行われる。「舞踏や武術、脳科学等のリサーチを重ね、身体表現の革新を追求する岩渕貞太の最新作」であり、「カラダに刻まれた経験の重層を掘り下げ、幾多の記憶を超えて踊られる、身体の考古学」を標榜する。
岩渕は2000年代前半からダンサーとしてニブロール(矢内原美邦主宰)、伊藤キムらの作品に出演し、2007年より2015年まで世界的舞踏家の室伏鴻(故人)の公演に出演し薫陶を受けた。2005年より「身体の構造」「空間や音楽と身体の相互作用」に着目した作品を創り始め、2010年からは大谷能生蓮沼執太といった音楽家と身体と音楽の関係性をめぐる共同作業を行ってきた。2012年には横浜ダンスコレクションEX 2012において『Hetero』(共同振付:関かおり)が若手振付家のための在日フランス大使館賞受賞。自身のメソッドとして舞踏や武術をベースに日本人の身体と感性を生かして、生物学・脳科学等からインスパイアされたという表現方法論「網状身体」を開発し、ワークショップなどを催し、大学でも教鞭をとる。
岩渕貞太 撮影:野村佐紀子 デザイン:鈴木成一デザイン室
新作『Gold Experience』は、“一個の身体には個人の経験が記憶され、それは文化としての歴史に遡るものであり、さらには生物としての進化の経験も含まれる”という先人の言葉を拠り所に、カラダに刻まれている経験の重層をダンス作品として表そうとするものだという。また岩渕は創作動機として、“武術などの古来から伝わる型は、なにものかが経験したある状態が空間として保存され、解凍されるのを待っていると言われます。私たちの身体に潜む経験は、宇宙創成時からずーっと、解き放たされるを窺っているのかもしれません”と述べる。
(右から)入手杏奈 北川結 湧田悠 撮影:野村佐紀子 デザイン:鈴木成一デザイン室

振付に際しては、アイベックスなどの動物、フランシス・ベーコンやアンドリューワイエス、ヒエログリフや金文・甲骨文などに既に潜んでいる身体の記憶を解析し、かき集めたり壊したりしながら、ダンサーの動きやフォルムを通して再創造していくとのこと。また“カラダの内臓はココロの根源であり、鼓動、呼吸、音声はその表れであり、それこそダンスである” という岩渕の考えから、出演者は、まさに宇宙の彼方から地底の奥底から木霊(こだま)するかのような息や声を発するという。
出演は岩渕に加え、入手杏奈、北川結、涌田悠という実力者が揃う。音楽は演劇カンパニーであるヌトミックを主宰する額田大志。美術は舞台美術界の重鎮でセノグラファーとして知られる杉山至が務める。2014年の『斑(ふ)』、2019年の『残光/曙光』などに続いて、身体の底に深く分け入りつつ、空間や音楽とも共振共鳴する濃密な時空間を立ち上げる岩渕の「身体の考古学」の妙なる果実、まさにGold Experienceを体感できそうだ。
【動画】『Gold Experience』PV 映像撮影・編集:高橋萌登 写真撮影:野村佐紀子 使用音楽:額田大志

文=高橋森彦
参考資料:岩渕貞太 オフィシャルサイト、岩渕貞太 身体地図 新作ダンス 2020『Gold Experience』プレスリリース

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