ネタバレトークにヒヤヒヤ~シネマ歌
舞伎最新作『三谷かぶき 月光露針路
日本 風雲児たち』完成披露試写会レ
ポート

2020年10月2日(金)から東劇・新宿ピカデリーをはじめ、全国で公開が始まるシネマ歌舞伎の最新作『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』の完成披露試写会がこのほど東京都内で行われた。それに伴い行われた上映前の舞台挨拶には作・演出の三谷幸喜、主演の大黒屋光太夫を演じる松本幸四郎、新蔵役の片岡愛之助が登壇し、ネタバレすれすれのトークも含む作品の魅力が語られた。(文章中敬称略)

■原作はみなもと太郎の長編歴史ギャグマンガ。話題の舞台が早速シネマに登場
『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』はみなもと太郎の長編歴史ギャグマンガ『風雲児たち』のなかの「田沼時代編-寛政編(蘭学黎明編)」の一部、大黒屋光太夫のロシア漂流から帰国までのエピソードを取り上げた作品だ。この大黒屋光太夫の漂流記は井上靖の小説『おろしや国酔夢譚』でも取り上げられ映画化もされているなど、「お馴染のストーリー」ともいえ、その分非常にとっつきやすい。
本作は「みなもと太郎のファン」という三谷が手掛けた、2006年の『決闘! 高田馬場』に継ぐ2作品目の歌舞伎作品で、歌舞伎座上演作としては初めてのもの。2019年6月から約1カ月にわたり上演され、歌舞伎的に華やかなロシアの宮廷や迫力の犬ぞり行など、壮大かつ抱腹絶倒の舞台が繰り広げられた「三谷かぶき」は連日大入り。これまで歌舞伎に縁のなかった観客も虜にするなど、大きな話題となった。その傑作がこの秋、早速シネマ歌舞伎として登場することとなったのだ。

■歌舞伎だからこそのアドリブ解禁。冒頭にはシネマならではのアニメーションも
舞台挨拶で三谷は「普通のお芝居ではアドリブは認めていないが、歌舞伎俳優はお芝居がしっかりしていて、型ができているから、どんなに外れても上手く戻すことができる。なので、僕は歌舞伎に関してはアドリブ解禁したんです」と明かす。さらに「ある日、出演者みんなが志村けんさんのギャグのアドリブをするので、おかしいと思ったら、客席で志村さんがご覧になっていた」というエピソ ードも披露した。
三谷幸喜
松本幸四郎は、「この歌舞伎はロシアに漂流する物語。一体どうなるか分からないなか、自分たちは漂流してはいけない。目指すゴールに向かってまっすぐ進んで行くだけ、という思いでやり切った」と1年前の当時を振り返る。そのうえで「三谷さんの作品は、いつの間にかお芝居の世界に引き込まれていて楽しい。絶対にすごいものになるという安心感があり、(自分たちは)皆さんにお見せするのに徹することができました」と話した。
松本幸四郎
片岡愛之助も「あて書きされる三谷さんなので、稽古場でも皆とコミュニケーションをとっていくなかで、目立たない役も膨らみ台詞が増えたりした。(舞台が)日々進化していく様子が印象的でした」と思い出のエピソードを披露した。
片岡愛之助
さらに上映前でありながら、三谷は「原作『風雲児たち』の作者、みなもと太郎さんの描き下ろしアニメーションが本作の冒頭に入るんです!」と嬉々として語り、幸四郎らに「ネタバレになるから」と制される一幕もあった。
新感覚の歌舞伎舞台、ぜひこの機会に映画館でご覧いただきたい。
文=西原朋未

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