【chay インタビュー】
“ハート”にピントを合わせた
ベストアルバム
もっと自由に曲を作っていいと
思えたんです
ステイホーム期間中にはどんな心境の変化がありましたか?
SNSで配信することが多かったのですが、その時にいつも以上に“この歌を歌ってください”というリクエストがたくさんあったんです。これまではルーツミュージックである洋楽をカバーすることが多かったのですが、流行っているJ-POPをカバーすることはあまりしてこなかったんですね。でも、こんな時だからこそ、楽しんでもらいたいということもあって、募ってみたら、あいみょんさんやOfficial髭男dismさんなどのリクエストを多くいただいて。私はもともとカバーする時はものすごく聴き込んで分析するタイプなので、初めてちゃんと今のヒット曲を聴き込んでみたら衝撃を受けました。
どんな衝撃でしたか?
何と言うか…自由なんですよ。言葉数が多かったり、違うメロディーのモチーフをたくさん使っているのに耳馴染みが良かったりと、本当に素晴らしい曲だらけで。改めて“自由でいいんだ”と思いました。
これまではルーツミュージックにすごく忠実だったのかもしれないですね。
そう思います。なので、視野がかなり広がりました。今までメジャーでやるなら売れる曲を作らなくちゃいけないと思い込んでいたんです。でも、そういったセオリーを度外視しても、いい曲はちゃんと評価されるということに気づかされて。もっと肩の荷を下ろして作っていこうと思うようになりましたね。
その変化を感じたこれからの曲はさらに楽しみですね。
私もすごく楽しみです。ステイホーム期間中はライヴなどができなくなってしまいましたが、その分、音楽を聴く時間が増えた時期だったと思うんです。いろんなアーティストさんが動画を配信したり、ライヴをオンラインでしたりして、さまざまなハードルが下がったと思います。ライヴに直接行くことってやっぱりハードルが高いと思うのですが、そのハードルが下がったことは良かったんじゃないかと思っています。
そして、chayさんはいつもパッケージにすごくこだわりを持っていますが、今回はリングが付いているんですね。
はい。気に入っていて今も付けています! “ハート”をテーマにしたアルバムだからこそ、今までにないものを付けたいと思って、“LOVE”というデザインの指輪にしました。今、メッセージリングも流行っているので、みんなで一緒に付けられたらいいなと思っています。
では、最後にベストアルバムで過去とちゃんと向き合った今だからこそ、今後やってみたいと思うことはどのようなことでしょうか?
やっぱり“今”しか書けない言葉や等身大な気持ちを大事にして、これからも特に同世代の女性の人生に寄り添えるような楽曲作りを続けていきたいですね。聴いてくださる方と一緒に成長して歩んでいけたら嬉しいです。デビューしてから8年間、すごくいろんなことがあって、つらいこともあったけど、その時に心を癒してくれたのは音楽だったんです。常に音楽が励ましてくれていたので、私も誰かにとってのそういう存在でありたいと思っています。さらに、パッケージの部分でも目で楽しんでもらえるようなアーティスト像は継続して作っていきたいですね。
今回のジャケットもファンなら嬉しいchayさんのギターになっていますよね。
実はベストアルバムの時にはこれをジャケットにするって決めていたんです。chayを象徴するアイテムでもあるし、“ハート”に特化しているアルバムには最適だと思いましたし、何より相棒なので(笑)。みなさんにもジャケットや指輪を含めて愛してもらえるアルバムになったら嬉しいですね。
取材:吉田可奈