【畠中 祐 インタビュー】
『憂国のモリアーティ』に捧げる
シングルにしようということで作った
「Pray」はコロナ禍で
傷ついた人を癒やしたい
また、カップリングの「Pray」はピアノと歌だけの合唱曲で、「Brand New Day」は浮遊感のあるダンスチューンという。
これは意図していなかったんですけど、「Pray」に関してはコロナ禍で傷ついてしまった人もたくさんいると思うので、そういう人たちに対する祈りの曲にも感じられると思います。そういう部分では、タイミングが重なったことで、より幅広く受け取ってもらえる曲になったんじゃないかな? だから、『憂国のモリアーティ』のことを知らない人が聴いても何かしらのメッセージを受け取ってもらえる曲になったと思います。
聴く人を癒す曲ですね。
癒やされてほしいです。僕自身もそういう気持ちで歌いましたし。
コーラスも入ってて、ファルセットとかハイトーンで歌っているのも新鮮でした。
僕としてはそんなに高い音を歌った意識はなかったんですけどね(笑)。コーラスは合唱団の方に入れてもらいました。僕は合唱する曲が好きで、そういう合唱曲独特のリズムや雰囲気があったから、とても歌いやすかったです。いつものダンスチューンとは真逆の曲調ですけど、伸びやかに歌うみたいな、こういう曲もたまにはいいと思いました。歌っていて、どこかミュージカルをやっているような気持ちにもなりましたしね。ロングトーンで歌い上げるところは特に。でも、そういう曲は自分が幼少期の時に聴いていた音楽の原点で、まずそういう曲で歌を覚えたし、歌うことの楽しさを知りましたからね。
好きだった合唱曲は、例えばどういう曲ですか?
よく覚えているのは、Mr.Childrenさんの「Sign」です。校内の合唱コンクールの時に先生がピアノで伴奏をつけて、それに合わせてみんなで歌いました。あと、松田聖子さんの「瑠璃色の地球」とか。音楽の教科書には森山直太朗さんの「さくら」やゆずさんの「栄光の架け橋」などもあったし…いきものがかりさんの「YELL」も載ってましたね。
そうなんですね! 昔は瀧廉太郎の「荒城の月」でしたよ(笑)。
もちろんその曲は知っていますよ。昔は地方によって日本語も結構バラバラで、全国の学校で同じ曲を歌うことで日本語を統一するために唱歌が生まれたんだと演劇の授業で習いました!
博学ですね。そして、3曲目の「Brand New Day」は畠中さんが得意とするダンスチューンで、しかも英語の歌詞という。
英語は全然しゃべれないんですけど、英語の曲をたくさん聴いてきたので発音はなんとなく分かるんですよ(笑)。
歌詞はどういうことを歌っているんですか?
過去の自分との決別を歌っています。僕自身20代後半に突入して、20代前半とは考え方も少しずつ変わってきて。劇的に変わったわけではないけど、明らかに変わったところはあるので、そういう変わってしまった、変わろうとした自分とちょっとだけ“さよなら”をして、また新たにスタートを切るという感じです。
畠中さん自身も考え方が大人になったり、人前に出るようになって見た目も洗練されたり?
そうかもしれないです。自分でも少しは大人になれたと思う部分もあるけど、まだまだ大人じゃないと思うところも常にあるし。きっとそういう青臭い部分とも、いずれはお別れしないといけない時が来るから、再スタートを切る瞬間に聴くと胸に響いてくれるんじゃないかな?
今回のシングルは全部違う曲調で歌声も違ってて、いろんな魅力が詰まった一枚ですね。
そうですね。改めてこういう3曲に出会えて、新たなチャレンジがたくさんできたことはすごく楽しかったです。また、引き出しを増やしてもらえたと思っています。実は今回のシングルは一枚を通して、『憂国のモリアーティ』に捧げて作っているんですよ。何をイメージしたのかは聴いてくださった方にお任せしたいと思います。みなさんで想像しながら楽しんでもらえたら嬉しいですね。
取材:榑林史章