【GLIM SPANKY インタビュー】
GLIM SPANKYという
総合的なポップスにチャレンジした
不良なんだけどインテリジェンス、
そういうものに対する美学がある
そんな今回のアルバムですが、“知的な不良”みたいなイメージが浮かんだのですが。
松尾
知的な不良!? すごいキーワードですね。例えば、どんな感じですか?
「Lonely Boogie」を最初に聴いた時、まず滲み出る知性と漂う不良性を感じて。
松尾
おー、すごい! 私の音楽の趣味というのが…例えばすごいガレージロックだとしても、そこにインテリジェンスを感じるものが好きなんですよ。不良なんだけどインテリジェンスみたいな。そういうものに対する美学があるから、それが表現できるようになってきたのかな? 確かに「Lonely Boogie」は歌詞を書くのも楽しかったですね。より自由度もあって。
「Up To Me」はドラマーでマルチプレイヤーのmabanuaさんとのコラボですが、この曲に関しては?
亀本
最初は“ドラムを叩いてもらおう”と言ってたんですけど、トータルでプロデュースしてもらったほうがいいと思って。僕のギターと松尾さんのヴォーカル以外のトラックは、mabanuaさんが全部作ってくれました。リモートで成立しているし、すごく今っぽい感じがしますね。
歌詞はファンタジックなワードを散りばめながらもヒリヒリするようなリアルさがあって。
松尾
女性の強さを歌いたいと思ったんです。強い曲はたくさんあるんですけど、女性の強さ、人間の魂の強さを歌うのも、ひとつのメッセージとして伝えたいことだと改めて思って。自分も日本のロック界隈での女性差別を感じてて…“女ヴォーカル”や“ガールズバンド”って言われたりするけど、“ガールズ”って何だよって。世の中には夢見る女子が白馬に乗った王子様を待っていたり、それを肯定する人もいますよね。だから、歌詞ではそういうイメージで例えましたけど、もっと人生の話というか…誰かに何かをしてもらおうと思って持っていても何も起きないし、自分から取りに行くしかないっていうことを、女性としての目線で伝えたかったんです。なおかつ性別関係なく、伝わるメッセージというのを意識しました。
アルバムの締め括りは「Circle Of Time」。それも1曲前の「若葉の時」で一旦浄化される感じがあっての。
亀本
僕は「若葉の時」で終わりたかったんですけど、松尾さんが「Circle Of Time」を最後に入れたいって。
松尾
この曲は『火の鳥』のコンピレーション(19年10月発表の手塚治虫生誕90周年記念 火の鳥コンピレーションアルバム『NEW GENE, inspired from Phoenix』)のために書き下ろしたんですけど、自分たちの作品の中には存在しないものになってしまう気がしたというのが一番大きな理由で。それがとても悲しかったのと、GLIM SPANKYなりのサイケデリックな要素がある日本語のロックという、ひとつの答えを止めに置いておきたかったんです。最後に突き刺すというか…また次に向かっていくために。
取材:竹内美保
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アルバム『Walking On Fire』2020年10月7日発売
Virgin Music
- 【初回限定盤】(2CD+DVD)
- TYCT-69177
- ¥4,800(税抜)
- 【通常盤】(CD)
- TYCT-60162
- ¥2,800(税抜)
グリム・スパンキー:⾧野県出身の男女二人組ロックユニット。ハスキーでオンリーワンな松尾レミの歌声と、ブルージーで情感深く鳴らす亀本寛貴のギターが特徴。特に60~70 年代の音楽やファッション、アート等のカルチャーに影響を受けており、それらをルーツに持ちながら唯一無二なサウンドを鳴らしている。2007 年結成、14 年メジャーデビュー。18 年に日本武道館ワンマンライヴを成功させ、同年開催の『FUJI ROCK FESTIVAL』GREEN STAGEに出演。ドラマや映画、アニメなどの主題歌を多数手掛けている。最近ではももいろクローバーZ や上白石萌音、DISH//、野宮真貴、バーチャル・シンガーの花譜など、幅広いジャンルで他アーティストへの楽曲提供も行なっている。GLIM SPANKY オフィシャルHP
「By Myself Again」MV