【前Qの「いいアニメを見にいこう」
】第32回 意外とシブいぞ「富豪刑事
Balance:UNLIMITED」

(c) 筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥 その昔「オリジナル企画を考えるときは、桁違いの金持ちをひとり、メインキャラの中に混ぜておくといいよ。そうすると、話の展開やシチュエーションの幅がグッと広がって便利だよ」なーんて創作のコツを、とあるアニメ監督から取材で教わった。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」において中川の存在がどれだけ重要か? みたいな話だ。あの涼宮ハルヒだって、鶴屋さんがサブレギュラーにいなかったら、できなかったことがたくさんある(祝・新刊発売)。
 で、「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」ですわ。筒井康隆のベストセラー小説で、深田恭子主演のドラマも好評を博した「富豪刑事」を原案とする、近未来ピカレスク・ストーリー。大財閥の御曹司という立場を利用し、どんな問題も原則、金で解決ぶぁい Yai Yaiな神戸大介。熱血漢でお人好し、はぐれ刑事人情派な加藤春。そんなふたりのコンビは「こち亀」中川理論を想起せずにはいられない取り合わせで、期待が高まっちゃうなー、どんだけ弾けるのかなー……と思っていたら、蓋を開けてみれば、第9話までの段階では、そこまで無茶苦茶で破天荒な展開はないというか。どちらかというとややシブめの見せ場が続くのであった。派手さでいえば、第1話がいちばん大盤振る舞いだったかな。渋滞を金の力で突っ切ったり。いや、別にそのシブい内容……シリーズの縦軸として展開される謎がおもしろいから、モーマンタイなんですけれども。
 シリーズの中盤から本格的にクローズアップされてくる物語の縦軸は、神戸の両親の死の秘密を巡るストーリー。メインキャラの中に犠牲者も容赦なく出るような、思いのほかハードな内容で、神戸が圧倒的な財力とおもしろ便利なデジタルガジェットを駆使しても対抗しきれない真の敵が登場してきたりもする。それにくわえて、バディである加藤は加藤で、過去の事件で負った、刑事としてやっていくには致命的なトラウマを抱えていたりして……うーん、ヘヴィ。OP・EDに端的にあらわれている映像のスタイリッシュさとか、豪快な基本設定とは裏腹に、実のところドロドロで、暑苦しいものが描かれるアニメだったのは、ある意味、嬉しい誤算。これから迎える物語のクライマックスでも、その魅力を壊さないまま、とことんシリアスに振り抜くのか。それとも、「こち亀」中川理論的に、最後の最後でもう一度、なんでもできちゃう金の力をドーンと使って、ぶっ飛んだ方向に突き抜けさせるのか。本コラムの読者のみなさまにおかれましても、放映中、先の展開がわからない状態ならではのドキドキを味わっていただきたいところ。
 ……しかしこう、アレなんすよね。この作品でちょっともったいないなと思うのが、4話で万能スマホを忘れて財力に頼れなくなった神戸が、加藤の庶民的な刑事活動や日常生活に触れて、ふたりの距離が縮まる日常回のエピソードなんかが、実に雰囲気が出てて、よいんです。もう少しこういう、キャラクターの魅力にググッとスポットを当てた、ぶっちゃけた言い方をすれば、「キャラ萌え」的なエピソードが見たかったなぁ、と。もうちょっと取り繕った言い方をすれば、キャラクターの関係性を縦軸と関係ないところで掘り下げるエピソードが見たかった。2クールほしかった。せっかく、キャラクターデザインやキャストのお芝居も素晴らしいんだからして。公式サイトの各話解説を見ると、そのあたりはパッケージに付属するドラマCDでちょっと補完されるようだけど……アニメで見たいんだって!(わがまま)動く神戸と加藤のイチャコラぶりがもっと見たい~。つまらないことで仲良く喧嘩してくれ~。他のキャラの活躍も見たい〜。具体的には鈴江さんとか鈴江さんとか鈴江さんとかのセクシーな大活躍がもっと見たい〜。黒髪ロングちょっと天然入ったマッドサイエンティスト風味で想い人の溺愛っぷりがデンジャラスなCV坂本真綾さんのヒロインにもっと出番を~! 好き~~~! ……って、なんかあらぬ方向で感情がダダ漏れて来たから、このへんで終わろ。
 ではまた次回、2カ月後にお会いしましょ~。

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