黒羽麻璃央、結ばれなかった“初恋”
話とは 朗読劇『秒速5センチメート
ル』インタビュー

アニメーションと音楽と俳優、声優の言葉がしっとりと物語を紡ぐ朗読劇「恋を読む」シリーズ。2020年10月21日(水)より幕が上がる本シリーズ第3作目となるのは『君の名は。』、『天気の子』などで話題の新海誠監督作品『秒速5センチメートル』。互いに惹かれ合いながらもすれ違い、結ばれることがなかった、美しくも切ない恋愛物語。5組15名の出演者の中から、この「恋を読む」シリーズにvol.1より出演している黒羽麻璃央に話を聞いた。
黒羽麻璃央
読みながらも演じながらもどこかキュンキュンするお芝居
ーーこの『秒速5センチメートル』という作品にどんな印象を持っていますか?
ストーリーも映像もとても儚いですよね。桜が舞い散るビジュアルも美しい。最終的に恋愛は男の方が未練がましいんだなというようにも思いました。結末から言うと初恋は結ばれない……世の中にはそっちの方が多いと思うので、アニメーション作品ではありますがその辺がすごくリアルだなと思いました。あと人を惹きつけるおしゃれなタイトルがとても素敵です。
ーー出演が決まった時どう思いましたか。
この「恋を読む」シリーズの出演は3度目になります。演じていて、純粋にすごく楽しい公演でした。前回出演した作品は2人芝居だったんですが、1対1のお芝居は楽しかったですし、読みながらも演じながらもどこかキュンキュンする、まさに「恋を読む」というタイトル通りでした。今回は作品は違いますが、同じ「恋を読む」シリーズとしては、見てくださる方にもそういう「恋」の気持ちになってくだされば嬉しいなと思います。三浦直之さんが演出するこのシリーズは毎回楽しく参加させていただいていますし、出演が決まった時はすごく嬉しかったです。早く稽古したいです。​
黒羽麻璃央
ーー朗読劇は普段の舞台とは役作りや演じ方が違うと思いますが、どんなところに気を付けていますか?
「噛まない」こと! 普段より一層気を付けています。すごく初歩的なことですが、見ている方にストレスなく聞いてもらえるようにと思っています。でも役作りとか、朗読劇だからこうしようとかというものはなく、お芝居をするという点ではいつも通りですね。舞台であろうが朗読劇であろうがミュージカルであろうが、基盤は一緒だと思っています。初恋ってどのタイミングで忘れてしまうんでしょうね。
初恋ってどのタイミングで忘れてしまうんでしょうね
ーー題材となる作品についてです。新海監督の他の作品を見たことがありますか。
あります。全部ではないですが……。
ーーいちばん共感できる作品、もしくは自分に近いと思うキャラクターはいますか?
そうですね、現実的な面でいうと『言の葉の庭』や『秒速5センチメートル』になると思います。キャラクターが入れ替わる『君の名は。』や、晴れ女という能力がある『天気の子』はファンタジー要素もありますから。『秒速5センチメートル』の主人公、貴樹は僕の身の回りにもいそうだなって思います。
黒羽麻璃央
ーー初恋の感じもとてもリアルですよね。
初恋ってどのタイミングで忘れてしまうんでしょうね。アニメを見て、僕も初恋で好きだった女の子を思い出しました。僕の初恋でいうと小学生の頃で、しかも好きと告白する前に引っ越してしまいました。貴樹と同じですね! でも僕はその子をずっと引きずったわけでもありません。貴樹のように一人の女の子への好意を持ち続けていたってすごいなと思います。小学校時代の恋愛ってすごく初々しいですよね。好きな子にいじわるしたくなったりとか、子供ならではの恋愛の仕方がありますし。
ーー第一話「桜花抄」では電車で会いに行くシーンがあります。スマホで簡単に調べるということができない時代、年齢の貴樹と明里……。そんな不便で不安な想いをしたことはありますか?
僕は携帯を持つのが割と早かったのですが、手紙でやり取りしていた時もあり、それを思い出しました。大人になってからは「東京~栃木間」を電車で行くことは別に大した距離ではないと思ってしまいますが、中学生の頃は一人で県外に行くのはすごく勇気がいることですし。おばあちゃんの家とか行ったことがある場所ならともかく、知らない土地に好きな人に会いたくて一人で向かうも、悪天候で待ち合わせの時間にも遅れてしまう……。貴樹と同じ状況だったらこの世の終わりだと思ってしまうかも。

黒羽麻璃央

ーー貴樹くんは不安な気持ちを押し殺しながらひたすら電車が動くのを待っていましたが、黒羽さんは空白の時間ができたら何をしていますか?
ゲームをしたり、動画を見たりしています。もしそれらがなかったら何をしているか……想像すらも難しいです。でもそういう状況に陥りたいっていう願望も少しあります。一切スマホを触らない時間や日を作ってみたいなと。仕事もできなくなってしまうので現実的には無理ですが、携帯のない時代の暮らし方を知らないっていうことがちょっと悔しいと思う心もどこかしらにあるのかもしれません。実際、急にスマホやインターネットは使えなくなる状況に陥ったらパニックになってしまうだろうし、手持ち無沙汰になるでしょうね。今度前もって宣言してみようかな。この日は連絡取れません! って周りに通知をして、一切スマホ触りません! そうやって電波から離れるっていう日を作ってみるのもいいですね(笑)。
ーー新海監督の作品は視覚的な描写だけではなく、「セリフ」や楽曲の歌詞もとてもきれいで印象的だと思います。黒羽さんが心に残っている「言葉」や「歌詞」など、大切にしている言葉とは?
うーん……「遊び」や「ユルみ」のようなものは大事だなと感じています。いろんなことを一生懸命やるのもいいんですが、「余白」みたいなものがどこかしらにないと、辛くなってしまうなと。「脱力」、「余裕」……どこか腹八分目みたいな生き方を理想としています。リリー・フランキーさんや所ジョージさんのような方がすごく好きです。人生に余裕、余白があり、かっこいいなと。お二方のお言葉をSNSなどで見る機会も多く、とても憧れと刺激を受けています。自分がもしも40代、50代と歳を重ねていったとき、そういう人生の楽しみ方、生き方ができればいいなって思います。
黒羽麻璃央
ーー大人になった貴樹くんにも少し通じるお話かもしれませんね。質問の雰囲気もガラッと変わりますが、最近ハマっていることを教えてください。
カルピス! 乳飲料! カルピスの牛乳割りがすごくおいしいんです。夜に窓から涼しい風が入ってくる中、お風呂上がりでそれを飲むのが最近の幸せでしたね! あと豆乳にもハマっています。今までもコーヒーとかを飲むときにも豆乳を入れてソイラテにして飲んでいたんですが、動画で「世界が変わる!」って言われるくらいオススメされていた、ちょっとお高めな豆乳を買いました。もう毎日飲んでます♪​
ーー公演への意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
今回の「恋を読む」シリーズ3回目の出演です。演出の三浦さんの世界観は知っていますし、台本を読んでいて僕的にはすごくアニメよりわかりやすくなっているのではないかと思っています。より身近にこの『秒速5センチメートル』という作品を皆様にお届けできるのではと。桜の咲く季節ではないですが、コロナ対策もしっかりして稽古に挑み、一人でも多くの方にこの「恋」を届けられるように頑張りたいなと思っています。
黒羽麻璃央
スタイリスト=Obuchi Ryuya 衣装:MR.OLIVE(WALK IN CLOSET代官山 03-3463-5901)
ヘアメイク=Ayane(Lomalia)
取材・文=松本裕美 撮影=福岡諒祠

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